帰りは雨もそこそこ上がったので、歩いて富山駅まで戻る。そして、とりあえずホテルにチェックイン。新しいホテルだと思うがなかなかシックで落ち着きがある。
窓から見えるのは駅前の楕円形バスターミナル。市電も含めて、市内交通は良く整備されていると思う。
次の写真はホテルのロビーにある「miroir(ミロワール)」(=mirror+terrior)。という飾り。富山は「ガラスの街」というアピールは強めである。
雨が大体おさまったところで繁華街に向けて出発。
さて、今日は3連休中日の日曜日である。地方都市では日祝に営業している飲食店は少なく、事前に探しておいた店も電話をしたら予約は無理だということであった。これは開いている店に客が集中することと、富山まつりも影響しているかもしれない(打ち上げなど)。
ということで、どこか開いているといいなあと思ったが、見た感じが良い店は当たり前のようにかなりの混雑だ。ところが、しばらくさまよっているうちに、富山で評判の名居酒屋「O」を発見した。この店は日曜休みのはずだったが、明日が祝日とあって営業しているようだ。おそらく無理だろうと思ってのぞき込むと、カウンターの席が一部空いているようで、念のために入れるかどうか確認してみた。
すると、なんと狭い席ながら座れるというではないか。周りに相当気を使いつつ席に座り、瓶ビール(サッポロ黒ラベル)でスタート。通しはキュウリとクラゲとミョウガの酢の物である。
さて、何を食べたらよいのか判断が難しいメニューの中から、まずは刺身盛り合わせで様子を見つつ、考えよう。
刺身の盛り合わせはいずれも良かったが、印象的なのは白海老のちょうど良い甘味である。もう一つ、平目はガツンと昆布締めしてあって、刺身と干物との中間といったら言い過ぎなのだが、そのくらい旨みが凝縮している。この辺は富山の昆布文化のなせる技だろう。その他、今回はどの店でもアオリイカが季節なのか、美味しかった。それからカンパチも歯ごたえ十分であった。
これはたまらず、よしのとも純米燗を頂く(酒のメニューにもかなり悩まされた)。コップに表面張力をフルに発揮して出てくるので、まずは口からお迎えに行くしかない。味は程よく辛目で食中酒にもってこいの感じである。
→写真は一口飲んだところ。
続いて、昆布の活用に興味を持ち長芋昆布締めを注文。昆布の味わいはあるが、ちょっと醤油をつけても良いのかな。
そして、静岡での海つぼに続いて、日本海側に来たらバイ貝煮である。幸いなことに「身を取りましょうか」と店の人が聞いてくれたので、ここはお任せして身を取り、さらに適当な大きさにカットしてもらったのが実にありがたい。バイ貝の肝は海つぼより海寄りの味がするね。
酒は富美菊特別純米酒(常温)にしてみると、これまたハッとする美味さがある。新潟もそうだが、富山の日本酒レベルは高いと言えるだろう。
さて、私がメニューにあったら頼まざるを得ないのがあら煮である。私の前にこれを注文した客にはカンパチのかぶとが出ていたように思うが、私のあら煮は鯛かぶと(しかも大量)であった。
→皿の横幅は30cm近くある。
静岡に続いて、あら煮で腹いっぱいになるという珍しい目にあってしまった。鯛は目の下の肉から目玉から、カマに至るまで、とにかく美味いのである。
さて店は第一陣が帰り始めると少し落ち着いた感じになってきた。私は先客の随分狭い間に座ることになったのだが、右手にいたのが名古屋から来てここに通っているというオジサン。もう1人は珍しい日本酒を中心に攻める富山愛好家(酒好き、山好き)で、当然のことながら富山の話題を中心に会話がはずみ、かなり盛り上がった。
それではそろそろ勘定をしてもらうことにするか。心残りとして神通川の地あゆ(もう品切れだった)、煮こごり、げんげ汁、ずいき昆布〆などいろいろあるが、人間には食べられる限界というものがある。残念だがやむを得ないのだ。
何とか日曜日の一軒目を成功させて、次へ。