散歩日記XX

主に趣味の話を書いているブログです。

20250308ギャラリー巡り

2025-03-08 16:15:30 | 美術・アート
本日はHOKUBU→土屋ホーム→エッセミニ→大丸→芸森の5か所。芸術の森に行って帰って来るのに時間を取られた。

天気は比較的よく、あまり寒くない中を出発。



■HOKUBU記念絵画館「平塚運一展」。この人の版画は2019年にだて歴史文化ミュージアムで見ているようだ。
「洲崎遊郭(東京震災風景より)」:1925年、大正末期の作品。光線画の香りが残っている。



「机上小禽」:こういう密度の濃い小口木版のようなのも良いな。



「雪のニコライ堂」:1946年と戦後すぐの作品。小さなカラーの木版が可愛らしい。



「彫り上げて」:版を彫り上げて「さあ摺るぞ」という楽しい気持ちが伝わってくる。



「椰子並木街道パームスプリングス南カリフォルニア」:1895年生まれなので、昔の日本人と思っていたが、アメリカに30年以上住んだ経験がある人なのだ。これは1991年の作品。



■土屋ホーム「表現する~IPPOの軌跡~」。建築系の人だが絵画も描いているのだ。次の作品など、若い人が描いたのではないかという儚さがある。



抽象画、風景画、静物画と幅は広い。



「北海道大学構内SEKOMA原案イメージ」:これはお仕事関係のスケッチであろう。



■札幌芸術の森美術館「マイ・ホーム(仮)」。
小林知世「untitled(wistにあてて)」:特定の風景や物を感じさせない作品の中で、廃墟と思われる部屋を描いたもの。これが作者の「マイ・ホーム」なのであろうか。



南阿沙美「テント」:ホームレスの生活者を撮影した作品群の中に青いテントが置かれている。これはもちろんホームレス者の「マイ・ホーム」を意味するものであろう。展示されている写真そのものは人の顔が写っているので紹介しないが、たくさんの写真を持っていて、それを見せてくれる人がいたのだそうだ。おそらく自分の過去とのつながりを忘れないように持っているのだろうが、何もかも捨て去ってこのような生活を送っているということでもないのだな。全体的に社会問題を取り上げたというよりは、自分の気になる人のスナップ写真を撮りましたという感じがある。



武田浩志「portrait 291」:右側はアクリル絵具で描いた絵画、左側はモニターに映る画像である。写真撮影の瞬間は多少の色の違いはあれどもたまたま同じ図になっているが、画像はどんどん変化して全く異なるものになってしまう。「絵画ってなんだ」ということがテーマなのではないだろうか。



武田浩志「portrait 290」:ということは、彼は「マイ・ホーム」を自分の住む家ではなく、アーティストとしての原点と解釈して「絵画ってなんだ」を問いかけているということになるのだろうか。



米坂ヒデノリ「残照」:我々はどこから来たのか。





米坂ヒデノリ「母と子」:我々は何者か。



米坂ヒデノリ「さようなら」:我々はどこへ行くのか。…とでも言いたくなるような米坂の作品である。彼がこの展覧会中「マイ・ホーム」を最も広い空間と、最も長い時間に設定して、我々の存在について疑問を投げかけてくれたのではないか。



長坂有希「手で掴み、形作ったものは、その途中で崩れ始めた。最後に痕跡は残るのだろうか。02_ライオン」:ライオンの彫刻を見て「ライオンは実際の目と心の目で物事を見つめる」という神話の一節を頭に浮かべて制作した作品だそうだ。海の映像はライオンの彫刻が見ていたであろう風景である。



そして手前の台にはライオンの目を模したと思われるゆがんだ球形の物体が配置されている。



ライオンは大英博物館に収蔵されてしまったのだそうで(さすが盗賊国家)、もしライオンに心があるのならば、「マイ・ホーム」のことを思い出し続けているのかもしれない。

田中マリナ「ある夜」「壁画」:展示作品は都会を描いた「To the City」というパートと、田舎を描いた「Into the forest」というパートに分かれている。なんとなく自分の都合で住む場所を複数持つ(しかもわかりやすい都会と田舎)ということに対して、私は反発するものを感じた。

