朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
被爆地にひとり覚めをる町長の義憤を知らぬ住民哀れ
(いわき市)馬目弘平 (2/18 佐佐木幸綱選)
ふるさとの「戸の入」無人にする為の集団移転と今日決める町
(本宮市)廣川秋男 (2/18 佐佐木幸綱選)
薪風呂を焚きし昔に戻らんかセシウムの無き夕焼け恋いつつ
(福島市)吾妻芳子 (3/18 佐佐木幸綱選)
放射能の検査のための漁をして競りなき市場で測定始まる
(平塚市)三井せつ子 (4/1 永田和宏選)
放射能物質今も流さるる海に魚の避難所はなし
(平塚市)三井せつ子 (4/8 馬場あき子選)
真っ白なご飯炊き上ぐるコンセントの先に原発あること悲し
(横須賀市)梅田悦子 (4/14 佐佐木幸綱選)
セシウムに汚染といえど手賀沼は沼面に春日揺らぐ小波
(我孫子市)板谷三雄 (4/14 佐佐木幸綱選)
ふくしまの何に寄り添う寄り添わぬもとの生業返してほしい
(二本松市)安田政幸 (4/22 佐佐木幸綱選)
嘘といふ種には嘘の花が咲く原発事故はぺてんの如し
(三郷市)岡崎正宏 (4/22 佐佐木幸綱選)
原発の事故はなかったことにするそんな動きがじわりとみえて
(坂戸市)山崎波浪 (4/22 佐佐木幸綱選)
廃棄すれど消滅せぬを明かすごと汚染土の山庭に居残る
(福島市)米倉みなと (5/6 佐佐木幸綱選)
原発反対叫びて過ぎし三十年上関の里に春は来にけり
(山陽小野田市)淺上薫風 (5/6 佐佐木幸綱選)
除染などありえません移染ですセシウム静かに人間を諭す
(長野県)小林正人 (5/6 馬場あき子選)
春寒や便器のごとく原発炉
(仙台市)木戸月彦 (3/18 長谷川櫂選)
被爆地を這ふほかになき山楝蛇(やまかがし)
(いわき市)馬目空 (4/8 金子兜太選)
炉を塞ぎあの原発のことをふと
(向日市)松重幹雄 (4/14 金子兜太選)
帰る日近き白鳥の声除染中
(福島市)池田義弘 (4/22 金子兜太選)
つちふるや産地確認する野菜
(多摩市)福田澄子 (5/6 金子兜太選)