クワガタムシには珍品といわれる種があります。
そもそも珍品とは
そのまま「珍しい品」ということなのですが
珍品というのは
人によって感じ方やその度合いなどが違ってきます。
例えば、台湾には「クロサワ(コウザン)ネブト」という
赤みがかった小型のネブトクワガタがいます。
このネブトは昔ナラオオという昆虫店が
ネブト最高峰と称したこともありました。
↓ クロサワネブト
過去に、現地北部で巨大倒木の洞に溜まった赤枯れで
成・幼虫を見つけたことがあります。
その時の印象は
「霧のある深山でひっそりと暮らしている」
そんな感じでした。
この種は日本の市場で流通することが殆どないため(標本・生体)
大方珍品の部類に入ると思うのですが
現地の愛好家たちに尋ねてみると
クロサワネブトはさほど珍品ではないといいます。
↓ クロサワ前蛹と、内部を塗り固めて作られた蛹室
クロサワネブトは
台湾の高山帯に広く分布している・生息場所が判っている・
さほど移動をしない・行けば見つかる種
というのがその理由です。
現地では珍品度3
つまり普通種としてとらえていました。
また 同じく台湾北部には「ダイトンヒメミヤマ」という
ミヤマクワガタの仲間が分布しています。
↓ 台湾のミヤマクワガタ達
この種の発生時期は
5月下旬から6月下旬あたりまでの約1ケ月。
山の吹き抜け部を飛来する個体や
樹木に付く個体が発見の大半を占めています。
ところがそれはオスばかりで
メスはまず発見されません。
雌雄の出現率は半分半分のはずなのに・・・
メスの生態がまだ判っていないのです。
日本のマグソクワガタみたいな感じでしょうか。
これまでに採集されたメスの数は一桁であり
*日本でも標本・生体が流通した話を聞いたことはありません。*
因みに 今から十数年前
ダイトンヒメミヤマのメス標本の価格は
日本円にして30万円!
もしくは150mm以上のヘラクレスオオカブト3頭と交換
これが現地所有者からの返答でした。
ダイトンのメス、生態がわかるまでは
「極珍」の座を譲りません。
台湾のミヤマクワガタ達、当然のことながらダイトンのメスはいません↓
日本に入ってくる外国種は
その年によっても変化が見られます。
毎年入っていた種がある年から全く入らなくなったとか
ヒぺリオンヒラタクワガタやペロティシカなどのように
それまでは珍品とされていたものが
ある時期を境に入り出すこともあります。
また、標本と生体の流通量も違います。
↓ ミークオオクワガタ(ヒラタクワガタ)揃い組
メスだけを見れば亜種どころか別物にさえ見えてきます。
本当に同じ仲間なのだろうか?
このミークは
「好きなやつ選んで~」みたいな感じで
同時期に安価な生体として入手しましたが
今はまず叶いません。
カズヒサツヤクワガタ こちらも「好きなやつ選んで~」
安価な生体でしたが
今は見かけなくなりました(生体)
日本でもヤエヤマコクワガタなどは
つい最近までかなりの極珍でしたが
今では飼育品や野外個体の入手も可能になり
極珍とまではいかなくなりました。
例え普通種でも、主観による珍しい種でも
初めて見るものは思わずグッと入り込んでしまいます。
↓隣町で友人が発見したアカマダラ。
アカマダラを生きた状態で見るのは初めてでした。
黒とオレンジ系がハイから。
これはクワガタではありませんが
私の住んでいる地域では極めて珍しい種です。
近隣に棲息しているということは判りましたが
それから数年経過、次の発見はありません。
画像は、全てアナログ写真から。
*訂正
文中「*日本でも標本・生体が流通した話を聞いたことはありません。*」
と記しましたが、
2006年に国内で標本の流通がありました。
訂正してお詫び申し上げます。
訂正日:2014年2月23日
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