しかしながら、もしお金や仕事の制約がなければ人は住む場所をどう選ぶのであろう。もしかすると私も夏は北海道を、そして冬は九州を選んで気分に合わせて住むのかもしれない。そして他人との付き合いや、見分は倍以上に広がるのかもしれない。



それ以前に当然、複数の故郷を持つ人だっているわけで、一か所に定住しなければならないという考えこそ、農耕民族由来の偏った考え方なのかもしれない(だとしても都会と田舎の二極構造は単純かなあ…)。



葛西由香「7日目の創造」:非常に身近なものを描く日本画家で、「マイ・ホーム」が最も狭いのは葛西だったかもしれない。しかし、私はその視野の狭さに文句をつける気がせず、「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さ(深さ)を知る」という言葉を思い浮かべた。



葛西由香「消火器とスコップと雪山のコンポジション」:絵画の文脈で「コンポジション」というと構成とか構図ということになるのだろうが、そこになかなか使われない言葉(もの)を持ってきて当てはめたタイトルである。どんなものであっても、作家が注目すればそれは絵画になるという自分の絵画の原点に言及した作品であろうか。



意外といろいろ考えるポイントがあり、あっという間に時間が過ぎてしまった。



B展示室では「入門・本郷新-彫刻家が遺した愛-展」が開催されていた。



本日はこれで時間切れ。仕事をやめたら週2回くらいはギャラリー巡りに費やしたいものである。そうすればもう少し札幌美術のカバー率が高まるであろう。
コメント

なぜか秋田2 秋田のアート4日目

2025-03-04 14:48:58 | 美術・アート
秋田空港にてなまはげ像。



秋田空港の菅原綾希子(造形)、金村弘至(フローラルアーティスト)「おしゃれな秋田犬」。



矢口高雄「釣りキチ三平・山魚女群泳」。



最終日はこれにておしまい。次は秋田の街並み編へ。
コメント

なぜか秋田2 秋田のアート3日目

2025-03-04 14:04:00 | 美術・アート
秋田市立赤れんが郷土館「関谷四郎記念室」の前にある、田中勇デザイン、関谷四郎制作のイルカオブジェ。



「明治天皇行在所跡」。説明の碑がちかくにあるらしいのだが、雪で埋もれていた。



デザインがカッコいい建物(トイレじゃないと思う)。



「一撃を加える必要がある時である。」…ネットで検索する限り、ナチの御用学者アルフレート・ローゼンベルクが書いた一節なのだろうか。この紙を貼り付けるのは、どういう主張なんだろう。



秋田駅前にある郵便ポスト(竿灯まつり)。



秋田駅前にある阿部米蔵「団欒の群像」。





「秋田駅前土地区画整理事業 完工記念 昭和四十二年三月 秋田市長 川口大助」。



西武デパートのそばにある、桂由美制作「恋人の聖地」。



秋田市文化創造館。



鎌田俊夫「東海林太郎直立不動像」と歌碑。私の年齢以上であればお姿を見ただけで誰かが分かるであろう。私が前回(9年前)に来たときはなかった像である。





秋田市立中央図書館・明徳館の中で顔ハメ看板を撮影。図書館の中には彫刻、絵画があったのだが、撮影をするためには申し出が必要だったのだ。それに後で気が付いたため、明らかに写真を撮ってよさそうな箇所以外の写真は無し。



図書館前にある「秋田の赤い靴」。



同じく「英明」。



吹雪の中のあきた芸術劇場ミルハス。



ミルハスの中にあるアートっぽい壁。



千秋公園入口辺りにある「久保田城跡」。



「久保田城跡図」。



「贈 電気百年記念 東北電力株式会社 1988」。記念街灯のようである。



続く。
コメント

なぜか秋田2 秋田のアート2日目

2025-03-04 12:56:33 | 美術・アート
秋田近代美術館前あたりにある飛脚のキャラクター「与次郎」。狐が飛脚として活躍したが、それを妬んだ人間の飛脚たちに殺されたという話があるそうだ。



秋田駅にある小柳力「蕗のヴィーナス」。



秋田駅にある巨大秋田犬(写真ブレててゴメン)。



やっぱなまはげだよね。出張らしい二人組に写真を撮ってくれと頼まれた。



同じく秋田駅で皆川嘉博「きずな」。



秋田拠点センターアルヴェに展示されていた勝平得之「米作四題 田植(夏)」。



東北三大祭りの一つ、秋田竿灯まつり。



学習塾らしいところにあった「桑弧蓬矢」の碑。人の名前かと思ったら「桑でできた弓と、よもぎでできた矢のこと。男子が志を立てるたとえ。また、その遠大な志のたとえ」という四字熟語なんだそうだ。それにしても、女子の志のことを書いていないから、現代においてはどうだろうね。



猫っすかねえ?



