かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(13)――朝日歌壇・俳壇から(2014年5月19日~6月2日)

2014年06月02日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

  

除染する熊手の上に降る花弁愛でられず散る浪江の桜
                  (南相馬市)池田実  (5/19 高野公彦選)

「しょうがない」は日本人の悪いくせ九条原発秘密保護法
                  (さいたま市)田中ひさし  (5/19 永田和宏選)

全村避難の村の桜はさみしかろしいんと咲いてしいんと散って                                                                                             
                  (福島市)美原凍子  (5/19 馬場あき子選)

どれくらい除染すれば人は帰るだろう自問を胸に刈る浪江の草花
                  (南相馬市)池田実  (5/19 佐佐木幸綱選)

キビタキの胃に筋肉に放射能のシミ映し出す写真哀しき
                  (横須賀市)梅田悦子  (5/19 佐佐木幸綱選)

はらはらと浪江の土手に舞う桜しばし忘れる胸の線量計
                  (南相馬市)池田実  (5/26 永田和宏選)

原発が点で描かるる地図上に念のためなる同心の円
                  (東金市)山本寒苦  (5/26 佐佐木幸綱選)

除染終え飯場へ帰る車窓にはガレキ踏みしめ睨む猪(しし)見ゆ
                  (南相馬市)池田実  (5/26 高野公彦選)

その背(せな)に兵士立たしめ原潜は原子炉一基抱えて入り来
                  (横須賀市)梅田悦子  (6/2 馬場あき子選)                                                                                                                             

ロボットのメンテナンスは人が負う廃炉作業の深き下闇
                  (橿原市)福田示知恵  (6/2 馬場あき子選)                                                         

ほろほろと木通(あけび)の花のこぼれいて空き家はずっと空き家のまま
                  (福島市)美原凍子  (6/2 馬場あき子、永田和宏選)                                                         

福島に手当求めて流れ着く作業員という我らも難民
                  (南相馬市)池田実  (6/2 佐佐木幸綱選)
                  

 

夏隣り除染の山の影長し
                 (秋田市)松井憲一  (5/19 大串章選)

福島に帰る帰れぬ櫻かな
                 (長岡京市)寺嶋三郎  (5/19 金子兜太選)

万緑の中や原子炉発電所
                 (秋田市)松井憲一  (5/19 大串章選)