娘のばね指に気づいたのは、1歳半頃のことでした。
一緒にお風呂に入っていたじいちゃん(父)が、
孫娘の親指が曲がったままの状態でいることを不思議に思い、
指を戻そうとしたら痛がって泣いた、
と、教えてくれました。
その後も気を付けて様子を見ていると、
なにやら遊んでいて、手が「グ~」になった後は、
ほとんどいつでも親指の第1関節から曲がったままで
元に戻らないことに気づきました。
そしてそれを、無理やり戻そうとすると、
痛がって大泣きをし、指を触らせません。
本人はまだ小さかったので、
親指が曲がったままでも、それほど不便も感じないようでした。
それでも、気になるので病院に行ってみました。
多くのばね指は、高齢者に発症するもので
こんな幼い子は珍しいと言われました。
大きくなれば、そのうち治るでしょう、と
ちょっと安直な(失礼!)診断でしたが、
痛がって元に戻させない娘の指が、
曲がったまま固定してしまうのではないか、
そちらのほうが心配です、と話すと、
気になるようなら手術をしますよ、と言われました。
本人は全く気にしていなかったので、
そのままでも良かったのかもしれませんが、
指でつまむような動作の時、あるいは何かを握るとき、など
これから出会うであろう、友人たちとのたくさんの活動に
不便を感じたり、切ない思いをしたりしないように、
そんな親心のほうが勝ったので、
結局、3歳直前に手術をしていただきました。
あれからもう30年近く経ちますが、
今度はそのばね指が、自分の番になりました。
私の場合は、右手中指の第2関節です。
草取りをしているとき、
洗濯物を干しているとき、たたむとき、
台ふきんやぞうきんを絞ったとき、
いろんな場面で、ばね指が発症します。
自然には治らないし、曲がったままでは痛いので、
左手で強引に元に戻すのですが、
その痛いこと痛いこと。
ようやく、あの時の娘の痛さを思い知りました。
そして、
あの時医者に言われたことを思い出すのです。
「ばね指は、高齢者に多いんですけど、ね。」
立派な高齢者の仲間になりました。