母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

からまつの森

2013年12月05日 | 季節
賑わい去った秋深い森の小道
さくさくさく と 雨降るような音がする
しゃしゃしゃ と 鳴りやまぬ小さな音がする
立ち止まっても 音は止まない
そこは落葉松の林だった
金色に耀く森の中
それは風のない日に静かに舞い落ちる
落葉松の何千何万の針のような葉の音いろ
空気を斬るそのかすかな音は
いきものが何かを食むように調子を揃え
さくさくさく しゃしゃしゃ 
青いそらのもと 無心に音を奏でているのでした
富士を遠くに眺めるなだらかな高原の晩秋
いまも耳に残る あの生き物のような葉の音いろ
落葉松の林は今年も風のない暖かい日 
さくさくさく しゃしゃしゃ と
針のようなたくさんの葉を舞わせ
落葉松の林にさまよい訪なう人を
夢のコンサートに誘い続けているのでしょう

コメント
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