「ねえ、何かしたいんだけど。」
はい? なにかとは?
「だから、避難所へ行ってなにかしたいんだけど。」
それは、つまり「慰問」ってこと?
BELAちゃんの突然の思いつきにとまどいながらも、(この人もスイッチはいるとスゴイんです!)彼女の次の言葉を待った。
「以前、子供会で『走れメロス』やったでしょ。あれならママさんたちとまた上演できると思うの。」
以前、子供会の企画で演劇ワークショップを行った。在仙のプロに台本&演出をお願いし、舞台経験のある役者さんたちにも手伝ってもらいワイワイと作った。子供会でもこんな企画ができるの!?というくらい楽しそうな体験だった。放菴からは子供二人とBELAちゃんが参加した。
「とりあえず、有志をあつめて話し合いしてもいい?」
どうぞどうぞ。平日なんでなかなか関われないけど。
3月28日(月曜日)、BELAちゃんのメール攻勢は、たちまち5~6人の賛同者を確保。翌日(火曜日)にはみんな放菴に集まることになっていた。BELAちゃん、完全にスイッチ入ってマス。
その火曜日、僕が職場から戻ると、玄関に大量のクツが置いてあった。
ひぃふぅみぃよぉ・・・。
「台本と演出でSさんにも来てもらうことになってるの。」
放菴はコーヒーのいい匂いでいっぱいだった。このコーヒーも横浜からの支援物資。
ひさびさにいい香り。
お話はどんどん盛り上がった。決行日も3月30日(水曜日)と決まった。僕もせっせとコーヒーを沸かした。
ところがその後ちょいと風向きが変わってきた。
台本と演出でお世話になったSさん、「走れメロス」が今ふさわしい題材かどうかは疑問だという。
「いや、気になったことなんですが、王が残虐であることと、それから、途中にメロスが濁流を渡るでしょう? ちょっと「慰問」にしては激しいかな。とくにモロ津波を見てきた人にとって「濁流」は恐いのを思い出しちゃってキツイでしょ。」
ああ、なるほど・・・。
「それに、いまからセリフ入れる(暗記する)のは大変だから、きっと朗読劇になるんでしょ? 朗読劇でメロスの動きを出すのは難しいかなぁ。」
ふりだしにもどっちゃった。
これでなんとなく「走れメロス」は立ち消え。Sさんも「お役に立てなくて・・・。」と恐縮して帰っていった。
「でもなんかやれるんじゃないかな。それぞれがリーディング劇とか朗読とか落語をやればいいんじゃない?」
BELAちゃん、へこたれません。
次の日(水曜日)、僕が職場から戻ると、玄関のクツの数はもっと増えていた。
なんとそれぞれ劇と朗読と落語がほぼ決まり、稽古に入っていた。
トップバッターは在仙の劇団員3人によるリーディング劇、そして朗読が三つ、トリは落語。
それぞれの所要時間を確認し、演出について各自から注釈が付いていた。
たった一日でここまで詰めているなんて・・・スゴイ!
僕はまたせっせとコーヒーを沸かした。
慰問する避難所は近くの中学校。
震災直後、ここはマンション被災者であふれた。
マンション被災者は、主にライフラインの切断により家に入れなかった人、または入れたけれど暮らせない状況の人。
みんな水と電気が復旧したあとも、貯水槽の故障やらマンション躯体や設備の問題でいつまでも帰れなかった。
受け入れた中学校でも教頭先生以下職員が輪番で宿直していた。
BELAちゃんたちが慰問したときには、みんなマンションへ帰れていて、ほとんど高齢者だけが残っているような状況だった。
3月30日(木曜日)、僕が職場から帰ると、中学校の方から10人くらい集団で歩いてくる人を見た。
子供がふたり駆け寄ってきた。あ、うちの子だ。
みんなで慰問を終えて放菴へ戻ってくるところだったのだ。
中には、以前ブログで書いた「鬼神楽(おにかぐら)」に出演していたお顔もちらり。
すごい人たちと慰問してきたんだね。
僕はまたせっせとコーヒーを沸かした。
みんな楽しかったようで。よかったよかった。
みんな何かできることをさがしていたんだね。
そんでもって「何かを演(や)れる」という喜びもさがしていたんだね。
「またやりたい。」
みんなそう言っていた。
うん、やれるといいですね。
ちなみに、演出のSさん、現在あちこちで「セロ弾きのゴーシュ」を熱演中です。
あ、そんな話をしていたら、コーヒー切れた。
はい? なにかとは?
