長江・馬鞍山李白公園から
新型コロナのニュースでは新しいカタカナ言葉が沢山出てきて、耳になじむまでに時間がかかりました。そしてまた続く豪雨災害、テレビの解説者が「バックウォーターが起きたようです」と言ってます。私にとっては新語です。テレビなので図解していただければ状況は分かります。本来向かうはずの水が逆に流れたらどうなるか、水が押し寄せた後の映像は恐ろしくて悲しい。
画面を見ながら、以前見た長江支流の逆流を思い出しました。
20年ほど前に滞在した長江沿いの蕪湖市、ここで黄山から流れてきた青弋江が長江に合流します。
初めてここを訪れた時、昔は灯台の役目もしたという高い塔と支流に浮かぶ船が歴史を感じさせて感動しながら汗を拭きふきスケッチしました。当然のことながら支流の水は塔の向こうを流れる長江に向かって流れていました。翌年の春も同じこと、ところが7月に行ってみると濁った水がゆっくり支流を遡っています。海から遠いのだから潮の影響は考えられない。逆流する川に私の記憶がおかしいのか目の錯覚かとも思いながら本流の長江に出てみると、水かさが増して何もかも飲み込んでしまいそうな勢いが怖かったことを覚えています。渡し船の桟橋は沈んでいて仮の桟橋が架けてあり岸の灌木は半分水に浸かっているのを見てやっと本流の水位が上がって逆流しているのかもしれないと思ったものです。宿舎に帰って日本語の分かる中国人に聞くと10日ほど前に上流で大雨が降ったからだと言いました。船着き場の辺りも道路はひたひたと水が溢れていたし、宿舎の前の道ではいつも湧き出している水の出かたが増して道は半分以上水浸し、バスがしぶきをあげて通過です。でも、皆さん慣れた感じで慌てない。長江沿いの低い土地なのでよくあることのようでした。
長江の支流・7月増水して静かに逆流中
停滞している梅雨前線の西の端は中国長江辺りにあります。大丈夫だろうかとネットで見ると蕪湖辺りの様子は分かりませんが、もっと上流の重慶は6月から洪水が続いているようです。
100年に一度などと形容されるような大雨や災害が毎年のようにどこかで起きて、この先子供や孫の時代にはどうなるのでしょう。人の力で何とかなるものならできる事はできるだけ、とは思うのですが・・・まだ間に合うのでしょうか。
これから10日間の天気予報で晴れは一日もなし、新型コロナと長引く梅雨とどうにもすっきりしない夏です。
長江・運搬船