クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

主観による珍品クワガタムシ

2015-01-18 20:12:34 | クワガタムシ関連

クワガタムシには珍品といわれる種があります。

そもそも珍品とは

そのまま「珍しい品」ということなのですが

珍品というのは

人によって感じ方やその度合いなどが違ってきます。

例えば、台湾には「クロサワ(コウザン)ネブト」という

赤みがかった小型のネブトクワガタがいます。

このネブトは昔ナラオオという昆虫店が

ネブト最高峰と称したこともありました。


↓ クロサワネブト  



過去に、現地北部で巨大倒木の洞に溜まった赤枯れで

成・幼虫を見つけたことがあります。

その時の印象は

「霧のある深山でひっそりと暮らしている」

そんな感じでした。

この種は日本の市場で流通することが殆どないため(標本・生体)

大方珍品の部類に入ると思うのですが

現地の愛好家たちに尋ねてみると

クロサワネブトはさほど珍品ではないといいます。


↓ クロサワ前蛹と、内部を塗り固めて作られた蛹室




クロサワネブト

台湾の高山帯に広く分布している・生息場所が判っている・

さほど移動をしない・行けば見つかる種

というのがその理由です。

現地では珍品度3

つまり普通種としてとらえていました。


また 同じく台湾北部には「ダイトンヒメミヤマ」という

ミヤマクワガタの仲間が分布しています。

↓ 台湾のミヤマクワガタ達



この種の発生時期は

5月下旬から6月下旬あたりまでの約1ケ月。

山の吹き抜け部を飛来する個体や

樹木に付く個体が発見の大半を占めています。

ところがそれはオスばかりで

メスはまず発見されません。

雌雄の出現率は半分半分のはずなのに・・・

メスの生態がまだ判っていないのです。

日本のマグソクワガタみたいな感じでしょうか。




これまでに採集されたメスの数は一桁であり
*日本でも標本・生体が流通した話を聞いたことはありません。*


因みに 今から十数年前

ダイトンヒメミヤマのメス標本の価格は

日本円にして30万円!

もしくは150mm以上のヘラクレスオオカブト3頭と交換

これが現地所有者からの返答でした。
ダイトンのメス、生態がわかるまでは
「極珍」
の座を譲りません。

台湾のミヤマクワガタ達、当然のことながらダイトンのメスはいません↓



日本に入ってくる外国種は

その年によっても変化が見られます。

毎年入っていた種がある年から全く入らなくなったとか

ヒぺリオンヒラタクワガタペロティシカなどのように

それまでは珍品とされていたものが

ある時期を境に入り出すこともあります。

また、標本と生体の流通量も違います。


↓ ミークオオクワガタ(ヒラタクワガタ)揃い組



メスだけを見れば亜種どころか別物にさえ見えてきます。

本当に同じ仲間なのだろうか?

このミーク

「好きなやつ選んで~」みたいな感じで 

同時期に安価な生体として入手しましたが

今はまず叶いません。


カズヒサツヤクワガタ こちらも「好きなやつ選んで~」

安価な生体でしたが

今は見かけなくなりました(生体)










日本でもヤエヤマコクワガタなどは

つい最近までかなりの極珍でしたが

今では飼育品や野外個体の入手も可能になり

極珍とまではいかなくなりました。

例え普通種でも、主観による珍しい種でも

初めて見るものは思わずグッと入り込んでしまいます。


↓隣町で友人が発見したアカマダラ



アカマダラを生きた状態で見るのは初めてでした。

黒とオレンジ系がハイから。

これはクワガタではありませんが 

私の住んでいる地域では極めて珍しい種です。

近隣に棲息しているということは判りましたが

それから数年経過、次の発見はありません。

画像は、全てアナログ写真から。


*訂正

文中「*日本でも標本・生体が流通した話を聞いたことはありません。*」

と記しましたが、

2006年に国内で標本の流通がありました。

訂正してお詫び申し上げます。 

訂正日:2014年2月23日



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