ゆめ未来     

遊びをせんとや生れけむ....
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しなやかに、のびやかに毎日を過ごそう。

ザ・カルテル(上・下)/信長の肖像/

2016年07月16日 | もう一冊読んでみた
 今週は、この2冊。
 ザ・カルテル(上・下)/信長の肖像/

ザ・カルテル(上・下)/ドン・ウィンズロウ/   2016.7.16

 ドン・ウィンズロウの『ザ・カルテル』は、楽しませてくれる。
文句なく面白い。
それでも、時に読んでいていたたまれなくなる。
警察も政府も麻薬商の汚職まみれでは、庶民は何を頼りにして生きていけばいいのか。
メキシコの現状を反映しているのかと思うと。

どこににでもころがっているのか、悪の誘惑......

 ウーゴが少年の肩に手を置く。「ナサリオが語るとおり、この世界は悪に満ち満ちている。だから、わたしたちはこの世界をすべてと看做(みな)さず、次の世界にも目を向けなければならない。悪の世界で生き残るには、ときとして悪に手を染める必要がある。神はそれを理解してくれている。重要なのは純粋な心をもって、正義をなそうと努力すること。さあ、戻りなさい。ブラザー。そして、正しいことをなすのだ」

 銃弾乱れ飛ぶ麻薬戦争真っ只なかの都市であっても......

 パブロはここを訪れては、友達と交わり、新しい人と知り合い、興味深い思索と出会い、議論や討論を行い、(ときどきは口論になっても、喧嘩にまでは発展しない)、音楽や朗読に耳を傾け、手の届かない高価な本を衝動買いする。もちろん、大手チェーンとは比較にならない本物の濃いコーヒーを飲み、静かな環境で読書に耽ることも忘れてはならない。

 悪魔は天使の羽を生やして現れる

以上、上巻。

意外な裏切り者、パブロ・モーラの切ない選択、オスカル・エレーナの生き方とその適切な決断など、これぞエンターテイメントと言わしめる作品でした。
上下巻あわせて1200ページ余り、様々なエピソードを絡み合わせて飽きさせません。

 イルマがふたたびケラーの手を握る。「アルトゥーロ、殺し返しても復讐にはならないよ。生きることで復讐するんだ」

 「どんな作家を?」
 ケラーは作家の名前を挙げる。ロベルト・ボラーニョ、ルイス・ウレア、エルメル・メンドーサ。
 オスカルが杖を移動させ、空いた場所へケラーは尻をねじ込む。ふたりは『野生の探偵たち』、『ハチドリの娘』、『銀の弾丸』について語らう。


 われわれが選べるのは、金を受け取るか、受け取らないかじゃない。金を受け取るか、殺されるかだ。

 『 ザ・カルテル(上・下)/ドン・ウィンズロウ/峯村利哉訳/角川文庫 』



信長の肖像/志野靖史  2016.7.16

志野靖史氏の作品を読むのは、初めてです。

ぼくは、勘違いしたかも知れません。
「信長の肖像」か、信長の「肖像(画)」か。
信長の肖像

 「小次郎、わしが初めて駿河の治部大輔(じぶのたいふ)と会ったのはいつのことか知っておるか」
 治部大輔とは今川義元のことである。
 「はて、見当がつきかねまする」
 「永禄三年、ようやく会うことができた」
 「おうよ、しかと会(お)うたさ。ただ治部大輔殿は首だけになっておられたがな」
 信長はにやりと笑った。


 『 信長の肖像/志野靖史/朝日新聞出版 』


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