常陸大宮里山日記

茨城県の北西。久慈川と那珂川に囲まれた、常陸大宮市のなんだか暖かい里山の暮らし。

上坪の梵天さま

2011-09-19 22:24:27 | 歴史
大宮地域の鷹巣の上坪。久慈川沿いの小さな塚の上に、梵天宮があります。
高長寺のそばで、岩崎の堰から引かれる用水路の傍ら。
のぞいてみると、何の変哲もない小さな祠が見えました。

その時は、春。
なんだか新しそうだし、これといって特徴ないし、紹介するつもりはなかったのですが、
ひょんなことから、この梵天さまの謂れがわかりました。

江戸時代、寛永年間に、湯殿山信仰が流行し、日光でも湯殿山権現を勧請したそうです。
そのとき、湯殿山権現が福島、茨城県の村々をまわりました。
それがきっかけで、この上坪の小塚に湯殿山権現が開かれました。
寛永元年1624年10月3日の記録があるそうです。

新しそうなお宮だと思ったら350年も昔から信仰されていた、
地域の大事なお宮だったんですね。
私が見つけた資料の古い写真では、石の祠ではなく、木造で朽ちかけていました。
そのあと、地域の方々が新しくしたのでしょう。


梵天さまの祭神はスセリヒメ。スサノウノミコトの娘でオオクニヌシの妻となる女神です。
スセリヒメは、蛇除けの神話があります。
久慈川の川辺は、マムシが多かったのかもしれません。
血清のない時代、不運な方もいたのではないかと思いました。
また、梵天とは、神祭用具で、棒の先に御幣という紙を垂れ下げたもので、神の依代のことだそうです。

祠の右側の椿が満開で、まだ浅い春の殺風景な景色に、色を添えていました。
女神さまに捧げられた春の花。


コメント
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