昨年12月に初・2齢幼虫で入手したコツヤクワガタが羽化しました(以下コツヤ)
*カテゴリーから入ると飼育過程等に繋がります
*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください
コツヤは、緑色の発色がきれいな小型のクワガタです。
色の見え方は、光の加減や角度により変化する所謂構造色ですが
羽化直後は他のクワガタと同じ色合いで、時間の経過とともにきれいな緑色が見えてきます。
今回は、蛹室から取り出したオスが羽化して緑色に発色するまでを追いました。
羽化と色
↓ 2022年7月7日 蛹室らしき場所
↓ 撮影のため人工蛹室へ
↓ 2022年12月4日16:40 羽化のはじまり
↓ 2022年12月4日23:10 羽化
↓ 羽化から約8時間経過 複眼縁取りと前脚が僅かに発色始める
↓ 羽化から約18時間経過
↓ 羽化から約44時間経過(2日目) 頭部・小循板も発色
↓ 羽化から約73時間経過(3日目)
↓ 羽化から約96時間経過(4日目) 見る角度により緑色が強弱する
↓ 羽化から12日経過 大アゴまで緑色
↓ オスより控えめな色彩
形態のこと
鈴木知之・福武武晃著「世界のクワガタムシ生態と飼育」によると
マレーでのコツヤの発生期は5〜6月頃で
イネ科の「バンブー・アカ」と呼ばれるシチクや、クスノキ科の植物に集まり
本に掲載されたバンブー・アカとコツヤの色彩はよく似ています。
とりわけ長いオスの前脚は、樹木とメスを抱え込む(メイトガード)のに役立ちそうです。
↓ コツヤのオスとメス
↓ インビタビリスツヤとの前脚比較
↓ コツヤの前脚脛節は圧倒的に長い
↓ コツヤ背面と腹面 オス
一方、メスの前脚は脛節の外側側縁が先端に向って広くなっており
その裏側の黄土色系が印象的です。
↓ メス
↓ メスの前脚脛節
↓ 前脚脛節の裏面は色が違う
羽化までの期間
コツヤ(Malay産)の幼虫期間は外部環境にも影響されると思いますが
入手した幼虫の資料から算出すると
メスは、孵化から約14ヶ月後には蛹室から脱出しており、現在も摂食しています。
オスは、孵化から約18ヶ月で羽化しました。
(年間管理温度約18〜26度の範囲:マットはインビタビリス・ブルークツヤと同品使用)
初・2齢幼虫からスタートしたコツヤの飼育ですが
インビタビリス・ブルークツヤと同じマットで育ち、羽化に至ったので
種は異なれど飼育方法は大方似たようなものと考えます。
↓ 同系統のマットはチャイロマルバネにも適合(2022年10月撮影産みたて)
そして、次の飼育ステージは採卵ということになりますが
オスは現在テネラル、メスは後食をはじめて既に4ヶ月経過。
実際の繁殖までにメスが力尽きないことを願い、よく食べる昆虫ゼリーを与えています。
おまけ
今年の8月に蛹室から脱出したコツヤのメスは、現在後食中でほとんどゼリーのそばにいます。
後食する種のメスの摂食は産卵(蔵卵)に影響を与えるため
特に母虫となる個体には栄養価の高い(とされる)餌は理想ですが
いくら栄養価が高いからといっても食べなければ意味がありません。
例えば、ヒメオオクワガタにプロゼリーとペロリアンゼリーを同時に与えると
ペロリアンゼリーを選択し、没頭します(当方では)。
ヒメオオクワガタの場合、夏でもマットに潜ったまま出てこず
夏休眠のような状態になることがよくあります。
それが生態的なことはいえ、飼育者としては餌を食べている姿を見て安心します。
種によって餌の好みがあるかもしれないので
食いつきがよくないと感じた時は、違うゼリーを与えてみるのも悪くないと思います。
参考文献:
鈴木知之・福武武晃著,2002年7月5日発行. 世界のクワガタムシ生態と飼育.
株式会社環境調査研究所.
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