羽生選手は怪我の回復のために休まれているはずですから、ファンの皆さんも、追い回すようなことはやめましょうね!(笑)
さて、羽生選手をトロントでケアして下さっている、青嶋正さんが、フェイスブック上で今回のことについてコメントされています。
「サポートメンバーとして、(もし) 現場に存在していたならば、羽生選手の現在のコンディションを知っている責任上、絶対に棄権させていた」、と書かれておられます。
また、オーサーコーチの真意をくみとり、日本語で本人に伝えてあげる必要もあったでしょう、とも書かれておられます。
多分、全部の英語、コーチの言っていることの真意を、羽生選手が理解しきれてはいないように感じられたのでしょう。
羽生選手をカナダでずっと見てこられた先生が、滑る前の段階で、「絶対に棄権させていた」と仰るほどのコンディションだった、ということを、羽生ファンはきちんと理解しておいたほうがいいのではないかと思います。
私としては、この問題はもう、これがすべてを物語っているとしか思えません。
そもそも、中国杯はショートの時点で、羽生選手ご本人も仰っていたように、その本来の実力からしたら、特に後半は絶不調といえるものでした。
理由は、体調不良ですね。(腰痛悪化、痛み止め。)
(それでも、あれだけ美しかったのですから、本来の力が発揮できていたら、どれほどだったでしょうか。)
前日の羽生選手は言っていました。「よくこんなんで二位になったな」と・・・
ええ、今回羽生選手が2位になったのは、他の選手たちが自爆しまくった大会だったからであって、あの状態の羽生選手で、町田選手や無良選手に勝てたなんてことは、絶対にありませんね。
まして、そのうえで衝突の大怪我をし、大ダメージを重ねたうえで、そのまま滑ってさらに悪化させた状態の「今」なのですから・・・
NHK杯について、あらゆる思惑が動いて、できれば羽生選手を、出場だけでもさせようとするような気配もチラホラあるようですが、ただただ驚きます。
見ていて怖いですね。
テレビは、今こそ「無良選手特集」とかやったり、他の日の目を見なかった選手たちを特集してあげれば良いのに、と思います。
昨年の高橋選手のグランプリファイナル~全日本選手権での期間の、ソチ五輪に至るまでの怪我の状態のケースのことも思い出すと、「全治~週間だから大丈夫。出場できます。」という報道さえ、大会の利益との関係で、本当のことが果たしてファンに流されているのかどうか、私個人は、非常に疑問になることがあります。
というか、実際、その通りだったことってあるの?って聞きたい。
今回も、羽生選手は全治1か月だとか最初に連盟は言っていました。 でも実際は、「完治は難しい」が真実であり、痛み止めを使いながらの出場でした。
だから私は、多分またNHK杯に出場できるぎりぎりぐらいの数字を「全治~週間」って、出してくるんじゃないかな?と思っていましたけど、案の定。(苦笑)
「まず出てもらわなきゃ、困ります」というのがありきで、そのプレッシャーで、選手側の状況なんかは二の次になっているように思えることが、今まで何度もありましたから。
私が嫌なのは、そういう時、ファンがそういうつもりはなくても、結果的には「追い詰める側」にドンドン加担していってしまうことです。
出来るだけ、冷静に見ていきたいと思います。
羽生選手のことを思って、まともな判断のできる青嶋先生のような方が、羽生選手の近くにいて下さると、ホッとします。
今回のことで、羽生選手を責める気はありません。
周囲の人でも、医者じゃない人達は、最後は責任をもつ判断はできないでしょうし、絶対に責任を持たないでしょう。
私が怖かったのは、そういう状況だと結局何かあった時に、「羽生選手が自分で望んだのだから」という一言で、本人のせいにされて終わっていくであろうところです。
あの場に必要だったのは、きちんと「責任を持って」 どうすべきかを毅然と判断・指示できる「医師」の存在か、「頭部・頸部を打った場合は強制棄権」のような明確なルールだったのだと思います。
医師が、「頭部に強い衝撃が加わったので検査が必要。 競技は直ちに絶対に禁止。」と言えば、
「羽生選手、衝突事故により強制的に棄権」というテロップが流れ、会場では放送がされて、観客も視聴者も納得したことでしょう。
「強制棄権」になれば、出場できなくなった結果について、誰も羽生選手を責めません。
ルールだから、羽生選手も逆らえません。 悩む必要もない。 そういうのを、当然にできるようでないと、健全なスポーツとは言えない。
あるいは、医師が、「頭部を打った様子はなく、脳震盪も全く起こしていない。頭部や頸部に異常はないので、出場可能。」という診断をその場で下せたのなら、
それをそのままそのことをきちんと、現地ではアナウンスで、テレビでは報道してくれれば、みんな安心して見ていられたでしょう。
少なくとも「頭は大丈夫だったらしい」と思いながらみんなが見るのと、「脳震盪を起こしているように見える」と思いながら見るのとでは、天と地ほど違います。
アメリカチームのドクターがその場で「軽く診察」して脳震盪の兆候がないと判断した、とかいう報道が出てきていますが、ではなぜ、それがすぐに報道されなかったのでしょうか?
