■血のペナルティ/カリン・スローター 2018.9.3
凄惨で残酷な暴力描写、情け容赦のないギャングの殺人行為、それが長くながく描かれて全編p621。
面白いことは、おもしろい。流石にベストセラー作家であることをうかがい知ることが出来ました。
カリン・スローターの 『血のペナルティ』 です。
彼女のミステリは、初めて。
血の饗宴は、さておくとして、登場人物の人物描写には光るものを感じました。
ウィルの上司、アマンダ・ワグナーを初めとして、何よりも、ぼくには面白い人物として映ったのは、“食えないばあさん”のミセス・レヴィ----いやはや凄いばあ様でした。
ウィルは、警官たちが玄関のドアをノックしはじめてから、アマンダに尋ねた。「ミセス・レヴィを市警時代から知っていたんですか?」
「GBIに転職したあとからね。旦那殺しの容疑で、わたしが捜査した」ショックを受けたウィルを、アマンダはおもしろそうに眺めた。「立証できなかったけど、わたしは彼女が夫を毒殺したと確信している」
「クッキーで?」
「わたしの仮説もそれ」楽しそうな笑みを口元に浮かべ、芝生を歩いていく。「ロズは抜け目のないばあさんよ。わたしたちが束になってもかなわないほど、多くの犯罪現場を見てる。イヴリンのことも、ずっと観察していたんだと思う。彼女があなたに話したことをすべて鵜呑みにできない。ほら----悪魔は目的のためなら聖書も引用する、でしょう?」
たしかにアマンダの、いや、シェイクスピアの言うとおりだ。
「でもあのときイヴリンにも言ったように、女はスカートをまくりあげたって、パンツをおろした男より早く逃げられるもんだけどねえ」
「いい人がいることすら教えてくれなかったからね。あんたたち男がどう考えているのか知らないけど、あたしたち女は日がな一日、男の話ばかりしているわけじゃないよ」
印象的な会話の数々を拾ってみました。
「“悪魔をみんな殺したら、天使まで殺してしまう”」
ウィルは当てずっぽで言った。「ヘミングウェイですか?」
「テネシー・ウィリアムズよ」
いなくなっても、奥さんは奥さんよ。
タトゥーには“ジョイント・インク”と呼ばれる青いボールペンのインクが使われ、ひとつひとつに物語がある。悲惨な物語でなければ、語る必要がない。
「サラに話した?」
「まだその話になっていない」
「そのうちなるわ。親しくなるってそういうことだもの。いやでもいろいろなことが起きる」
「こんなことになる前に、あの子に最後に話したの。そういう恨みにしがみつくのは、毒を呑みながら相手が死ぬのを待つようなものだって」
最後に、イヴリン・ミッチェルは、何故誘拐されたのか。
人はお金でないものを求めて賭けをすることがある。
『 血のペナルティ/カリン・スローター/鈴木美朋子訳/ハーパーBOOKS』
凄惨で残酷な暴力描写、情け容赦のないギャングの殺人行為、それが長くながく描かれて全編p621。
面白いことは、おもしろい。流石にベストセラー作家であることをうかがい知ることが出来ました。
カリン・スローターの 『血のペナルティ』 です。
彼女のミステリは、初めて。
血の饗宴は、さておくとして、登場人物の人物描写には光るものを感じました。
ウィルの上司、アマンダ・ワグナーを初めとして、何よりも、ぼくには面白い人物として映ったのは、“食えないばあさん”のミセス・レヴィ----いやはや凄いばあ様でした。
ウィルは、警官たちが玄関のドアをノックしはじめてから、アマンダに尋ねた。「ミセス・レヴィを市警時代から知っていたんですか?」
「GBIに転職したあとからね。旦那殺しの容疑で、わたしが捜査した」ショックを受けたウィルを、アマンダはおもしろそうに眺めた。「立証できなかったけど、わたしは彼女が夫を毒殺したと確信している」
「クッキーで?」
「わたしの仮説もそれ」楽しそうな笑みを口元に浮かべ、芝生を歩いていく。「ロズは抜け目のないばあさんよ。わたしたちが束になってもかなわないほど、多くの犯罪現場を見てる。イヴリンのことも、ずっと観察していたんだと思う。彼女があなたに話したことをすべて鵜呑みにできない。ほら----悪魔は目的のためなら聖書も引用する、でしょう?」
たしかにアマンダの、いや、シェイクスピアの言うとおりだ。
「でもあのときイヴリンにも言ったように、女はスカートをまくりあげたって、パンツをおろした男より早く逃げられるもんだけどねえ」
「いい人がいることすら教えてくれなかったからね。あんたたち男がどう考えているのか知らないけど、あたしたち女は日がな一日、男の話ばかりしているわけじゃないよ」
印象的な会話の数々を拾ってみました。
「“悪魔をみんな殺したら、天使まで殺してしまう”」
ウィルは当てずっぽで言った。「ヘミングウェイですか?」
「テネシー・ウィリアムズよ」
いなくなっても、奥さんは奥さんよ。
タトゥーには“ジョイント・インク”と呼ばれる青いボールペンのインクが使われ、ひとつひとつに物語がある。悲惨な物語でなければ、語る必要がない。
「サラに話した?」
「まだその話になっていない」
「そのうちなるわ。親しくなるってそういうことだもの。いやでもいろいろなことが起きる」
「こんなことになる前に、あの子に最後に話したの。そういう恨みにしがみつくのは、毒を呑みながら相手が死ぬのを待つようなものだって」
最後に、イヴリン・ミッチェルは、何故誘拐されたのか。
人はお金でないものを求めて賭けをすることがある。
『 血のペナルティ/カリン・スローター/鈴木美朋子訳/ハーパーBOOKS』
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