草枯れて対岸遠くなりにけり ひよどり 一平
(くさかれてたいがんとおくなりにけり)
・・・・・・・
先夜、認知症診療の第一人者と言われている医師の長谷川和夫さんが、自らが認知症になってからの日常を描いたNHKのTV番組を見た。
「認知症になることは不便だけれど不幸ではない」とは長谷川さんの言葉だとか。
その長谷川さんが、いろいろな場面に遭遇しながら、戸惑ったり、不機嫌になったり、悩んだりの様子を見せてもらって、私も大いに感じることができた。
老人の部類に入れば、誰も認知症は他人事ではない。
あるシーンの中で長谷川さんが、「うーん、確実性が失われてきた」と小声で述懐していた。なるほどなァと思った。
老化が進めば、病気か否かは別として、行動や記憶の確実性が徐々に低下して行く。「高齢者の交通事故」などもその中の一つかもしれない。
記憶や行動の確実性を、少しでも長く維持するにはどうすればいいのだろうか。
・・・・・・・
今まで近くに見えていた景色なら、いつまでも近くの景色として眺めていたい。