朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
原爆に逝きし父の忌めぐり来も墓参叶わずホームに病む身
(徳島市)磯野富香 (8/25 馬場あき子選)
ほとんどが卒寿を越えた証言者被爆六十九年の今
(長野市)祢津信子 (8/25 馬場あき子選)
整然と一万千七百五十の椅子並ぶ平和記念公園雨降り続く
(札幌市)藤林正則 (8/25 佐佐木幸綱選)
乗り組みし人みな鬼籍に入りてなおエノラゲイの名消ゆる事なし
(岐阜県)野原武 (8/25 野公彦選)
広島に育ちて毎夏ヒロシマを学びて思う「知らぬということ」
(広島県府中市)内海恒子 (9/1 佐佐木幸綱選)
黙祷を捧げて水を飲むこれは何万人が飲めなかった水
(大阪市)安良田梨湖 (9/1 佐佐木幸綱、永田和宏、馬場あき子選)
縦じわと横じわ深く交差させヒロシマに座すケネディ大使
(近江八幡市)寺下吉則 (9/1永田和宏選)
サッカーのゴールネットの真うしろに青き巨鯨のごとき除染土
(柏市)秋葉徳雄 (9/1 野公彦選)
体内に残留放射能持つ不安おしこめて生きし六十九年
(アメリカ)大竹幾久子 (9/8永田和宏、馬場あき子選)
数万が見上げて死にし原爆を上から見た人バンカーク氏逝く
(アメリカ)大竹幾久子 (9/15永田和宏選)
広島で学徒兵なりし僧がつく鎮魂の鐘染む八月六日
(津市)田中周治 (9/15馬場あき子選)
原発の廃炉は決めずわが町の避難受け入れ先を公示す
(島田市)水辺あお (9/15 佐佐木幸綱、野公彦選)
九条と空気は同じ汚されてはじめて気づくいかに大事かと
(東京都)無京水彦 (9/15 野公彦選)
馴らされて馴れてしまって線量も気づけば忘れかけてるふだん
(福島市)美原凍子 (9/15 野公彦選)
戦争のせめて歯止めに原爆忌
(弘前市)三浦博信 (8/18 長谷川櫂選)
太陽の真下に地球ヒロシマ忌
(八王子市)額田浩文 (8/25 金子兜太選)
人類は発明しすぎ原爆忌
(立川市)松尾軍治 (8/25 大串章選)
人間の頭上に原爆落とした日
(秩父市)浅賀信太郎 (9/1 金子兜太選)
フクシマはカタカナのまま野分くる
(高山市)直井照男 (9/8 金子兜太選)
玄関の慰め水や広島忌
(東京都)吉村翡翠 (9/15 長谷川櫂選)
蓑虫も鳴き広島を悼みおり
(三郷市)岡崎正宏 (9/15 大串章選)