山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

天気の神様、お手柔らかに!

2024年05月08日 | 山菜採り

 3日前にS川上流部に入って山菜採りを楽しんだ。

 目的にしていたコゴミや赤コゴミの収穫には何とか間に合ったのでほっとしたのだが、少々気になったのがコシアブラの成長の早さ。

 予想していた以上に育っていたのだ。

 地面から生えてくる山菜は、雪が消えて、地面が温まるとともに成長を始める。

 それに対して、コシアブラやタラノメのように、枝先に生える山菜は、地面の状態にあまり影響されない。

 それよりは、気温がどれだけの高さで経過したかが発芽の条件となる。

 上流部であれだけ成長していたのであれば、下流部でも、同様かそれ以上に成長しているかもしれない。

 その辺の状況を確かめたい気持ちもあって、S川の下流部に入ってみた。

       渓底のコシアブラ

 渓底に降りてみると、案の定、コシアブラがかなり伸びて、収穫ギリギリの状態まで育っていた。

       タラノメもかなり伸びてます

 木の芽系の山菜は、ほとんど最終盤です。

 地面はというと、

       フキノトウの綿毛

 フキノトウがすっかり伸び切って、綿毛を飛ばそうとしています。

 例年だと雪に覆いつくされている斜面も、

       わずかばかりの雪渓

 ということは、地面の山菜も芽吹いているはず。

 地面に目を向けると、

       深い地中から芽を伸ばし始めたウド

      おお、いいじゃないの!

       こちらは、ほぼ最盛期に入っていますね

 おや?

       竹が新芽を出しています

 ということは、

       やっぱり出始めましたね

 そうして、ここ2年、収穫を控えて休ませてきたコゴミ畑は、

       かなり元気になり

       以前の豊かさに戻りつつあります

       この斜面は3年休んだから、そろそろ

 いいウドが採り頃になるはず。

 大体の状況は確認できました。 十分でしょう。

 本日は、奥まで進まずに渓底を離れました。

       ムラサキヤシオが花盛り

 驚いたのは、例年5月末まで残る大雪渓がほとんど残っていなかったこと。

 遥かに見える月山の雪も、

       分かりづらいので昨年の同時期と比較

       雪形がまるで違います(こちらが去年)