追分駅前近くにある「奈良環之助 頌徳碑」。民族研究を行い、秋田市議、秋田市美術館の初代館長を勤めた人らしい。



秋田駅前に戻ってきて、三枝惣太郎「童(わらべ)」。



作者不詳「背中あわせ」。



秋田市民市場にあるお魚石像。下に「淡たんと粛しゅくと いま少し穏やかにとき流るべし兜蟹らの進化のごとく」と刻んである。



恵比寿の石像。



駅前に戻り「なまはげちゃん」(作者不明)。



遠藤洪平六「風舞」。



林美光「太陽」。

コメント

なぜか秋田2 秋田のアート1日目

2025-03-04 12:36:25 | 美術・アート
2025年2月に秋田市に行ったのだが、そこで見かけたアート(アートっぽいものを含めて)の紹介をしていこう。

秋田空港で見かけた、小柳力「蕗のヴィーナスII」。リムジンバスに乗るのに急いでいたため、写真がボケてしまった。



北都ビルディング前の本郷新「蒼穹」。



作家名、作品名の表示なし。



秋田カトリック教会前にあるマリア像。



教会の窓と十字架。



旭川五丁目橋の近くにある観音像。



歌碑「夕されば 川反の灯は やすらけり 観音像に 路ゆく人に 広明」



橋のたもと。昔は雉がいたのか?



仏壇仏具店の孔雀明王(なのかな?)。



酔っ払っていたのと、大きな道路の分離帯にあったので、遠くから撮影したひどい写真になった。
阿部米蔵「子供を交通事故から守ろう」。



続く。
コメント

20250301ギャラリー巡り

2025-03-01 15:24:01 | 美術・アート
本日は近美→資料館→大丸→チカホ→三越→さいとう→らいらっく→大通→富士フイルムの9か所。久しぶりに本屋さんに行ったら、買うべき本が沢山あったので荷物が重くなったのと、腰痛によりギブアップ。

■北海道立近代美術館「星の瞬間 アーティストとミュージアムが読み直す、Hokkaido」。
伊藤隆介「風景考」:作品の全体像は次の写真のような感じで、周囲3面には山水画が回転しながら投影され、床にはモニターが3個ある。



山水画といっても、これは箱館焼「染付湯呑茶碗・唐太之内ヲチョボロ」に描かれている風景をCCDカメラで映して投影しているのだ。確かに山水画というのは自分がその中にいるかのように空想を遊ばせるところがあるので、正しい扱いなのかも。但し、作者の説明によると「箱館奉行所が美濃焼の投稿を招聘して作った」官製ビジネスであり、陶工たちが現地風景を見たのかどうかも不明とのこと。北海道の今でも続く官依存を表現しているのかもしれない。



端聡「アースに還る」:砂澤ビッキ「風」(木製)と対立するように配置される鉄製の自動車だが、長い目で見れば鉄は酸化して自然に還るものではないだろうかという投げかけ。





イモンパウク「盆」:90cmを超える木製の盆。アイヌ民族の多種多様な文様が使われており、ある種、産業奨励のためのカタログのような位置づけにあるのではないかという考察がされていた。これ、当然一木造りなんだよね。北海道博物館蔵だそうだが、これほどのものがあるとは知らなかった。



俣野第四郎「静物図」:これは本郷新寄贈の作品。あまり見た記憶がない。



小寺真知子「アウローラ」:ヨーロッパに学んだ日本(北海道)の彫刻家についての資料とともに展示されている。



風間天心「Invisible faith」:北海道におけるキリスト教、仏教などの宗教の影響を表現した作品。正面の高い位置には水引を使って作られたキリスト像がかかげられ、下には厨子(仏壇の元になった)、仏壇、キリスト教家庭祭壇が配置されている。そして手前の「アウローラ」も神に救いを求めているかのようだ。



