ヒッポウさんはブトウカだ。
戦う方じゃなくて身体表現の舞踏家。
去年、舞台を観に行った。
幕が開いたら三匹の蝦蟇(がま)。
みんな後ろ姿なのに、私の目は最初からヒッポウさんだけを見ていた。
舞踏のことはわからないけれど、半端なものじゃないってことはよくわかった。
中ほどのソロ(っていうのかしら)が圧巻だった。
舞台に立つヒッポウさんは白塗りで、ほぼすっ裸。
でも裸の必然性は、絶対に、ある。
斜めにあたるライトの中
震えるおんなが少しずつ歩く
なぜここにいるのか
どこに向かうのか
何もわからずに
この上なく心もとなく裸で
守るものはなにもないのに
向かう先には死が待っている
おんなは恐ろしい
恐れながら一歩
よろけて
眇め見て
一歩
私たちは恐ろしい
けれど向かう方向はひとつしかない
恐れつつ近づく
見えないロープに引き摺られるように
一歩また一歩
何も知らされていないのに
私たちはみな舞台の上で生まれる
そして一歩
また
一歩
「女中たち」
筆宝ふみえ
戦う方じゃなくて身体表現の舞踏家。
去年、舞台を観に行った。
幕が開いたら三匹の蝦蟇(がま)。
みんな後ろ姿なのに、私の目は最初からヒッポウさんだけを見ていた。
舞踏のことはわからないけれど、半端なものじゃないってことはよくわかった。
中ほどのソロ(っていうのかしら)が圧巻だった。
舞台に立つヒッポウさんは白塗りで、ほぼすっ裸。
でも裸の必然性は、絶対に、ある。
斜めにあたるライトの中
震えるおんなが少しずつ歩く
なぜここにいるのか
どこに向かうのか
何もわからずに
この上なく心もとなく裸で
守るものはなにもないのに
向かう先には死が待っている
おんなは恐ろしい
恐れながら一歩
よろけて
眇め見て
一歩
私たちは恐ろしい
けれど向かう方向はひとつしかない
恐れつつ近づく
見えないロープに引き摺られるように
一歩また一歩
何も知らされていないのに
私たちはみな舞台の上で生まれる
そして一歩
また
一歩
「女中たち」
筆宝ふみえ
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