そこがまず、大問題だと思いますが…。
アメリカのドクターは最後には責任をとってくれますか?
私の推測ですが、「臨時に診てあげるだけ」みたいなスタンスで、「最終責任は取れないよ」という条件で診たのではないかと・・・ どうなのでしょう。
軽いチェックだけで、精密検査はしていないわけです。
訴訟につながる責任を事前に逃れるための「条件付け」や契約等、そういうのには長けている人々の国ですから、絶対に事前に何かの条件をつけてから診察したのではにないかと推測。
日本とはその辺は全然違いますから。
そのアメリカのドクターは、アメリカの選手が羽生選手と全く同じ状態になっても、同じような出場を許可したのかどうか、私にはかなり疑問です。多分、アメリカは出さないと思いますよ。
会場にいる全選手に対しての診察責任を負うような「中国大会専門のアメリカのドクター」だったというのなら、話は別ですけれども、そんな話ではない。
非難が出てきたからこそ、「いや、実はアメリカのドクターが・・・」みたいな話が出てきた印象が強かった私には、何をいまさらって感じです。
さらに今では「実は脳震盪は起こしていなくて・・・」とか、当時誰も精密検査をしていないのに決めつけて判断していて、さらには「もっとひどいのは左太ももで・・・」という話になっている。(左太ももが重症だというのは、きっと本当でしょう。でもそれは、滑ったからなおさら酷くなったわけです。)
直後にふらついていたのは、頭ではなくて左太もものせいだと。
日本全国の脳神経外科の医者が、あの映像を見て、危険だ!と大騒ぎし出したわけです。 それが全てを物語っていると私は思います。
全部、後だしジャンケンで、無責任なだけですね。
奇しくも、今年の6月に、知人が似たような状態で顎だけを打ち、倒れ込み、同じように顎から流血して私が救急車を呼んだことがあり、その時に付き添った私が、医者から繰り返し聞かされたのは、
『こういう風に頭を打った場合、あるいは頭に衝撃が加わった場合、(実際に打ったのは顎なのだが、頭部に衝撃が加わっているという意味では同じだそう)、即・検査、異常が認められなくても、24時間付添人監視つきで絶対安静、運動は1週間禁止』、というものでした。
どんなに大丈夫そうに見えても、検査だって脳の全てを解るほど完璧ではないし、脳内に異変があった場合、後から容体が急変したり、後遺症がおきたりすることが度々あり、最悪、命を落とすこともあるので、それを守らない場合は、何が起きてもおかしくないから、と。
さらに、「こちらはきちんと伝えたから、これを守らずに行動して、何か命に係わる危機的なことが起きた場合は、完全にご自分の責任で、こちらは責任を負いません。守らない場合、突然死もあり得ますが、伝えたのに守らなかったら、責任はこちらにはありませんのでご了承ください。」、とも言われました。
日本の医療では多分、それが常識の世界です。
見た目は、羽生選手よりもずっとマシなケースでしたけれども、それでも、ここまで強く私は言われましたので。
これを知っている人達、もしくはこの知識だった方々は、みんな見ていて、驚愕したと思います。
当然、医師らは、反対の声をあげるでしょう。
それが彼らの責任だから。
それが悪いことだとは、全く思わない。
これを機に、正しくあるべき方向へと状況がより改善されていくのなら、羽生選手のやったことには、とても大きな意義があったのです。
羽生選手の真剣さが、問題を提起してくれたのです。
決して、決して、うやむやにされることなく、改善されることを期待したいです。 それは羽生選手も、望むところでしょう。
フィギュアスケート界を、よくしたいと願っているでしょうから、きっと。
出場停止にされると困るから、あえて医師を帯同しない、ということさえあり得るのなら、そうなるともう、選手はただの「都合の良い、使い捨て道具」だということになりますね。
一方で、報道の在り方にも色々と関係がありそうです。