花田和治「手稲山」:道のようであり、山のようであり。



花田和治「水辺にて」:空の青と水の青を描くシンプルな構成。



■北海道立近代美術館「変貌する20世紀ヨーロッパガラス」。うーむ、21世紀に入って四半世紀経つのだよなあ。





■大丸画廊「-星のひとー紅露はるか日本画展」。静かでひっそりとした素敵な作品が多い。

■チカホ「まちなかミュージアム」。
900万年前のクジラ骨格標本。



820万年前のサッポロカイギュウの骨格標本。



札幌にも博物館があって欲しいのだが、作っても展示物の更新がなされないのであればお粗末で貧しい限りである。ちゃんと研究・保存・展示を未来にわたって行い続けるという覚悟が必要である。

■らいらっく・ぎゃらりい「西村昌実作品展」。2025年の北海道銀行カレンダーの画を描いている人の展覧会。昔の少年雑誌の絵画を髣髴とさせるクリオネの画である。



もうダメ、疲れた。
コメント

なぜか秋田2(12)市内あちこち

2025-02-23 11:40:35 | 美術・アート
ホテルを出発して、まずは歩いて10分くらいのところにある秋田市赤れんが郷土館へ。





■赤れんが郷土館。ここは前来た時と変わりがないと思う。旧秋田銀行本店本館にして、重文。なんとなく小樽の三井銀行と近い雰囲気がある。



旧頭取室にある紅縞石の暖炉。



貴賓室にある長椅子と衝立。「秋田」の文字をデザインした秋田銀行の行章。



2階から天井とシャンデリアを見る。



■関谷四郎記念室。秋田に生まれた鍛金の人間国宝である関谷の作品が展示されている。

■勝平得之記念館「秋田の自然と風俗~農村へのまなざし~」。版画作家である。
「農民風俗十二カ月」:3月に堆肥を入れ、4月に種まきとやはり北海道より春は早い。
「橇」:普段は乗合馬車で、冬になると橇に乗って農民たちは湯治に行っていたのだそうだ。
「土に生きる・タイトル画」:ドキュメンタリー映画のタイトル画を版画で作成したもの。なんと解説は徳川無声である。「りはを」という文字があり、意味を考えこんでしまう。逆から読んでも「をはり」、そうか「終わり」か!



続いて、企画展示室へ。



■企画展示室「第7回秋田アーツ&クラフツ」。これは赤れんが郷土館と秋田公立美術大学連携企画展だそうだ。
尾澤勇「雲海-大平山遠望-」:地元の山をテーマにするのはいいね。



尾澤勇「鳥海颪-縄文の風-」:こちらは鳥海山から吹き降ろす風をテーマにしたもの。



竹本悠太郎「トリトヒト」:立派な脱乾漆像を作るよなあ。



熊谷晃「変塗蒔絵螺鈿箱 ゴゼンタチバナ」:日本伝統漆芸展入選作品だそうだ。やっぱりこの大学、レベル高いのでは。



千貝弘「杢目銅 接合せ花器」:削ったり延ばしたり(←幼稚でスマン)、かなりの技巧が必要らしい。



進藤春雄「銀線香器 小さな息吹」:銀線細工という手法らしい。これも細やか。



1階ロビーに降りてきて天井を見上げると、ステンドグラス調の模様があった。



休憩してから少し歩いて、市内周遊バス「ぐるる」に乗って移動する。



■あきた文学資料館。定時制高校の校舎を再利用した施設とのこと。





私が知っている秋田関係の作家といえば、小林多喜二、石川達三、西木正明、阿部牧郎くらいか。結構年配のオジサンが近寄ってきて、話しかけられる。話がくどかったり、地元自慢ばかりだと困るなあと思ったが、この人がフランスに留学して文学を研究した資料館の館長なのであった。この人曰く、プロレタリア文学は秋田で始まったといえるということであった(文学をやれる余裕と、その反面の貧しさがあったのだろう)。

資料は撮影不可だったが、「さきがけ文学賞」の像、工藤健「春のリズム」があったので、これを撮影。



さて、そろそろ昼時になった。
コメント (2)

