りたいあまん

リタイア後どうしたら充実した人生を送れるか。日々模索しています。

圓生の唐茄子屋

2016年10月05日 | 日記
若い頃からの落語ファンである。昔も今も良く聴く。
CDやDVDで聴くのだが寄席へ行って聴くこともある。
なかでもお気に入りなのが六代目圓生の「唐茄子屋」という噺である。
圓生はもうとっくに亡くなった人だが、元気な時に一度だけ演芸場で
聴いたことがあった。

先日久しぶりに圓生の「唐茄子屋」を聴いた。人情噺である。
これは圓生のなかでも大変にうまい演目で私は10指に入る傑作であろうと
思っている。

長い噺である。短くする噺家が多いが圓生は1時間10分間たっぷりと聞かせる。
主要な登場人物は若旦那と親戚のおじさんの二人で、この二人のやり取りを
圓生は実に巧みに演じている。人物描写、性格描写に加えて江戸時代(?)の
町の様子をまるで見てきたかのように描き出している。
聴いている者の頭のなかにも生き生きとした情景が自然と浮かびあがってくる。

人情噺の代表作の「芝浜」なんかもそうだが、聞く者をほろりとさせるくだり
が何か所かある。
「唐茄子屋」では貧乏長屋で母親がハリにぶら下がって首つりをする場面で
子供が「もうおまんまって言わないからおりとくれ」と言って泣きすがる
場面であろうか。(私には)
何度聴いてもこの辺にさしかかると目頭が熱くなってきてしまい落涙を
我慢できなくなってしまうのである。
落語を聴いて泣くというのもありか。