繰り返し流された流血時の痛ましい羽生選手の様子の映像や写真も、羽生ファンのショックを高めたとは思います。
特に、ファントム(怪人)衣装で、流血して虚ろな目で見上げている羽生選手の写真ばかり、というのは、それが「パリの散歩道」の衣装だった場合よりも、より危うさを感じさせる外見になっているので、余計に衝撃をもたらす効果があったと思います。
それが演技の、ただの「演出」だったのならまだしも、「事実」としての、テーピングや流血だったわけですから。
しかもその映像が繰り返しニュース等で流されたのですから、いつもの羽生選手の姿を期待していた方々にはショックだったでしょう。
隠すのがいいとは全然思わない。 けれども、報道のあり方に疑問を感じた人も多かったのは事実でしょう。
私の友人から確認したところ、ある外国のテレビでは、流血場面等は一切流されず、悲惨な映像も一切なく、「衝突事故により頭にテーピング」 の説明があって、テーピングを巻きながらの6分間練習の羽生選手の様子が少しだけ流れた後、
羽生選手のソチ五輪の時の「パリの散歩道」のカッコいいハイライト映像が流されて、羽生選手が五輪金メダリストであることを報道し、
それから実際のあの「オペラ座の怪人」の演技の映像が流され、最後、
「彼の得点は、ベストスコアより40点あまりも低かった」 とのコメントと共に、大会で2位になったことが示されて、それで終わったようです。
(もちろん、生中継ではないから、出来ることではあります。)
それだと、特になんのショックもなく、「ふーん。 残念だったね。でも怪我しても頑張ったんだね。凄いね。」で終わる・・・ という感じに見えるようです。
報道の仕方、され方一つで、こんなにも印象は変わるものなのか・・・ と考えさせられました。
外国から、賞賛の声が・・・というのも、それぞれの国で、どのように放送されたのかが、まず問題です。
報道のされ方で、印象操作なんて、いくらでもできますので。
どの国であっても、誰であっても、仲間内の過失は隠して、かばおうとするものです。
日本と同じ報道をした国は、一つもないでしょう。
それでも、頭にテーピングを巻いた状態のフィギュアスケーターというのは、やはり衝撃ですし、子供に何度も見せられる映像ではない。
羽生選手自身も、恥ずかしそうに「撮らないで」と言っていた場面があったので、そういう羽生選手の心理を考慮していないのもどうかと思いますし。
羽生ファンとしては、できるだけ真実が知りたいので、あまりにカットされ過ぎて、事実がうんと軽く報じられたりするのも逆に困りますが・・・。
さらに、プルシェンコ選手が、コメントを出したようです。
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2014/11/11/kiji/K20141111009265440.html (ニュース)
http://instagram.com/p/vOW0bFGy0G/ ← プルシェンコ選手のインスタグラム
「個人的な意見としては、小さな大会で健康を損ねるほどのリスクを冒す必要はない」としながらも、 「ユヅルはプロフェッショナル!」 とも、言ってくれています。
その通りだと、私も思います。
羽生選手のプロ根性は、中学生の時の演技を見ていてもわかるほど、昔から明らかで、凄いと私も思っています。だからこその金メダリストでしょう。
ただ、本当のプロはお金が発生しているから、穴をあけないという意味でも、無理を押してでもやることが賞賛される、というのはわかります。
でも、羽生選手は、どんなにプロっぽく見ていても、やっぱり今はプロではないので、プロとしての報酬はもらっていないはずです。
アマチュア競技として出ているわけです。
その場合、お金はどこへ?健康を損ねるほどのリスクを冒した代償の結果、羽生選手はどうなる?
その時、羽生選手の手元に残るものは何で、失うものは何ですか…?
