12月30日
日経平均 2万8791.71円(-115.17円)
TOPIX 1992.33(-6.66)
出来高 7億2984万株
長期金利(新発10年国債) 0.070%(+0.015)
1ドル=115.11円(0.23円安)
■朝日新聞 2021.12.31
大納会 32年ぶり高値 東証 年末終値2万8791円 |
東京株式市場は30日、今年最後の取引を締めくくる大納会を迎え、日経平均株価の年末終値は前日比115円17銭安の2万8791円71銭だった。
バブル期の1989年末以来32年ぶりの高値だ。
ワクチン接種の進展でコロナ禍からの回復期待が高まったほかヽ大規模な金融緩和も相場を支え、一時は3万円台をつけるほど株価を押し上げた。
30日の終値は2020年末(2万7444円17銭)より高く、3年続けて前年末を上回り、88年末に次ぐ過去3番目の高値となった。
東証1部全体の値動きを表すTOPIX(東証株価指数)も1992.33ポイントでバブル期に次ぐ水準。
東証は来年4月に市場再編を予定し、この日はいまの姿で迎える最後の大納会だった。
日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者は「新型コロナ感染拡大とその対応に追われた1年だったが、比較的堅調な相場だった」。
日経平均はこの1年、何度も3万円を超えてはその後下げる展開に。
7月以降は感染拡大で2万8千円を割る日が増えた。
9月には、菅義偉前首相が総裁選への不出馬を表明したことや新型コロナの感染者数の減少などで急騰。
3万670円10銭と約31年ぶりの高値もつけた。
株高を追い風に計125社が新規上場し、06年の188社以来の高い水準となった。
29日の米株式市場は、ダウエ業株平均が11月上旬以来、約1カ月半ぶりに最高値を更新した。(稲垣千駿、ニューヨーク=真海喬生)
コロナ 今年も株価翻弄 一時3万円 バブル以来 |
バブル期以来32年ぶりの年末高値で今年の取引を終えた東京証券取引所の大納会。
新型コロナの感染拡大に揺さぶられながらも、世界的な金融緩和に下支えされた値動きの1年だった。
来年は米国などで利上げへの動きが広がり、世界の緩和マネーが縮小へと向かう。
東証は4月、いまの1部など市場の区分を見直して再出発する予定で、世界の投資家をひきつけられるかが問われる。
昨年に続き、感染対策で規模を縮小した大納会には、NHK大河ドラマで「日本資本主義の父」とされる渋沢栄一を演じた俳優吉沢亮さんが出席。
取引終了を告げる鐘を鳴らした。
今年の相場も昨年に続きコロナ禍に翻弄された。
年初は世界でワクチン接種が進み始め、景気回復の期待も広がった。
日経平均株は2月に約30年6カ月ぶりの3万円台に。
米主要企業でつくるダウ工業株平均も史上初の3万2千ドル台に乗り、世界で株高が進んだ。
日本はワクチン接種で出遅れ、年明け早々から緊急事態宜言が断続的に続いた。
東京五輪もほぼ無観客での開催。
感染拡大と政権の支持率低迷が相まって株価は伸び悩み、8月20日には2万7013円の年初来安値をつけた。
低迷打開のきっかけとなったのは「政局」だった。
9月に菅義偉前首相が自民党総裁選に立候補しないと表明すると、衆院選での与党敗北リスクが低くなるとの見方から株価は反発。
コロナ感染者が減少傾向になったことも重なり、再び3万円台を回復して約31年ぶりの高値を記録した。
だが、新首相になった岸田文雄氏は「分配重視」を掲げ、改革志向の強い海外投資家の期待はしぼむ。
中国恒大集団の経営危機などもあり、日経平均は9月下旬から12年ぶりとなる8営業日続落に。
計2700円超も値を下げた。
野村証券によると、今年の最高値から最安値を引いた値幅(日経平均終値ペース)は3656円。
アベノミクスによる大規模な金融緩和が始まった2013年以降では最小で、株価は2万7千~3万円台と、比較的高値圏で推移した。
その相場を下支えしていたのが緩和マネーだ。
コロナ対策の大規模な金融緩和や財政政策で国内外から大量の資金が流れ込む。
日本銀行も上場投資信託(ETF)を通じて日本株を買い続け、いまや国内最大の保有者だ。
買い入れペースを3月に緩めたが、緩和は当面続ける構えだ。
一方、米国は国内のインフレを抑えるため、来年に利上げにかじを切る。
米国の消費者物価指数は7カ月連続で前年比5%以上の急上昇。
11月は6.8%増と約39年ぶりの高い伸びだ。
三井住友DSアセットマネジメントの吉川雅幸氏は「利上げが急速でなけれぱ資金が潤沢な状態はしばらく続く」とみる。
市場では、金融正常化は株価に織り込み済みとの見方が多い。
このため、証券各社は22年の日経平均の当面の高値を3万3千円程度と強気の予想をしている。(稲垣千駿、中川透、ニューヨーク=真海喬生)
5市場 最後の大納会 |
東証は来年4月、1部・2部など現在五つある市場を、「プライム」「スタンダード」「グロース」の三つに再編する。
大企業の代名詞として定着してきた「東証1部」としては、今年は最後の大納会だ。
今年末の東証1部時価総額トップは、トヨタ自動車で34兆円。
次いで、ソニーグループや制御機器大手キーエンスが続き、活発に国際展開する製造業が並ぶ。
バブル期の1989年末のトップは日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)で、上位5社はすべて大手銀行。
東証1部の時価総額上位の変遷は、その時々の企業の勢いを映す鏡でもあった。
東証に第2部が設けられて2市場制となったのは、61年10月。
90年末に1191社だった1部企業は21年末に2182社と急拡大してきた。
上場3816社の6割を最上位の1部が占める。
こうした市場の姿は海外投資家にはわかりにくく、より国際競争力のある市場をつくるのが再編のねらいとなる。