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怒る自民 韓国への「強力な外交圧力」模索が始動

2021-12-25 14:08:22 | 日記
半島ウオッチ

怒る自民 韓国への「強力な外交圧力」模索が始動

2021/12/25 01:00久保田 るり子
  • 朝鮮半島
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久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ


11月17日、ワシントンの米国務省で、記者会見するシャーマン国務副長官。日本側が日米韓外務次官協議後の共同記者会見を拒否。シャーマン氏単独での会見となった(共同)
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は国際法に反する桁外れの反日政策を続けてきた。慰安婦合意破棄、いわゆる徴用工判決を受けた日本企業の資産現金化の動きに警察庁長官による竹島不法上陸-。ようやく「生ぬるい抗議ではらちが明かない」と日本側に「強力な外交対応」を検討する動きが始まった。12月初旬、自民党が立ち上げた「対韓国政策検討ワーキングチーム(WT)」(座長・佐藤正久外交部会長)だ。チームは具体的な制裁の検討を行い、実効性のある外交を政府に求めていく。韓国の反日は「日本を攻めても報復はない」と日本の弱腰を見込んでいる節が濃厚だからだ。
「具体策をバスケットに」
韓国の金昌龍(キム・チャンリョン)警察庁長官が竹島(島根県隠岐の島町)に不法上陸したのは11月中旬、米ワシントンでの日米韓外務次官協議の前日だった。日本は事前に8度も中止を求めたが強行されてしまった。日本は次官協議の共同記者会見をボイコットしたが、抗議をあからさまに無視された日本はメンツをつぶされた。
この事態を受けて開かれた自民党「領土に関する特別委員会・外交部会・外交調査会合同会議」では厳しい意見が相次いだ。そして設置が決まったのが「対韓国政策検討WT」である。座長の佐藤外交部会長は「対韓政策はこれまで落としどころを探ってきたが、それではだめだ」として、いざというときの韓国制裁の具体策を精緻に詰めるとの方針を明かす。政治レベルに加え、経済金融制裁を視野に、経済産業省、財務省、防衛省はじめ各省や専門家から聴取して対応策、制裁案を具体的に「バスケット(籠)に入れる」という。
WT設置は竹島不法上陸が契機となったが、制裁対象は慰安婦、徴用工判決など韓国との間の懸案全般に広げ、「対抗策というと刺激的なので政策検討としたが、日本の強みや弱み、韓国の強みや弱みを全て洗い出す」(佐藤氏)。年明けから活動を本格化し来年夏までに仕上げる計画だ。WT設置には韓国政府も神経質になっているが、佐藤氏は「韓国に利用されないよう細心の注意を払う。(政策の)中身は(表には)出さない」と話す。自民党政務調査会での韓国への対抗政策の検討は初めてだが、政府は「法整備も含め歓迎だ」(外務省幹部)としている。
「韓国は日本を甘くみている」
竹島は1953年以来、韓国が不法占拠してきた。97年、金泳三(ヨンサム)政権が船舶の接岸施設と防波堤を建設し、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時の2006年に一般人の上陸を解禁した。近年は毎年10万人から20万人の韓国人観光客が上陸して観光名所になっている。
日韓間では12年、李明博(イ・ミョンバク)大統領が上陸して関係悪化の端緒となったが、竹島ではテコンドー公演やファッションショーが行われて国会議員もしばしば反日パフォーマンスで訪れている。「警察庁長官が行ったからといって特に韓国では大きなニュースになるわけでない。誰が行ってもおかしくない場所」(韓国の政治学者)なのだ。
だが、1997年までは事情が異なっていた。日韓の国交正常化交渉(51~65年)で竹島の扱いは最後の難問だった。両国は最終的に、「解決せざるをもって解決したとみなす」で合意(竹島密約)した経緯がある。合意は「両国が自国の領土であると主張することを認め、同時にそれに反論しない」とし、条件として「韓国は現状を維持し警備員の増強や施設の新設、増設は行わない」と取り決めた。しかし、これを一方的に破ったのは韓国側だった。ただ日本政府は公式に「竹島密約」を認めていないため、何の対抗措置も取られていない。
日本は過去3回、54年と62年、2012年に竹島領有問題の国際司法裁判所(ICJ)提訴を検討した。ICJ訴訟は両国が同意しなければ成立しない。日本は12年の際、韓国政府にICJ訴訟を持ち掛け、韓国は拒否した。日本が単独提訴してから韓国に同意を求める選択もあったが、見送った。
「日本はICJ提訴を言うが一度も実行していない。韓国への対応は最終的に弱くなると韓国人は確信しているところがある」(前出の政治学者)とされるゆえんだ。韓国の反日政策が続く要因に、日本側の腰の引けた対応があったことは間違いない。
「竹島の日」に大統領選候補が上陸の可能性
竹島に韓国人が観光に行くのが常態化して久しい。だが、李明博氏の竹島上陸以来、韓国政府の閣僚級上陸はなかった。では今回、警察庁長官は何のために上陸したのか。日本政府関係者は「警察庁長官は法執行機関の次官級ポスト。明らかに韓国政府の意思だ。反日アピールの政治利用だろう」と話す。
その政治利用で目下、懸念されているのが、来年2月22日の「竹島の日」に合わせた韓国大統領選候補の竹島上陸だ。大統領選投票日は3月9日で「竹島の日」は約2週間前になる。
竹島は韓国では愛国心のシンボルだ。1905年に日本が島根県に編入して以来の日本領で、サンフランシスコ講和条約で日本領であることが確定した。しかし、同条約発効前の52年1月、李承晩(スンマン)大統領が李承晩ラインを引いて韓国領に編入した。奪還した独島(竹島の韓国側呼称)は韓国民族の島と認識されるようになり、「独島の岩を砕けば韓国人の血が流れる」(韓国詩人、高銀=コ・ウン=氏の詩集の副題)などと評されてきた。
こうした歴史的経緯もあって、選挙戦で愛国をアピールするのに竹島上陸は格好のパフォーマンスとなる。与党候補の李在明(ジェミョン)氏は東京五輪の公式サイトの日本地図に竹島が表記されていたのに抗議して、「東京五輪参加取りやめ」を主張するなどの反日発言で知られる人物だ。投票日直前の「上陸」で支持率アップを狙う戦術もありうる。一方の野党候補、尹錫悦(ユン・ソンヨル)氏は「日韓関係(悪化)は文政権の反日の政治利用(が原因)」と文政権を批判し、革新陣営から「親日だ」との批判も受けてきた。それを払拭するには「上陸」が効果的-などという、うがった解説もある。
(編集委員)