母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

山林に自由存す

2024年12月18日 | Weblog
   山林に自由存す 
 
           国木田独歩

われ此句を吟じて血の湧くを覚ゆ
嗚呼山林に自由存す
いかなればわれ山林を見捨てし

あくがれて虚栄の途にのぼりしより
十年の月日塵のうちに過ぎぬ
ふりさけ見れば自由の里は
すでに雲山千里の外にある心地す

眦を決して天外を望めば
をちかたの高嶺の朝日影
嗚呼山林に自由存す
われ此句を吟じて血の湧くを覚ゆ

なつかしきわが故郷は何処ぞや
彼処にわれは山林の児なりき
顧みれば千里江山
自由の郷は雲底に没せんとす
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