アルト・ハイデルベルク(158)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌
——————————【158】————————————————
.........Minister: Ob Seine Hochfürstliche Durchlaucht unter
............................solchen Umständen bald wieder in der
............................ Lage sein werden, die Geschäfte der
............................Regierung zu übernehmen, erscheint leider
............................kaum sehr wahrscheinlich.
Karl Heinrich: (dumpf apathisch). So.
.........Minister: Ein Zustand, Eure Durchlaucht, der Jahre
............................andauern kann.
Karl Heinrich: Jahre ?
.........Minister: Das ist die Ansicht der Ärzte.
(Lange Pause.)
Karl Heinrich: Exzellenz, weshalb kommen Sie hierher ?
.............................Ich meine, weshalb ?
.........Minister: Eure Durchlaucht haben bei Eurer Durch-
.............................laucht Jugend sich mit den Staatsgeschäften
.............................wenig oder gar nicht bischer vertraut machen
.............................können. Es erscheint bedauerlich, dass Eure
.............................Durchlaucht dieser schweren Aufgabe unter
.............................so trüben, unvorhergesehenen Umständen
.............................werden näher treten müssen.
Karl Heinrich: Ich ?
.........Minister: Es kommt bei der Einsetzung der Regent-
............................schaft in erster Linie darauf an...
Karl Heinrich: (außer sich). Ich soll zurück ?!!
.........Minister: Durchlaucht ?
Karl Heinrich: Nach Karlsburg ?!
.........Minister: Eure Durchlaucht wollen in Rücksicht ziehen.
Karl Heinrich: Wissen Sie, was Sie von mir verlangen ?!
.........Minister: Ich bitte Eure Durchlaucht.
——————————— (訳) ———————————————
..............大臣: 大殿下がこのように発作の続く病状なので
.............................果たしてすぐに政務復帰ができるかについ
............................ては、殆ど見込みがないと思われます.
...カール・ハインリヒ: (ぼんやりして).そうですか.
...............大臣: 殿下、ご容態は何年も続くこともあると
..............................のことです.
...カール・ハインリヒ: 何年も?
...............大臣: これは医者の意見です.
(長い間)
...カール・ハインリヒ: 閣下、あなたはなぜここへいらしたので
.............................すか? その、つまり、どういった理由で.
...............大臣: 殿下は、お若い殿下であるがゆえに、こ
.............................れまでほとんど、あるいは全然国政を任
.............................され得なかったのでいらっしゃいます.
.............................殿下が、このように先行きの見えない状況
.............................下で重い責務に踏み込まなくてはならない
.............................ことをお気の毒に存じ上げます.
...カール・ハインリヒ: この私が?
...............大臣: 摂政の任命で、まず第一に重要なのは....
...カール・ハインリヒ: (われを忘れて).私は帰らなければなら
..............................ないのでしょうか?!
...............大臣: 殿下.
...カール・ハインリヒ: カールスブルクへ?!
...............大臣: 殿下、よくご考慮いただきたいのです.
...カール・ハインリヒ: あなたは、この私から何を奪い取ろう
.............................としているのかご存じなのですか?
...............大臣: 殿下、お願いですからお聞き届け下
.............................さい.
.———————————《語彙》————————————————
Umständen:<der Umstand (変E) 事情、事態、状態
(通例複数)
unter allen Umständen / どんな事情があっても、
何が何でも、きっと、万障繰り合わせて
unter keinen Umständen
決して[どんなことがあっても]~しない
die Lage:(弱n) ①位置、地勢、
②状態、事情、状況、事態
Das Haus liegt in sonniger Lage.
この家は日当たりがよい.
wahrscheinlich:(形) ありそうな、本当らしい、
(副) たぶん、おそらく
übernehmen:(他) 引き受ける、引き取る、取る
übernehmen das Kommando / 指揮をとる
不定詞がzu übernehmen であるのでこの動詞は
非分離.