プロ根性を称えて危険を冒してまでの出場をあおるのなら、最低でも、それ相応の報酬を与えてあげてほしいですね。
私は、自分の経験から断言できるのは、
順調な時は散々エールを送って賞賛していて味方のようであっても、その相手の期待を裏切る、または少しでも利益を損ねるような結果になった途端、手のひら返す人達、というのは、いくらでもいます。
そういうのは所詮、その人を大切な一人の人格者として見ているのではなく、自分の何かの目的のために道具のように「利用している」にすぎない人たちであって、本当の味方ではありません。
で、そういうのは、自分の意志ではない形で、でも結論としては、相手の期待を裏切ることになってしまった時にこそ、明らかになると思います。
「本人がやりたがっているんだから」とはいっても、もし同じような事故が、練習中に起きたら、羽生選手はその後滑ろうとしたとは、私には絶対に思えません。
滑るわけがないと思う。(苦笑)
つまり、あの時、そこには確かに、「大会」「成績」「観客」「視聴者」「スポンサー」「期待」その他が複雑に絡んでいるからこその、羽生選手の決断・行動だったとみるしか、私には出来ない。
そして、「ひょっとしたら、これが自分の最後の演技になるかもしれない」という思い―――これがあったら、羽生選手は何があっても滑ろうとしたでしょう。
だから、そういう思いで、今回のフリーの演技に向かった可能性は高いように思います。(これは私の推測です。)
「大丈夫、僕は死ぬまで滑れる。」と繰り返し言ったという報道がありますが、そう言ったとしたら、多分、そういう気持ちだったのではないかな、と私は考えています。 自殺願望とか、ヒーロー願望とかじゃないでしょう。
被災地を勇気づけたい、今生きていることに感謝したい、って言っていた羽生選手が、そういう考えに至るとは全然思えませんね。
皆の前で死ぬ姿をさらしたい、なんて思っているとは思えません。(普通思うはずない。)
もしこれが最後の演技になってしまう可能性があるのなら、文字通り、「最後の最後の瞬間まで気力を振り絞って、本当に倒れて死ぬような状態に至るまで、この演技をやりきる覚悟が自分にはある!」という、悲壮なまでの覚悟を伝えたかったのではないかな?と私は思うのですが…。
羽生選手を、そこまで追い詰めているものは何でしょうか。
元をたどれば、多分、疲労⇒やりすぎ ⇒「怪我」または「古傷悪化」 ⇒ (最後になるかも、という思い)・・・なんですよ。
だったら、これを避けるように、けがの回復が、最優先されるべきだと、私は思います。
羽生選手は、今まで何度もインタビューで、上のような「これが自分の最後の演技になるかもしれない」という思いや、「怪我したら、終わりになってしまう。いついきなり、競技人生が終わるかわからない。」といったような覚悟をもって毎日の練習にもあたっていることを、語ってくれています。
大震災の影響もあって、そういう思いは強まったようですが、それだけでなく、常に最高難易度の技に挑戦している者として、フィギュアスケートがそういうリスクを負っている競技であり、過去にもそうやって引退に追い込まれた先輩や仲間たちが沢山いることを羽生選手は、よく解っていて、常に意識しているように、私は理解していました。
リンクを見つめている時の涙は、そんな思いを抱きながら見つめていたのではないかな、と私は思うし、苦しそうにしながらも、「跳ぶ!」と途中で吠えるように叫んだのも、最後まで絶対にやってやる!っていう闘志を奮い立たせていたのではないかと、私は思います。(私の推測に過ぎません。)
(ちなみに、羽生選手が演技直前に非常に怖い、いやもう、怖すぎるほどの顔をしていたり、集中するあまり、傍から見たら「怪しい兄ちゃん」状態になっているのも、よくあることだと私は思っています・・・ (笑))
ただ私は、あの時、あそこで棄権して大事をとれば、決して「最後の演技になる」とまでは、全然思っていませんでした。
棄権さえすれば、またNHK杯頃までには、滑れるだろう、と。
むしろ、演技を強行した場合の方が、それこそ、本当に「最後の演技」になってしまうリスクが遥かに高まるような気がしていました・・・ さらに、命をも失う危険があったわけです。
だからこそ、ものすごく驚いたし、何があっても止めたかったのです。
(もちろん、中国杯を棄権したら、グランプリファイナルには出られないわけですが、長きに渡って休養する羽目になったり命を失うよりもは、比較にならないほどマシだろうと思っていました。)
結果としては、羽生選手は滑れてしまった。 多くの選手が言っているように、普通は滑れませんね。
ご本人が、「棄権は考えた。」「でも、やれちゃったから大丈夫です」などと笑顔で、心底ホッとしながら言っていたように、羽生選手本人にも、最後までやりきれるかどうか、確信はなかったのかもしれない。