なぜか秋田2(8)市内でギャラリー巡り

2025-02-22 15:00:32 | 美術・アート
昼食を終えて、駅方面に少し戻り、フォンテAKITAなる建物へ。

■ギャラリープリモ「珈琲の楽しみ」。コーヒーカップが展示販売されている。



■秋田公立美術大学サテライトセンター「AKIBI ARTs MARKET 2025」。秋田公立美術大学の展示販売展を見る。これがなかなか達者な作品を出している人も多いのである。先日「北海道には美大がない」(美術専攻課程はあるが)という趣旨の展覧会があったが、秋田には少なくともあるのだね。



■フォンテAKITA「由利本荘市の工芸品展」。同じフロアで開催されていた。



展示は刺し子、こけし、ごてんまり(毬)、組子細工など。


→これは本荘刺し子。

それからまた少し歩いて、千秋美術館へ。

■秋田市立千秋美術館「美術の扉」。明日、この美術館が入っているビルが全館閉館なので今日見ておいて良かった。危ないところだ。
伝荻津勝孝「秋田街道絵巻(上巻)」:今日、追分に行ったときに土崎という駅があって、そこで降りる人が結構いたのでどうしたのかと思ったが、昔は港として米の出荷で栄えていたのだね。
伊藤若冲「寒山拾得図」:よくイメージするような奇怪な二人ではなく、子供のように見える寒山拾得である。
伊藤若冲「雨龍図」:これは一転して、若冲得意の薄墨の技を見せる作品。

平福穂庵「アイヌ鮭漁図」:穂庵は函館に何度か来たことがあるらしい。
平福穂庵「乳虎」:サーカス団の実物の虎を見て描いたらしい写実的な作品。函館の博物館にも同様の図があるのだそうだ。
平福穂庵「荒川鉱山真景之図」:わざとらしくない鳥瞰図といった感じか。

平福百穂「猟夫」:現代スケッチ画と思えるような作品。
平福百穂「獅子図」:六曲一双で獅子の雄雌を描いた作品。これも現代に通じるセンスがある。
谷文晁「金碧山水図」:谷文晁の作品が何点かあったのだが、タッチが全部違うという技巧派ぶりを見せている。これらの品は金足の奈良家(旧奈良家住宅が秋田県立博物館分館になっているあれだろう。吹雪のため見てこなかったが)から寄贈されたのだそうだ。

美術館内に「岡田謙三記念館」もあり、こちらでは岡田の1939年~1982年の17点が展示されていた。作品数はそれほどでもないが、具象から抽象へと移り変わる流れを一通り見ることができる。

展示室は撮影不可だったので、ロビーにある流政之「どさ、さきもり」を記念に撮影した。





この辺りで腰痛が限界に達し、いったんホテルで休憩。無理しないで行こう。
コメント

なぜか秋田2(6)吹雪の博物館

2025-02-22 12:10:18 | 美術・アート
8:40頃にホテルを出る。駅前通りを歩き、駅近くのビルなどを眺めてから、この旅初めての秋田駅へ。



地方都市は意外とどこでもそうだが、交通系カードの使用可能区間というのは思ったよりも狭い。今回の私の目的地までは何とか使えそうだ。



それから一旦災害があった時の鉄路の復旧はいずこも大変なようである。JR北海道などこれ幸いと廃線にしているようにしか見えないが、一民間企業のせいにしないで、国が復旧の責任を負っても良い気がするのだが…。



