人の噂も75日。そこまで辛抱すれば、噂は消えてしまうと言う。しかし、私はそうは思わない。人の噂には尾びれがつく。そして生き残った噂には背びれまでついて、やがては勝手に泳ぎだしてしまう。
私も、何回か、ありもしない噂を立てられたことがある。私が言っていないことが、さも、事実のように伝わってしまう。それも社会保険労務士界は広いようで狭い。ついには、事実と違ったことが事実として信じられてしまう。それについて、私は一切弁解しないことにしている。生来の面倒くさがり屋でもあることだし。また、わかる人間はわかってくれる。わからない人間に何を言ってもわからない。そう考えている。
ところが、死んだ人だとそうはいかない。噂が広まっても、それを解消する手立ては限られてしまう。その傾向は事件の被害者に強く出る。
つい最近、交通事故で若者が死んだ。すると、噂が聞こえてきたのである。その若者が家庭内暴力を繰り返していた・・・というのだ。それがウソか本当か、調べる術はあるまい。しかし、いつの間にか、本当かどうかわかりもしないことが、決まった真実として流布されてしまう。それが怖い。
私は噂を信じない。物事を先入観だけで見てしまうと、本質を見失う恐れがあるからだ。