淋しき庭
2015年09月19日 | 猫
肌を刺す風吹き
山麓は秋海棠の花
うす桃色に透ける花弁
のびのびと広がるみどりの葉っぱは
ほんのり紅色のフリンジ
この葉蔭に午睡していたのは金色の目
烏色に耀く毛並みの若い黒猫
黒豹のようなしなやかで
広いテリトリーを持ちながら
過保護ゆえか性格のゆえか喧嘩に弱く
大きな体で負け戦さ
猫の喧嘩は絶えずに生傷絶えず尻尾の毛を剥かれた
痛さに立ったまま眠っていた
放浪癖はあれ姿消え一か月
二軒隣の分家の生け垣の陰に
朽ち果てた体は横たわっていた
生きる者の宿命なぜかひっそり息絶えた黒猫
美しい花も美しい肢体もすべていのち終えれば大地の一部
生きものにある当たり前の事象
探しても戻らぬ猫を祈り待った老人らは
静かに戻ってきた黒猫を梅木の下に埋め慰めあきらめ
若くして去った猫の骸の上に花水を供え涙こぼした
穏やかな黒猫がどのようになぜ生命を終えたか
誰も知らない
秋海棠ことしも揺れ秋冷は訪れる
日暮れは早まり寒さは庭に迫りくる
どっしりと重い黒猫の体温を腕に忍ぶと
あのレクイエムだけが静かに流れてくる
山麓は秋海棠の花
うす桃色に透ける花弁
のびのびと広がるみどりの葉っぱは
ほんのり紅色のフリンジ
この葉蔭に午睡していたのは金色の目
烏色に耀く毛並みの若い黒猫
黒豹のようなしなやかで
広いテリトリーを持ちながら
過保護ゆえか性格のゆえか喧嘩に弱く
大きな体で負け戦さ
猫の喧嘩は絶えずに生傷絶えず尻尾の毛を剥かれた
痛さに立ったまま眠っていた
放浪癖はあれ姿消え一か月
二軒隣の分家の生け垣の陰に
朽ち果てた体は横たわっていた
生きる者の宿命なぜかひっそり息絶えた黒猫
美しい花も美しい肢体もすべていのち終えれば大地の一部
生きものにある当たり前の事象
探しても戻らぬ猫を祈り待った老人らは
静かに戻ってきた黒猫を梅木の下に埋め慰めあきらめ
若くして去った猫の骸の上に花水を供え涙こぼした
穏やかな黒猫がどのようになぜ生命を終えたか
誰も知らない
秋海棠ことしも揺れ秋冷は訪れる
日暮れは早まり寒さは庭に迫りくる
どっしりと重い黒猫の体温を腕に忍ぶと
あのレクイエムだけが静かに流れてくる