今日は仕事も順調に終わり、夕食は外でとることにした。気持ちの良い気候の中、歩くことしばし、久々の居酒屋「D」へ。先客なく、カウンターど真ん中に一人座る。今日の最初は小さめのビールだな。
通しは高野豆腐、イカ、エビの煮物。煮たエビなどつまらないと思ったが、予想外に濃厚で美味い。貪るように食べて、いつもの刺身を注文する。今日もなかなかの豪華メニューで、手前から赤エビ、桜ますルイベ、青ソイ、蒸し牡蠣ルイベ、ツチクジラ、タコ頭、しめ鯖の7種盛りである。
赤エビは甘く、桜ますは脂乗りが良い。今日のお勧めはこの時期にしては良いらしい青ソイで、脂のちょうど良く乗ったしっとりした味がある。ツチクジラも癖が無く、程よく食べやすい。しめ鯖はかなりの身の厚さであり、しつこくない脂が美味い。これには飛龍純米大吟醸を合わせよう。
ちょっと出してもらった塩辛で酒が進み、次はいづみ橋恵青ラベルというのを頂く。
刺身を食べ終える頃、天然本まぐろ大トロバター焼という普段見かけない品が気になった。聞いてみると、超低温冷蔵庫に巨大マグロの一部が残ったままになっており、色が悪くなったので卸が困っているところを買ったものだそうだ。量が多いとしつこいということで、少な目で焼いてもらうと、こんなのがやってきた。こりゃ、ステーキだね。
味は実にパワフル、かつ美味い。大トロを焼いてしまうのだから、これは贅沢品だなあ。量はちょっと物足りないくらいが良いのだろうな。食べ過ぎると途端にくどくなるのだろう。この余韻を楽しみながら、腹具合としてはもう一品欲しい。煮付けとフライで2種類メニュー入りしているので、お勧めなのだろうと思いホッケの煮つけを注文してみた。
何気なく見えるホッケの煮つけだが、これが素晴らしかった。食べたことのある魚の煮付けの中で生涯最高かもしれない。まず「今日煮ようかと思って、さっき出汁を取りました」という出汁の香りがいい。そして、出汁を取るときには、焼いた箸を入れて臭みを取る技法を使っているらしい。
しかし、何といっても驚くべきはホッケだ。ホッケも昔に比べると取れなくなったそうだが、今年は割と質が良いとのこと。思わず私は「マスター、これ『高級魚の煮付け』と言って出した方が良いですよ」と言ってしまったほど、素晴らしく美味い白身魚としか思えないのだ。子供のころからホッケは食べ慣れていて味は良く分かっているはずなのだが、あの特徴はやはり少し鮮度が落ちたものなのだろう。
衝撃とともにホッケを食べ終え、感動を伝えつつ勘定をしてもらった。
1日経過して記事を書いている最中でもあの風味が思い出されるのである。