安野 光雅さんの本は絵が工芸品のようで美しいけど、面白くなく。
有名な「旅の絵本」シリーズを読んだときも、
こどもながらに「これは大人のための絵本なんだ」と思いました。
「はじめてであう数学の本」シリーズなども、大人になって読んでも難解で。
つくづく、自分数学的頭でないなぁと。
この「天動説の絵本」は、私自身が読むために借りたのですが、
カッパくん的には敬愛?するガリー(『ガリー&マリー』のガリレオ)の有名な天体望遠鏡がでてきたりして、
結構ハマったようで、宇宙図鑑と比べて読んでました。
「へぇ~、こどものくせに、面白いって思うんだ~」とびっくり。
あとがきの地動説と天動説の丁寧な歴史的・科学的解説はわかりやすかったのですが、
「天が動いていると思っていた時代、地動説の真理を知ってしまった人の悲しみと苦しみを理解せずに、
地動説だけ知ってほしくない」
といった趣旨の最後の一文が心に残りました。
宗教も価値観もひっくり返ってしまうような真実の理論に行き当たってしまって、科学者自身も混乱したでしょうね。
現代でも、新しい発見や発明がされるたびに、価値観が混乱して、
知らないほうがよかったかも、未来が幸せに向かっているとは思えない不安を抱きますよね。
故郷の津和野に、安野光雅美術館が、あるのですね。
かなり以前に一度だけ行ったときの津和野と安野さんの作品のイメージがぴったりだったので驚きました。
暗い歴史があるからでしょうか、美しく、静かで、寂しい。
日本的な情景な中に、ヨーロッパの重暗さがあるように感じました。
また行きたいところが増えてしまいました。