 これで、去年も記録的に雪が少なかったんですけど、更に少ない。

 我々も、山の環境が崩れないように気を遣っているんだけど、季節の進み方については、手も足も出ません。

 山菜採り人としては、SDGsを大切にしながら、季節の変化に合わせて行動するしかありません。

 人間は勿論、生き物たちが生活に困らない程度の季節の変化であってほしいものです。

 天気の神様、ご配慮を、よろしくお願いいたします。


春が逃げてゆく前に

2024年05月03日 | 山菜採り

 今年の(も?)春は足が速い。

 既に何度も夏日になり、所によっては4月の真夏日。

 確か、気象庁の区分では、3~5月が春のはずなんだけど、この調子だと、5月は『夏』になりそうですね。

 ついでに言うと、9月まで夏が続くのは確実。

 そして、1年の半分が夏と言う日が間もなく来るんじゃないのという感じ。

 で、困ったのが、この春の逃げ足の速さ。

 N川で山菜採りが始まったと思ったら、M川、T川と山菜のピークに達してしまった。

 既に、早春は終わって初夏の山菜の足音が近づいているのが分かる。

 我々山菜同窓会のメンバーは、一応、春山菜の収穫と料理を満喫しているから悪くないんだけど、問題は他のメンバーと今後の動向だ。

 例年通り行動していたら、次の収穫地であるS川の春山菜が終わってしまいそうな気配。

 ということは、このままだと、向かいの住人M氏との春山遊びの楽しみが半減してしまう。

 突然で申し訳ないけれど、電話して明日の予定を打診。

「多分、明日辺り行かないと、コゴミ終わってしまうんだズ。」

「明日?んん~と、大丈夫だ。今から準備する。何時や?」

「4時でどうだ?」

「OK!」

 で、急遽出発となった。

 目的地は、例年と違ってS川の上流部。

 コゴミと、去年M氏と約束していた赤コゴミを採るなら、こちらの採り場となる。

 5時ごろに着いて渓に降りると、

       案の定、コゴミは、だいぶ伸びている。 でも、

       いい感じのものも出ています

 早速、収穫開始。

       コゴミ採りに精を出す

       クワダイも出てます

 先日、十分にいただいているので、本日はパス。

 それよりも、

       こういう崖の途中や脇に出るんです

       見えるかな?

       これなら分かるよね

 根が浅いので『ケツカケウド』と呼ばれるんですけど、食べ頃なので戴きます。

 さらに進むと、ありました。

       これが、第二目標

       赤コゴミです

       収穫を始めるM氏

 初めて収獲するM氏は、

「こういうのだったのか。」

と言って採り始める。

始めは、他のシダ類との区別がつかない感じだったが、だんだん慣れてきた感じ。

 続いては、

       ウルイです

 一昨日も少しは採ったんだけど、足りなかったので追加です。

       太めのものだけを戴きます

 周りを見渡すと、おおっ!

       ネマガリタケです

 日当たりの良い場所と、川沿いとに少々出ていました。

「いやあ、おもしぇえなあ。」

M氏は、これにフキノトウとコシアブラを追加して満足気。

 マタギも、欲しかった山菜を採れたので大満足です。

 川通しに戻ると、

       足元は花盛り

       頭上は新緑に満ちています

 ああ~、気持ちよかった!

 そして、間に合ってよかった。

 山の神様、本日もありがとうございました。

 この次は、初夏の山菜が多くなりそうだけど、また、よろしくお願いいたします。


何はなくてもイヌドウナ

2024年04月30日 | 山菜採り

 我が家のフジの花が、

       ほぼ満開になりました

       花穂も伸びて半分以上開花

 このことが意味するのは、遥かに離れたT川の山菜も最盛期を迎えるということ。

 この法則は、山形県の温暖化が進んでも変わらない感じ。

 いよいよ、T川も本番ですよ。

 本日も同行するのはT氏。そして、去年の秋以来のA氏。

 3人で行動するのは、1年ぶりだ。

 年々老境に近付いている3人だが、こうして今年も同行できるのは、何よりも喜ばしいことだ。

 「やっぱり、クワダイ(イヌドウナ)欲しいね。」

「俺も。他はいらないからクワダイ。」

車中でA氏と近況報告しあいながら、本日の目標も確認しあう。

 途中から合流したT氏も、

「今日はクワダイ。」

と言う。

 この山菜、キク科の多年草(?)で、独特の風味があるせいか、コゴミやワラビみたいなメジャーではないのだが、その美味しさを知ってしまうと病みつきになる魔力を持っている。

 そして、我が家のフジが花盛りと言うことは、T川のクワダイも盛りと言うことなのだ。

「先週当たれねっけ斜面な。」

「まず、あそこまで行ってから、次、考えっぺ。」

先週の目的地は、下流のコゴミ畑。 今週はクワダイが目的だから、上流の斜面をめざすことになった。

その辺は、何十年と一緒に通っている3人だから、余計な説明はいらない。あそこと言えば、あのクワダイパラダイスの斜面に決まっているのだ。

 

       あの斜面を登る

 そこは、

       クワダイが

      いくらでも生えている

       正にパラダイス

       コゴミも生えてるね

でも採りません。

       フキも大きくなってきた

でも採りません。

       欲しいのは、先の尖った貴婦人のような

クワダイだけ。

       「つい採り過ぎてしまった」と言うA氏はリュックに詰め替え

 マタギは、ものの15分で打ち止め。

 出ている山の幸を観察しながら散策します。 

 おや? あれは?

