パリーオオクワガタ
Dorcus ritsemae Oberthuer et Houlbert,1914
東ジャワパリーを16年ぶりに買いました。
↓ 野外個体68mm アルゴプーロ産
↓ 同 野外個体 38mm
パリーオオクワガタは
アジア大陸の一部とその南方にある島々に分布し
分布地よってダイナミックな変異をみせる種で
現在は、以下の8亜種に分ける考えが主流のようです。
ssp. ritsemae Oberthuer et Houlbert,1914
ジャワ島東部(基亜種)
ssp. kazuhisai Tsukawaki,1998
ジャワ島西武
ssp. setsuroi Mizunuma,1994
ミンダナオ島
ssp. curvus Mizunuma,1994
パラワン島
ssp. volscens Didier et Seguy,1952
スマトラ島・マレー半島・ボルネオ島
ssp. khaoyaiensis Baba, 2012
タイ南部
ssp.astridae Didier,1932
セレベス島
ssp. ungaiae Nagai et Tsukawaki,1999
セレベス島南部(ロンポバタン山塊と周辺)
また、パリーオオクワガタは
クルビデンスDorcus curvidens とは別種にされていますが
分布の仕方や、メス及び小型オスの形状から近縁であることは想像できます。
↓↑ 東ジャワパリー
今回入手したパリーは上記8種の基亜種に当たりますが
他の亜種とは少し違った顔つきをしており
8亜種の中で唯一大歯型が見つかっていない種です。
過去の購入動機は
飼育なら大歯型が出るのではないかと考え入れ込んだのですが
しかしながら、大して大きな個体が出せず
70mm程度では内歯が横を向く中歯型ばかりでした。
ただ、幼虫は菌床・マットのどちらでもそこそこ大きくなり
飼育しやすい印象は残りました。
東ジャワパリーは毎年多くの野外個体が市場に流通しますが
70mmを超える個体はほとんど見かけません。
そんな中、昨年は73mmクラス(記憶では)
今年は74.5mmの巨大野外個体が
オークションにかけられ、36000円で取引されていました(安い?)
しかしながら、それでも大歯型ではありませんでした。
↓ 東ジャワパリーの大アゴ出現形は中歯止まりなのか?
この時のペアに当たるメスのサイズは38mmで
それは同時に入荷したメスの最大と思われました。
そして、それと同じサイズの個体をもう1頭見つけ
もしかしたら採集時には前記の巨大オスと同居していたのではないか?
と考え、これを購入したわけです。
↓ 相変わらず多い共生ダニ(東ジャワパリーナカセ)
↓ 種ごとに異なるクワガタナカセが付くと思われる
そして、採卵は野外メス持ち腹であることは言うまでもありません。
管理温度は22度前後です。
GW最後の今日
18日間のセットで11卵が得られました。
↓ 産卵セットはオオクワガタと同じ
↓ 材表面近くに産卵
採れた卵は管理するのにちょうどよい数です。
パリー飼育は菌床か?それともマットか?
今でも最適はわかりませんがとりあえずは、スタートを切りました。
参考文献:
江原 昭三編著,1990,ダニのはなしⅡ,技法堂出版株式会社.
水沼哲郎・永井信二,1994,世界のクワガタムシ大図鑑.
むし社.
永井信二・塚脇智成,1999,月刊むし(310),むし社.
2000,LUCANUS WORLD No18,株式会社環境調査研究所.
藤田宏,2010,世界のクワガタムシ大図鑑6,むし社.
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