あまのはらふりさけみれば・・・・

北京で単身赴任生活2年、帰国後も中国ネタを書き綴ります。

日本酒未だ浸透せず

2013-08-31 16:07:45 | 加油日式菜(がんばれ日本食)
 米国(中国語では「美国」)ではここ数年日本酒の販売が好調と聞いている。
 中国ではどうか、よそは知らないが北京では、まだまだである。

 6月に、旧知の中国人2人(一人は広東省広州市から、一人は四川省成都市から)来ると聞い
て、地元兵庫神戸のお酒をお土産に用意しようと、日本食品をたくさん扱っているお店で探して
みた。
 あるある、白鹿に白雪、おっと剣菱もある。
 瓶もおしゃれなので、白雪にしよう、かの若山牧水(※)が待ち焦がれた白雪がよかろうべぇ
と思って手に取った。
 ガーン!1本約6000円相当

 買えるわけない、どれもこれも、いやどいつもこいつも日本の3倍くらいするじゃないか!
 そこで仕方なく白雪への決定を「白紙化」して白鹿を買うことにした。

 さて、今まで特に高級なお店にいったわけではないので、セレブの嗜好はわからないが、現地
生産されている松竹梅(いつも兵庫県人会でお世話になっています、この場を借りてお礼申し上
げます!)ほか、白鹿、剣菱、大関など灘のお酒に加えて、新潟の八海山、久保田、石川の菊姫、
手取川といったことろは市内のお店でラベルを拝見しました。ほかにもあったと思いますが、
思い出せません、あしからず。 

 相対的にワインほど浸透していませんが、和食とともに普及していってほしいものです。


※ 酒飲みのうんちく話

 津の国の伊丹の里ゆはるばると白雪来るその酒来る 牧水

 
 よっぽど好きだったと見えて、進物が届いた際に玄関で小躍りしている牧水先生のお姿を
想像してしまいそうな歌である。
 「津」は「摂津」の略で「ゆ」は古文で習ったとおり経由を表します。
 つまり、「摂津の国のあの伊丹から有名な白雪がやってきた、白雪がやってきたぞ。」
といった意味になりましょう。

 ちょうど1年ほど前に牧水先生の歌集を読んでいるなかでこの歌をみつけ、まぁなんと酒
飲みの方だろうと感心し、こりゃぁ大伴旅人と双璧だわいな、と思った次第です。
 そんな中でもちょうど季節にマッチしていたのが、この御作でありましょう。

 白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒は静かに飲むべかりけり 牧水

 歯にしみとおるって、知覚過敏じゃないですよ、すっきりとした美味しいお酒を感覚的
にそのように捉えたのでしょう。
 秋ですから、「静かに」はある意味平凡といえば平凡ですなぁ。
 でもまたこの「べかりけり」と結びで言い放つところが、つくづくお酒が好きという心情が
出ていて、前半の技巧的な部分も併せて考えると、実に秀作だなぁと感心したもんです。
 私の心にしみいる一首でした。

北京もようやく涼しくなってきました。
 近所の公園で月下独酌にでも挑戦してみましょうか。
 でもコップ酒じゃぁ風情はないなぁ。