       ウドですね

初物につき、ゲット。

 ついでに、木の枝につかまりながら崖を下って、

       これも初物なので

 ウルイ(オオバギボウシ)もゲット。

 ついでのついでに、

       せっかくアイコも出てるからゲット

 何だか、品数が増えてきましたよ。

 でも、このぐらいなら何とかなるよね。

 これでも、自制したんです。

 ゼンマイもちょうど盛りだったけど手を出さず、ミズも大分大きくなってきたけど手を出さず、帰宅後の下処理に困らないくらいの収穫です。

 ・・・まあ、このほか、フキノトウの雌花とシドケも少々もらってきたけど、何とかなるでしょう。

 まだ、午前6時半前なんだけど、もう十分です。

 T氏もA氏も同じ心境のようです。

 ああ~、面白かった!

 収穫もさることながら、今年もこの3人で山遊びを堪能できたことが何よりも嬉しい。

 自然界からの恵みと、我々の健康に乾杯!

 山の神様、本日もというか、今年もありがとうございました。


早すぎるゴールデンウィーク?

2024年04月25日 | 山菜採り

 「明日は、アジ料理の続き。」と言っておきながら、今朝はT川に山菜採りに来ている。

 アジ料理はするんだけど、朝は山菜採り。

 もうちょっと付け足すと、山菜は、T川だけでなく、N川でもM川でも盛りを迎えようとしているのが分かる。

 正直に言って、いくつ身があっても足りない状態なのだ。

 この状態になるのが、例年だと5月の始め、いわゆるゴールデンウィークの頃だった。

 しかし、ここのところは、季節の廻りが1週間以上は早まってきて、海と山のゴールデンウィークが今なのだ。

 ここは、勝負どころなので、たとえ台所が収穫物で溢れかえっても出かけなければならない。

 ここで時を逸すると1年間を棒に振ってしまうことになる。

 まあ、「ちょっと早すぎるんじゃないか?」ぐらいの気持ちはあるんだけど、とにかく、自分の目で確かめておく必要もある。

 例によって、T氏と待ち合わせをして山に入った。

       斜面の下には雪

 これでも、例年よりずっと少ない。

       春は斜面の上から降りてくる

 同じ斜面なら、下に雪が残り、日の当たる上の方から芽吹きが始まる。

 T氏は、かなり気合が入っている。

 斜面を登って山菜を採り始めた。

 マタギは、家で待っている食材のことを考えると、あんまり気力が湧いてこない。

 季節の進み具合を観察しながら目的地に向かう。

       キクザキイチゲはここでも花盛り

       オオバキスミレに

         スミレサイシンも咲いています

       一番会いたかったクワダイ(イヌドウナ)は、いい感じ

       ミズ(ウワバミソウ)と

       シドケ(モミジガサ)は出始め

       フキノトウの二次形態は食べ頃

 そして、目的の広場に到着。

       あらららら

       『パラダイス』じゃないですか

 これを採らなかったらばちが当たるってもんだ。

 山菜採りモードのスイッチが入った。

 ホントのことを言うと、家には、去年のコゴミがもう少しだけ残っているんです。

 でも、これを採らないわけにはいかない。

 「俺はコゴミは採らない。」

と言うT氏も、家に在庫があるため、禁止令が出されているらしい。

 ここで、悪魔のささやきをかける。

「いい保存方法教えっから、試してみ。」

「おおっ、それはやってみるか!」

と言って採り始めた。

 そうして、・・・満足。

 さて、後半戦でクワダイを採るつもりでいたんだけど、途中で会った地元民と思われる若い衆から、

「あんまり荒らし過ぎねでのお。」

と言われてしまった。

 こちらとしては、SDGsを心がけているつもりなんだけど、そう言われてしまってから採って諍いになるのは嫌なので、クワダイは次回にまわすことにして、本日は終了することにした。

