はじめに
ノセオオクワガタ Dorcus nosei Nagai,2000 は
1997年7月、ミャンマー北部Putaoの標高2500mで
野瀬調査隊が発見し、永井信二氏によって記載されました。
当初、和名は「ノセオオクワガタ」とされていましたが
ヒラタクワガタに近い仲間と判断されたのか(世界のクワガタムシ大図鑑6⃣)
或いは「ノセ」と「能勢」との便宜上の呼び分けなのか
最近では「ノセヒラタクワガタ」とも呼ばれるようになりました。
しかしながら、ここでは記載者の考え通り「ノセオオクワガタ」と称します。
↓ Dorcus nosei Nagai 中国雲南省産野外個体 体長約30㎜
同定ミスの市場流通
数年前のある一時期
「ノセオオクワガタ」と称された群が市場に流通しました。
(「Stag Beetles of China Ⅱ中華鍬甲」の影響か?)
私も同群を飼育してみましたが
残念ながらそれらはチャーユヒラタクワガタ
Dorcus chayuensis Huang & Chen, 2017でした。
↓ 参照記事:同定ミスーノセオオクワガタ
ノセオオクワガタ?・後編 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き
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ノセオオクワガタ?・後編 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き
また、最近では
パリーオオクワガタ Dorcus ritsemae として購入した野外メスから
ライヒラタ Dorcus reichei が出てきたりもしました。
↓ 参照記事:ジャワ島部のDorcus〜・4-正体現る
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上記のようなこともあり、今回の野外メスに迷いはありましたが
既にある程度の数のノセオオクワガタが輸入されている現状を踏まえ
単品ながらも飼育を開始しました。
↓ Dorcus nosei 採集地の標高は地図上で1700m以上
↓ 上翅点刻
↓ 胸・頭部
↓ 頭部
比較
メスの上翅に筋(点刻)のある似通ったドルクス属はたくさんいます。
ましてや見たこともない種を少ない資料から正確に同定するのは困難です。
産卵セット投入の前に手元にあった格好の比較相手
ライヒラタ(野外個体からの子供)を横に置いてみました。
↓ 左:ノセオオクワガタ 右:2個体ライヒラタ
↓ 左:ノセオオクワガタ 右:ライヒラタ
↓ 左:ノセオオクワガタ 右:ライヒラタ
↓ 左:ノセオオクワガタ 右:ライヒラタ
↓ 左:ノセオオクワガタ 右:ライヒラタ
産卵セット
メスの形状がクルビデンスオオクワガタや
パリーオオクワガタなどと似るため
朽ち木をマットで埋めるというオーソドックスなスタイルです。
↓ 手元にあったブナ朽ち木と「産卵一番」と菌床食べかすを使用
届いた個体は比較的元気で、そう軽くも感じられませんが
野外個体のため、既に産卵を経験している可能性が高いので
10卵採れたら良しとします。
↓ 底部5cmほどはカチカチの硬詰め 管理温度:23度前後
今度こそ「ノセオオクワガタ」でありますように・・・
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