9:42男鹿線で追分へ。幸いJRは平常運行のようである。




→えっ、朝乗らないと次は夕方なの(多分、男鹿線がそうなだけで、他に北上する列車はあると思う)。

何だか外れにある寂しいホームにやってきた。



男鹿線=男鹿なまはげラインなのだそうだ。秋田は何でも秋田犬となまはげを持ち出しがちであるな。



乗車すること4駅目で追分に到着。駅前を見るとまさになにもなさそう(後で見るとちょっとだけ飲食店があった)。



断続的に雪が降る中、秋田県立博物館へ。Y字路があって右手の細い道が近道なのだそうだ。



突き当りに案内看板があったが、文字も薄れており不安が増してくる。



JR男鹿線を踏切で越える。



途中に目印となる県立金足農業高校があるのだ。



金足農業高校といえば、なんといっても高校野球。「第100回全国高等学校野球選手権記念大会準優勝 雑草軍団」なる碑があった。



「大相撲幕内力士 豪風 旭関の栄誉を讃えて 県民栄誉賞受賞」の碑。



「第33代WBC世界スーパーフェザー級チャンピオン 三浦隆司氏の栄光を讃えて 県民栄誉賞受賞」の碑。野球だけじゃないのね。



「栄光燦然 野球部 昭和59年春夏連続甲子園出場記念之碑」というのもあった。



その後、小泉潟公園というエリアに入る。





そして秋田県立博物館へ。追分駅から徒歩20分という目安が書いてあって、「私が歩くとそんなにかからないんだよな」と思っていたのに、本当に徒歩20分はかかった。冬の小道を歩いてきたからなあ。



■秋田県立博物館「企画展 県指定文化財展 秋田の宝」。せっかく旅してきたからには、やっぱり地元密着型の展示を見たいのである。写真は館蔵品に限り撮影可能ということであった。

「紙本金地着色 男鹿図屏風」:江戸時代前期の作品。当時から文化度は高かった模様。





「秋田杣子造材之図」:昔の秋田林業の様子を残す作品。



「検地図絵及び下絵」:不定形の農地を長方形に見立てて面積を計算しているのだろう。実に興味深い図である。



荻津勝孝「紙本着色秋田風俗絵巻 正月年礼」:秋田藩士で絵師。こういうのが残っているところが素晴らしい。



平田篤胤「竹画賛」:秋田に生まれて、晩年に江戸追放となり秋田に戻ったらしい。





■秋田県立博物館「常設展」。館蔵品と埋蔵文化財センター蔵の作品は撮影が可能。
「大型磨製石器」:驚くほど滑らかに仕上げた石器。重文。



「耳・髪かざりを付けた土偶」:土偶にも興味深い形のものがある。



「土偶」(左右ともに):右は遮光器土偶の小型版か。



「愛染明王像」(複製):複製なので撮影可能。この辺の仏教美術(密教)が伝わっているのもさすがである。



「不動明王像」。



「白山女神像」:仏教だけではなく神道もある。



「線刻千手観音等鏡像」:大仙市水神社に伝わる平安時代の国宝(複製)。これまたスゴイ。



実はこの博物館は企画展も含めて観覧無料だったのだが、展示はこのように充実している。やはりこういう面では東北に北海道は敵わないのである。とまあ、私は東北地方の文化度の高さに驚かされているのだが、後で聞いた話によると(いや、想像はついていた)、秋田は金持ちは非常に金持ちでそれゆえに文化財や文化が伝わった側面はあるものの、小作農などの貧しい人たちも大変多かったのだとか。それを思うと、単純に昔に目をつぶって「文化バンザイ!」というわけにはいかないよな。

「久保田城図」:もともと天守閣は作らなかったらしい。



蒔絵、螺鈿細工の類もある。



「阿仁鉱山作業絵巻」:鉱山資源は金と力の元であるのだが、大体働いている人は虐げられているのだよね。



戦時中のポスター「この味は闇のたばこで買えぬ味」だそうだ。「もれなく戦がついてくるなり」と続けたくなるよ。



勝平得之「米作四題 刈あげ」:ステンドグラス状になった作品。



勝平得之「米作四題 田植」。



窓ガラスから見えるところに珪化木があった。写真じゃ良く見えないけれども、ニスを塗ったように光っている。



「由利高原鉄道鳥海山ろく線 ディーゼルカー運転台 YR-1500形」:「おばこ」のヘッドマークがついている。



最後に正面入口を撮影。さあ、駅に戻ろう。



JRが一部運休になっているという話もあって、様子を見るためもあって追分駅へ。道中、また吹雪となってとにかく大変だった。





駅近くでまたもやなまはげ登場。



着いてみると期待していた12:10の秋田行きは通常運転のようだった(東能代以北が運休だった。と言っても、土地勘がないからどの辺が雪で危ないのか、全くわからんのだ)。いや、本当に秋田を舐めたらあかん。



しかし、列車を待っているうちに、空は次第に晴れてくるのであった。





まあ、いずれにせよ秋田駅に戻ろう。
コメント (2)