「だから、避難所へ行ってなにかしたいんだけど。」
それは、つまり「慰問」ってこと?
BELAちゃんの突然の思いつきにとまどいながらも、(この人もスイッチはいるとスゴイんです!)彼女の次の言葉を待った。
「以前、子供会で『走れメロス』やったでしょ。あれならママさんたちとまた上演できると思うの。」
以前、子供会の企画で演劇ワークショップを行った。在仙のプロに台本&演出をお願いし、舞台経験のある役者さんたちにも手伝ってもらいワイワイと作った。子供会でもこんな企画ができるの!?というくらい楽しそうな体験だった。放菴からは子供二人とBELAちゃんが参加した。
「とりあえず、有志をあつめて話し合いしてもいい?」
どうぞどうぞ。平日なんでなかなか関われないけど。
3月28日(月曜日)、BELAちゃんのメール攻勢は、たちまち5~6人の賛同者を確保。翌日(火曜日)にはみんな放菴に集まることになっていた。BELAちゃん、完全にスイッチ入ってマス。
その火曜日、僕が職場から戻ると、玄関に大量のクツが置いてあった。
ひぃふぅみぃよぉ・・・。
「台本と演出でSさんにも来てもらうことになってるの。」
放菴はコーヒーのいい匂いでいっぱいだった。このコーヒーも横浜からの支援物資。
ひさびさにいい香り。
お話はどんどん盛り上がった。決行日も3月30日(水曜日)と決まった。僕もせっせとコーヒーを沸かした。
ところがその後ちょいと風向きが変わってきた。
台本と演出でお世話になったSさん、「走れメロス」が今ふさわしい題材かどうかは疑問だという。
「いや、気になったことなんですが、王が残虐であることと、それから、途中にメロスが濁流を渡るでしょう? ちょっと「慰問」にしては激しいかな。とくにモロ津波を見てきた人にとって「濁流」は恐いのを思い出しちゃってキツイでしょ。」
ああ、なるほど・・・。
「それに、いまからセリフ入れる(暗記する)のは大変だから、きっと朗読劇になるんでしょ? 朗読劇でメロスの動きを出すのは難しいかなぁ。」
ふりだしにもどっちゃった。
これでなんとなく「走れメロス」は立ち消え。Sさんも「お役に立てなくて・・・。」と恐縮して帰っていった。
「でもなんかやれるんじゃないかな。それぞれがリーディング劇とか朗読とか落語をやればいいんじゃない?」
BELAちゃん、へこたれません。
次の日(水曜日)、僕が職場から戻ると、玄関のクツの数はもっと増えていた。
なんとそれぞれ劇と朗読と落語がほぼ決まり、稽古に入っていた。
トップバッターは在仙の劇団員3人によるリーディング劇、そして朗読が三つ、トリは落語。
それぞれの所要時間を確認し、演出について各自から注釈が付いていた。
たった一日でここまで詰めているなんて・・・スゴイ!
僕はまたせっせとコーヒーを沸かした。
慰問する避難所は近くの中学校。
震災直後、ここはマンション被災者であふれた。
マンション被災者は、主にライフラインの切断により家に入れなかった人、または入れたけれど暮らせない状況の人。
みんな水と電気が復旧したあとも、貯水槽の故障やらマンション躯体や設備の問題でいつまでも帰れなかった。
受け入れた中学校でも教頭先生以下職員が輪番で宿直していた。
BELAちゃんたちが慰問したときには、みんなマンションへ帰れていて、ほとんど高齢者だけが残っているような状況だった。
3月30日(木曜日)、僕が職場から帰ると、中学校の方から10人くらい集団で歩いてくる人を見た。
子供がふたり駆け寄ってきた。あ、うちの子だ。
みんなで慰問を終えて放菴へ戻ってくるところだったのだ。
中には、以前ブログで書いた「鬼神楽(おにかぐら)」に出演していたお顔もちらり。
すごい人たちと慰問してきたんだね。
僕はまたせっせとコーヒーを沸かした。
みんな楽しかったようで。よかったよかった。
みんな何かできることをさがしていたんだね。
そんでもって「何かを演(や)れる」という喜びもさがしていたんだね。
「またやりたい。」
みんなそう言っていた。
うん、やれるといいですね。
ちなみに、演出のSさん、現在あちこちで「セロ弾きのゴーシュ」を熱演中です。
あ、そんな話をしていたら、コーヒー切れた。