「絶対にやってやる!」というほどの強い思いをもった上で滑ったのは、あの顔を見ていても、間違いないだろうけれども。
演技の最後の、満ち足りたような、柔らかい、印象的な笑顔は、「最後まで滑りきれたこと」をただ、感謝しているように、私には見えました。
キス&クライで、号泣した羽生選手を見て、とても複雑な気持ちでした・・・ そこまで追い詰められていた、ということ。
本来、何があっても、あの低いスコアで喜ぶような羽生選手じゃないですから。
むしろ今までの羽生選手なら、悔しがって大泣きしているはずのスコアですし、あれではとても町田選手にも無良選手にも勝てないスコア&身体状況です。
2位になれたのは、単に、周りも酷く自爆しまくりの大会だったからで…。
そこまで全力を尽くしてくれたことは、本当に凄いと思うし、それが出来るのはただただ尊敬しますが・・・。
私は、羽生選手を応援はしたいけど、「追い詰めたくは」ありませんし、「壊したく」もない。 その一言に尽きます。
一方で、私個人は、あの演技で見せてくれた、あそこに込められていた、羽生選手の魂の表現はとても好きです。
そういうところが多分、、私は一番好きなんです。
さて、ショックであの演技をなかなか見られない、という繊細な羽生ファンの方々も結構いらっしゃるようなので、その気持ちも配慮して、ちょっと別の視点から見てみます。
こちらは、ある動画主様の動画です。
羽生選手が怪我前に、練習していた当時の映像を使って、
音源と共に「オペラ座の怪人」の全体像を予想したものが、あげられています。 動画主様、拝借します。 ↓
これは、動画主様の予想であり、練習時の映像をつなげてみたものに過ぎず、実際の演技そのものではありません。
実際の演技は、これとは違うし、これよりさらに完成した形のものを目指していたでしょう。
でも、この時の羽生選手は、まだ腰痛前ですから、身体全体がとてもしなやかで力強く、ジャンプもことごとく成功しています。
先日行われた中国杯のフリーで、羽生選手がいかに身体的にボロボロ状態に追い込まれながら無理して演技されたかが、改めてわかるかと思います。
中国杯フリーでは、ここで出てくる、ドーナツスピンもビールマンスピンも、ハイライトで入る予定だったレイバック・イナバウアーも、後半の4回転も、全てが封印され、別のものに変更されていました。
おそらく、身体的に無理だと羽生選手自身が判断して、変更したのだと思います。
それでも十分に美しかった羽生選手はただただ驚異的ですが、でも、本来羽生選手がやろうとしていたものは動画に見られるように、遥かに高度で美しく、そもそも男子選手でやれる人が全然いないビールマンスピンやレイバック・イナバウアーが入り、同時に2種類の4回転と後半での4回転コンビネーションジャンプが加わり、さらにトリプルアクセルが2度も入り・・・ という、文字通り、誰にもできないような驚愕の内容のものだったはずと思います。
到底、満身創痍の身体で出来る内容ではない。
だからこそ、腰痛再発後、どれほど悔しい思いを抱えつつ、一生懸命調整しつつ、練習をしながら、先日の中国杯当日を迎えたのかと思うと・・・
そして、6分間練習中の衝突事故で、どれほどの絶望的な思いを、一度は抱き、(この時、「僕のスケートはこれで終わるのか…」と思ったと証言されています)、さらに様々な思いがよぎる中で、まだ思ったより身体が動くとわかった後、決意してあの演技を遂行したのかと思うと、胸が痛みます。
私は、まだまだこれからと思っている時期に、やりたい目標をやりつくさないうちに、自分の思うような演技が出来なくなってしまった時、最も壮絶に苦しむのは、他ならぬ羽生選手自身なのではないかと思っています。
本当に、穏やかに休みつつ、この状態の演技ができるほどに身体が回復してくれたら・・・と、何よりも先ず、羽生選手のために、ファンとしては願わずにはいられません。
あれほどの才能が、その一部でも無駄につぶされるようなことになったら、羽生ファンとして腹立たしいだけでなく、本当に本当にフィギュアスケート界にとっても、惜しいことだと私は思います。
だからこそ、大事にしてほしい。
羽生選手に限らず、選手はみんな、一人一人、宝・・・ あるいは大事な宝石の原石だと思って、扱ってほしいですね。
そういう姿勢が見えてきたら、きっとみんな、「私もフィギュアスケートやってみたい!」って思うように、なるでしょう。
羽生選手の、中国杯での魂を込めてくれたフリー演技「オペラ座の怪人」については、落ち着いたら、また別の記事でUPしたいと思います。
NHK杯のチケットの3次販売が、15日に行われるようです。
これが、羽生選手への変なプレッシャーとならないことを、心から願います。
羽生選手の疲労と、身体の回復を、お祈りしています…!!