朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
キャスク、プールまた新たなる語彙ふえて廃炉始まる三度目の冬
(福島市)美原凍子 (12/16 野公彦、馬場あき子選)
人類が言葉発して五万年それより永き核のゴミ処理
(岸和田市)西野防人 (12/23 佐佐木幸綱選)
わが町に避難して来し人ありて原発事故は他人事ならず
(高知県)藤田兆大 (1/13 佐佐木幸綱選)
ほとぼりがさめたと見てか原発はじわりじわりと息吹き返す
(中央市)前田良一 (1/13 佐佐木幸綱選)
原発で夢稼がんか誘いくる男の背中のるまあるらし
(ホームレス)坪内政夫 (1/20 佐佐木幸綱選)
原発の輸出を約し握手する総理テレビに笑みを浮かべて
(前橋市)荻原葉月 (2/3 永田和宏選)
廃鉱の街に住みにし歳月を廃炉の地にて思えば小雪
(福島市)美原凍子 (2/3 馬場あき子選)
白鳥の鳴き交わしゆく空残し原発被災地枯野となりぬ
(南相馬市)深町一夫 (2/3 馬場あき子、佐佐木幸綱選)
フクシマの傷ざっくりとあくごとし人住まぬ家の窓窓の闇
(三鷹市)増田テルヨ (2/3 馬場あき子選)
汚染水タンク1000基の建ち並ぶ画像が今は〈秘密〉ではない
(堺市)丸野幸子 (2/3 佐佐木幸綱選)
振り向けば見えぬ汚染の町があり青き空あり山河煌めく
(横浜市)田口二千陸 (2/10 馬場あき子選)
東京に原発一基作ったら地方人口増えると思う
(新潟県)涌井武徳 (2/10 佐佐木幸綱選)
雲淡く稜線かすめ冬日さすこの両岸に原発はあり
(福井県)大谷静子 (2/10 永田和宏選)
鮮やかな緑色なす封筒で内部被爆検査(ホールボディカウンター)通知来ぬ
(福島市)美原凍子 (2/17 佐佐木幸綱、馬場あき子選)
人麻呂の歌碑訪ひ来たる奈多の海ゆ伊方原発遠く光る見ゆ
(中津市)久恒啓子 (2/17 野公彦選)
福島を置き去りにして街クリスマス
(川越市)横山由紀子 (12/23 金子兜太選)
原発へ激浪といふ冬景色
(廿日市市)頼経正道 (2/10 金子兜太選)
福島に戻れぬ日々や鬼遣らひ
(鴻巣市)佐久間正城 (2/17 金子兜太選)