久しぶりに会ったその人は「痛みの持つ力はすごい、役に立つものをこの手に何も持っていません」と言って笑った。
エッジ。
何も通用しない、ただいる以外ない、あの場所。
そこに立ちほかに何もいたしかたないと知った人が、頼りになると思っていた武器を全て手放して浮かべる、散る桜のように質量のない明るくてひそかな笑い。
あんなに勉強をしていたひとがそっと本を机に置き、今はこどものようでうまく説明もできませんと言った。
自分の頭から真っ二つに割られて打ち開かれている、その場所を知っている。
ひりひりとこの上なくつらい、自分は完全に壊されてできることはなく、でも明るいその場所。
私はその場所を知っている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます