本日は近美→三岸→紀伊国屋→プラニスの4か所。
土曜日は終日休養してしまったため、珍しく日曜日に街中へ。今日は暑くなりそうなので、なるべくそれを避けるため、9時に出発。
■北海道立近代美術館「小原道城・署と水墨画個展」。私が持っている美術館友の会の会員資格が6月までなので、早めに来ようと思っていたのである。開場少し前につくと、驚くことに30人くらいの行列が出来ている。やっぱり絵画人口より書道人口の方が多いということかな。私は行列が無くなるまで、近美の前庭を散歩する。
これはポプラの綿毛か。写真で見ると何となくいい雰囲気だが、すぐそばに結構大きな道路があるので、大したことはない。
3分ほどすると行列もなくなり、検温・記名をしてから会場へ。
「牡丹」:白地にカラフルな牡丹。なんというか、「ド華やか」な作品である。
「鶴遊」:これは金地に悠然たる文字。下品になっていない。
「牡丹」:この世のものとは思えないカラフルな蝶2匹。影で立体感があるため、西洋風でもある。
「鵬遊」:「鵬」という字には鳥の形が見え、「遊」という字には子供の姿が見える。象形文字的な感じ。
「小品貼り交ぜ五十枚」:さまざまな書と画があり、これを見ながら酒が飲めそうだ。
「山水」:古典的な中国風山水図。幽玄な雰囲気がある。
「山水図」:高い崖の間をうねるように川が流れる。さらに遠くには高い山がそびえたっている。
「紅梅図」:くどい程に「紅」梅。
私はもう一つ「書」に興味が持てないのだが、結構な数の水墨画が展示されていたので、まず面白く見ることができた。展示会場は最初こそちょっと混雑していたものの、途中からはゆとりをもって見ることができるくらいである。なお、展示目録の作品タイトルには、主題の次に「賛」の一部が記載され、それぞれ区別がつくようになっているのだが、簡単に変換できない文字が多いので、省略させてもらった。
そういえば、入場時に小原道城「薫風」と描かれた団扇が配られていた。結構、しっかりした品物である。
知事公館の庭は7月11日までは入れない模様。
■三岸好太郎美術館「貝殻旅行 三岸好太郎・節子展」。最初に言っておくと、おすすめの展覧会である。
入館してすぐのところに、今回のテーマである貝が飾ってある。
三岸節子「自画像」:例の有名な自画像である。目が特徴的。
三岸節子「風景」:好太郎の東京近郊の風景画に似ている。何となく、二人の作品がシンクロしている所はあるね。
三岸節子「花・果実」:後ろの屏風のようなものに文様(字?)があり、オリエンタルな雰囲気。
三岸好太郎「裸婦」:個人蔵なので、おそらく初見ではないだろうか。背景の屏風は色・文様ともに節子が描いたものに似ている。
三岸節子「室内」:今度は絨毯がまた同じような色合いなのだ。そして室内には金魚鉢、花瓶と花があり、好太郎作品との類似性を感じる。
三岸好太郎「オーケストラ」:宮城県美術館からこの作品が登場。
三岸好太郎「雲の上を飛ぶ蝶」:下半分の雲はふわふわしているようにも、冷たい雪のようにも見える。
三岸好太郎「旅愁」:下のテーブルに3つの貝殻、作品の大部分は思い切って窓で切り取り、空と海だけが見える。
三岸好太郎「海と斜光」:福岡市美術館の有名作品。ピンクの砂浜がズバッと斜めに入ってくるところが良い。
三岸好太郎「海と斜光」:名古屋市美術館のこの作品は女性像がない分、より空虚な気配もかんじさせる。この辺、一連の作品を見ると、微妙に違う印象が感じられ、面白いものである。
三岸好太郎「煙突と蝶」:今回、高輪画廊から出品された作品も多いが、これは初めて見た。資材やパイプライン、工場の建物の上を蝶が飛んでいる。
三岸好太郎「女の顔(絶筆)」:遺族一同から今回の展覧会を記念して、寄贈される作品。
三岸節子「月夜の縞馬」:夜の動物ということで、国松登の作品を思わせるところがある。
三岸節子「摩周湖」:これは北海道立近代美術館所蔵だが、節子が北海道を描いた唯一残っている作品なのだそうだ。摩周湖の緑が素晴らしいのだなあ。
三岸節子「室内」:パステル調、ナビ派を思わせるような不思議作品。一時期こういうのもあったのか。
三岸節子「鳥と女と」:初渡欧後に描かれたということで、埴輪をモチーフにした和風シフト作品になっている。
三岸節子「太陽」:大磯に移り住み、上から緑・太陽の黄色・青・黒に近い濃紺と、どこかの国旗のデザインのようである。
三岸節子「グアディスの家」:赤い屋根、白い建物がブロックのようにゴツゴツと描かれており、後期作品はこういうイメージだよな。
三岸好太郎「サーカス(未完)」:柵と火の輪くぐりの輪であろうか。人のいないサーカス風景。
三岸好太郎「アトリエの庭」:画中画が描きこまれており、地味だが見どころのある作品。
ふらっと喫茶コーナーの方に行き、目についた「春の野辺」(作品は所在不明)に登場する好太郎・節子をモチーフにしたキャンディを購入。たまにはお金を使っていこう。
ここから、札幌駅方面へ。最近歩いた道ばかりなので、通ったことのない、北5条通りの1本南にある中通りを歩いてみる。
少しすると行き止まりになってしまい、結局は北5条通りへ。北大植物園の北側を歩いて、札幌駅前に到着。昼前だが、もう暑いといっても過言ではない(道端の温度計は30℃になっていた)。
昼食後、本屋さんに行ってから(収穫なし)、エスタへ。
■プラニスホール「アール・デコール 装飾と空間のはざまに-北の美術の新地平」。毎年書いているような気もするが、テーマが有るんだか無いんだかさだかではない、プラニスホールの展示である。美術は少なからず「装飾的」でもあるし、どの辺が「新地平」なのかよくわからないんだよねえ。
森迫暁夫「どこまでもつづくとてもしずかでおおさわぎな森」:森にあるこまごまとしたものの上に、緑の流れのようなものがオーバーラップしている。洛中洛外図の雰囲気か。
川上加奈「ワインの人」:ブドウの木を象った人。ブドウの実と蛇口が付いている。
佐藤綾香「魚群」:川を上る鮭がはみ出てきそうな作品だ。
佐藤綾香「青蜜柑」:今度は青々とした香りが漂ってきそうな作品。
宇野嘉祐「karma」:イソギンチャクのような海中生物。水中から水面に反射した姿が見える。
この後、休憩してから、場所の関係上、ニセコ行きのバスに乗り帰宅。