 既に十分な恵みを戴いているから未練はない。

 T氏と次回の再訪を確認しあって帰路に就いた。

 帰宅して玄関のフジ棚を見ると、

       いつの間にか

       花穂が伸びていました

 やっぱりうちのフジの花と、遥かに離れたT川の山菜とは、同じように季節を感じて成長しているようです。

 これから、花盛りに向かっていくのと一緒に、T川の山菜たちも盛りを迎えていくことでしょう。

 山の神様、ありがとうございました。

 またこの次もよろしくお願いいたします。

 ついでに、地元の方々へ。  乱獲はしませんから、これからも楽しませてくださいね。


幸せの青いタラ

2024年04月21日 | 山菜採り

 これから山菜採りに出かけるのは、二転三転どころか、四転ほどした結果決まった『近所の山 のんびりコース』だ。

 事前情報は殆どないが、A氏によると、同じ流域の山菜採り場での季節の進行が、去年に比べると、かなり遅れているらしい。

 それでも、何も出ていないということもあるまい。

 その辺の状況を確かめることが、今回の最大の目的になる。

 とにもかくにも、自分の目で見て判断することが、次のステップに進むためには必要なのだ。

 おいしいアンパンを食べて腹ごしらえが出来たころ、それまで降っていた雨が止んで、空が明るくなってきた。

 予報通りだ。

 それでは、出掛けてみますか。

 目的地に向かう途中で通る川原の桜並木が、満開から散り始めにかかり出した感じ。

 上流部の林道の入り口は、まさに見ごろの満開だ。

 林道の路上に雪は残っていないが、枯れ葉枯れ枝がところどころに目立つから、山仕事(林業)については、まだ本格的な作業は始まっていないようだ。

 車止めに着いて周りの景色を見る。

       雨上がりの霧が立ち上る

 新緑には、まだ早いのだが、ヤマザクラが花を咲かせ始めているのが見える。分かるかな?

       若いカラマツ

 植林のカラマツが芽吹き始めたようで、爽やかな黄緑色に癒される。

 足元にも黄緑色が広がりつつある。

       ヤブカンゾウや

       フキノトウ

 N川に比べると、若干季節の進みが遅いのかもしれない。

 林の中を見ると、

       コシアブラの新芽(ピンぼけ御免)

 この辺りも、間もなく山菜銀座になりそうですね。

 今日は、まだ少し早かったようです。

 ところが、

 おや? あれは、もしかすると!

       タラノメですよ

       さっきまで降っていた雨粒が、まだ残っています

       あらら、食べ頃じゃない

 タラノキ自体が棘に覆われているのは仕方がない。

 でも、更に野バラが二重三重に囲んで、タラノメを守っている感じ。

 しかしですねえ、君たちを見つけたからには、そんな障害物に怯んだりしませんよ。

 欲タガリは、手袋をはめて、鉈で藪を切り開きながらタラノメちゃんに会いに行きます。

 まるで、眠れる森の美女に逢いに行く王子様みたい。

 そして、目の前まで来たら、一番芽だけを優しくポキリ。

 見渡すと、そこら中に同じレベルに育ったタラノメがいっぱいあります。

 これは、多分、マタギがこの林への今年の一番乗り。

 人にとられた気配が全くありません。

 昨日までの高温と、夜半からの雨のせいかな。

 すごくラッキーです。

 大きめのタラノメだけを選んでいただいてきました。

 ・・・満足!

 実は、今朝、遠征を断念したN川でも、狙っていたのはタラノメだったんです。

 同じ収穫物なんだけど、かたや往復5時間コース。

 こちらは、1時間もかかりません。

 なあんだ、わざわざ危険を冒して遠征しなくても、こんな近くで、こんなにいい具合に芽吹いてマタギを待っていてくれたんだ。

 幸せを求める旅は、必ずしも遠くばかりを見なくてもいいということなんだね。

 これは、奥羽山脈の山の神様の計らいなのでしょう。

 ありがとうございました。