朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
除染する熊手の上に降る花弁愛でられず散る浪江の桜
(南相馬市)池田実 (5/19 高野公彦選)
「しょうがない」は日本人の悪いくせ九条原発秘密保護法
(さいたま市)田中ひさし (5/19 永田和宏選)
全村避難の村の桜はさみしかろしいんと咲いてしいんと散って
(福島市)美原凍子 (5/19 馬場あき子選)
どれくらい除染すれば人は帰るだろう自問を胸に刈る浪江の草花
(南相馬市)池田実 (5/19 佐佐木幸綱選)
キビタキの胃に筋肉に放射能のシミ映し出す写真哀しき
(横須賀市)梅田悦子 (5/19 佐佐木幸綱選)
はらはらと浪江の土手に舞う桜しばし忘れる胸の線量計
(南相馬市)池田実 (5/26 永田和宏選)
原発が点で描かるる地図上に念のためなる同心の円
(東金市)山本寒苦 (5/26 佐佐木幸綱選)
除染終え飯場へ帰る車窓にはガレキ踏みしめ睨む猪(しし)見ゆ
(南相馬市)池田実 (5/26 高野公彦選)
その背(せな)に兵士立たしめ原潜は原子炉一基抱えて入り来
(横須賀市)梅田悦子 (6/2 馬場あき子選)
ロボットのメンテナンスは人が負う廃炉作業の深き下闇
(橿原市)福田示知恵 (6/2 馬場あき子選)
ほろほろと木通(あけび)の花のこぼれいて空き家はずっと空き家のまま
(福島市)美原凍子 (6/2 馬場あき子、永田和宏選)
福島に手当求めて流れ着く作業員という我らも難民
(南相馬市)池田実 (6/2 佐佐木幸綱選)
夏隣り除染の山の影長し
(秋田市)松井憲一 (5/19 大串章選)
福島に帰る帰れぬ櫻かな
(長岡京市)寺嶋三郎 (5/19 金子兜太選)
万緑の中や原子炉発電所
(秋田市)松井憲一 (5/19 大串章選)