* cf über/nehmen:(他) 肩に掛ける、まとう、
羽織る
erscheinen:(自) (jm) と思われる
die Regierung:(弱en) 政府、内閣; 政治、統治、政権
Geschäfte:(複) <das Geschäft (E型) ①商業、商売、
取引、事業; ②用事、仕事、業務
③商店 本文は②の意味で「業務」ただし
後に Regierungが続くので「政務」と訳します.
die Geschäfte der Regierung zu übernehmen
政務を執ること
尚、このフレーズは先行するLage にかかっており、
in der Lage sein werden die Geschäfte der Regierung
zu übernehmen
政務がとれる状態になるであろう
ここはきょうのポイントですので
もう少し書きます.
Ob Seine Hochfürstliche Durchlaucht unter solchen
Umständen bald wieder in der Lage sein werden,
大殿下がそのような状況(長引く発作症状)で
再びすぐ位置(状態)にあるかどうか.
その位置(状態)をzu 不定詞句、die Geschäfte
der Regierung zu übernehmen が説明しています.
この全体は、「大殿下が発作の続く病状なので
すぐに政務に復帰できるかどうかは」
となります.
そして後半は
erscheint leider kaum sehr wahrscheinlich.
erscheint ~と思われる、leider 残念ながら、
kaum ほとんどない
sehr wahrscheinlich ありそうにない
文全体は:「大殿下が発作の続く病状なのですぐに
政務に復帰できる見込みは残念ながら殆どあり
えない」となります.
「ob ~かどうか」のところは「~の見込みは」
と訳しました.このob を辞書で確認したところ
「果たして~かは」と訳すことも可能となっていま
したので、
大殿下が発作の続く病状なので、果たしてすぐに
政務復帰ができるかについては、殆ど見込みが
ない.
となります.
辞書に沿った訳は確かに間違いが少ないですが、
自分のわかる範囲で意訳しても大丈夫だと思い
ます.
dumpf:(形) 鈍い、さえない、ぼんやりした
はっきりしない、息苦しい、重苦しい
apathisch:[アパティッシュ] (形) 無感覚な、無感情の、
無関心な
der Zustand:(変E) 状態、状況、有様、容態
an/dauern:(自) 絶えず続く;持続する
der Jahre:(複数2格) <das Jahr (E型) 2格で副詞的
に用いる; der Jahre:何年も
die Ansicht:(弱en) 見解、意見、見方;
weshalb:(副) なぜ、何ゆえ、何のために、
vertraut:(形、過去分詞) 親しい、慣れ親しんだ、
よく知っている、
精通した
vertraut:<vertrauen (自) 信じる、信頼する、信用する
委ねる、任せる
bisher:(副) これまで
das Staatsgeschäft:(E型) 国事。国政
bedauerlich:(形) 気の毒な、遺憾な、残念な、
die Aufgabe:(弱n) 任務、使命
Umständen:(複数与格)
<der Umstand (変E) 事情、都合
unter diesen Umständen こうした状況の下では
unvorhergesehen:(形) 予見(予測)していなかった、
不測の、予想外の
trübe:(形) 濁った、暗い、くすんだ、曇った、
näher:(形)nahe の比較級、ただしここでは副詞で
「さらに進んで」「さらに接近して」などの意味.
treten:(自) 歩み出る、ける、踏む
die Einsetzung:(弱en) 任命、配属、組み入れ
die Regentschaft:(弱) 君主政治、摂政政治、(君主の)治世
erster Linie:第一、 in erster Linie 第一に
Es kommt bei der Einsetzung der Regentschaft
in erster Linie darauf:
摂政任命に際しまして、まず第一に重要なのは...
es kommt ~:~が重要になる
außer sich³ sein:われを忘れている
die Rücksicht:(弱en, 複数は稀) 考慮、配慮、顧慮
ziehen (他) 引く、引いて働かす
Rücksicht ziehen: 斟酌する、考えを働かせる
よく考える
verlangen:(他) 求める、要求する
(奪い取るという意味ではありません、少々
意訳が過ぎたかも知れません、すみません)
でも言い訳させていただくと、ここでは
こういう訳がぴったりになります)