なぜか秋田2(2)藤田など

2025-02-21 15:36:14 | 美術・アート
空港から13時過ぎにバスで秋田市内へ。秋田駅前までは行かず、ホテルの最寄りである北都銀行前の停留所で降りる。しかしホテルにチェックインするには早いので、とりあえず秋田県立美術館へ。
(以降、美術作品や街角にある彫刻などを紹介していくことになる。9年前の訪問ですでに紹介したものもあるのだが、ずいぶん昔の話になるので、そこは忘れよう)



■秋田県立美術館県民ギャラリー「よみうり高校生写真コンテスト2025」。まずは非常に広い会場で高校生の写真展を見る。サイズこそ大きくないが、200点弱の写真が横一列に展示されているのだろうから、会場の広さが想像頂けるだろうか。

展示室への階段も何となくアーティスティックだ。



■秋田県立美術館「平野政吉コレクション展IV」。
「一九〇〇年」:パリへの乗合馬車に乗る人々を描いた作品。これはいい。
「北平の力士」:北平とは北京のことなのだそうだ。藤田にはレスリングを描いた作品もあるが、これには3人の力士が描かれており、体の厚みと力士の圧力が感じられる。
「秋田の行事」:幅20mにも及ぶ大作。これを見ると、秋田に来たなあという気持ちになる。

■秋田県立美術館「藤田嗣治 言葉をつむぐ」。
「室内の女二人」:なんか体ムキムキの女性二人。服装からして、これは娼婦だろうなあ。
「女」:素描と鉛筆で描きながら、藤田独特のぼかしが特徴的だ。
「自画像」:茶の間でちゃぶ台の前にいる本人像。思いっきり日本に振り切った作品である。

「ちんどん屋三人組」:これは輪郭を描く線がすごい。藤田の筆運びの凄味が伝わってくる。
「秋田川反美人図絵」:秋田に来た時に芸者二人を描いたもの。こういうのが地元にあるのはいいね。

それにしてもこの美術館にある藤田作品はいいものがあるよ。

次に隣にある商業施設のギャラリーA(多分、店名)で「絵画掘り出し市」を見る。作家は知らない人ばかりだったが、値段を半額にしているそうで、興味のある向きには楽しいだろう。それ以外に骨董も置いてあり、安く昔の杯(さかずき)が沢山あったので、つい欲しくなってしまうのだが、それはやめておこう。



■にぎわい交流館「昭和の秋田市写真展」。それから向かいの交流館で、秋田の昭和時代の写真展を見る。これは秋田の人だったら涙が出てくるんだろうな。



後はこの館内にあるアート的なものをいくつか撮影する。フクスケさんの人形群があった。



秋田といえば「秋田蕗」(なのだろうか)。



秋田といえば「竿灯まつり」(これは間違いなかろう)。



小牟禮尊人「tension」:隅っこに置いてあったが、かなり大きなガラス作品。



「荒川鉱山ゆかりの作品」:主に銅を算出していた鉱山で、大盛館という資料館もあるのだそうだ。





県立美術館の表の方に出る(裏口から入っていたのだ)。



ここで15時になり、やっとホテルにチェックインする。



ホテルは開業55周年というまずまず重厚なところで、美術品が多く展示されており、可能な範囲で見て回った。ピカソの結構いい作品を持っているんだな。以下に見た作品をとりあえず列挙しておこう。

パブロ・ピカソ「マンドリンと壺」:そこそこ立派なサイズの油彩。
スティーブン・N・マイヤーズ「レントゲンアート」
川嶋渉「街」:秋田の街ではなさそう

ポール・アイズピリ「カンヌ・カールトン・ホテル」
辻はる子「金箔ドローイング」
藤代清治「竿灯まつり」:こういう地元密着型はいいよね。

他にドガの「踊り子」があるらしいのだが、これは特別ラウンジに入れないと見ることができないのであった。作品は著作権保護の観点から撮影しないでほしいということだったので、撮影できそうな他のものを幾つか紹介しよう。

秋田といえば秋田犬(「あきたけん」では一発変換できないのね)なのだろう。



開業55周年。



私が宿泊したのは9階だったが、インペリアルスイートルームというのがあって驚いた。



まあ、私が止まったのは普通のシングルルームですが(それでも18平米だったので、圧迫感はない)。





窓の外は駐車場・空き地ビューかな。

コメント