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覗き穴じゃない。火のまわりをよくするための通気口だろう 鍵穴

2021年06月21日 | もう一冊読んでみた
警部ヴィスティング 鍵穴/ヨルン・リーエル・ホルスト    2021.6.21  

ホルストの 『鍵穴』 を読みました。

 真っ先にチームに加えるべきなのはエスペン・モルテンセンだろう。熱意と柔軟性を持ち合わせた鑑識員で、口も堅く信頼できる。

魅力的な登場人物の生き生きとした活躍を期待したのですが、少し期待はずれでした。

このミステリの題名は、「鍵穴」。
物語の始まりの部分で、「丸い穴」 が出てきました。

 モンテンセンが撮影機材の準備に取りかかり、ヴィスティングは邪魔にならないよう壁際に寄った。はずみで肩が壁をかすり、画鋲で留められた選挙ポスターの一枚が半分めくれて垂れ下がった。むきだしになった壁には丸い穴があいている。よく見ると穴はもうひとつ見つかった。
 穴はさらにふたつ隠れていた。


これ、なんの穴だ。 俄然,面白くなりそうだ。と期待したのですが......。

 「壁にあった穴だが」ヴィスティングは続けた。「覗き穴じゃない。火のまわりをよくするための通気口だろう」
 「たしかに、効果てきめんでしたね」モンテンセンも同意する。


では、もう一つの穴。鍵穴は?

 捜査とは特定の鍵穴に合う鍵を見つける作業だと以前同僚に言われたことがある。誰の言葉だったか忘れたが、経験を重ねるにつれ、それに違和感を覚えるようになった。現実には鍵穴も鍵も複数あり、複雑に絡んだ鍵を解くには鍵一本では足りない。

 ----捜査とは、特定の鍵穴に合う鍵を見つける作業だ。
 そのとき思いだした。その言葉の主は、ヴィスティングが犯罪捜査部に配属になった一九八四年に部長を務めていたオーヴェ・ドッケンだ。


では、捜査とは?

 捜査というプロセスは水に似ている、そんな思いが、ヴィスティングの頭をよぎった。新たな情報が絶えず湧き出し、流れに導かれるままに事件を追う。

 刑事にとって最も重要な資質は、人の話に耳を傾け、ひとりの人間として相手を見ることである。警察の一員となって早々にヴィスティングはそう学んだ。刑事の仕事に決めつけは禁物だ。犯罪そのものがどれほど憎むべきものであろうと、先入観にとらわれないよう心がける必要がある。


一捜査員宅に、10億円近いお金が保管されたり、空港からこのお金を短時間の内に強奪したプロの犯人グループが、彼らのお金の隠し場所から、別人にまんまとかすめ取られたりするのには、少し違和感を感じました。

この「鍵穴」の題名は、「 THE INNERMOST ROOM 」です。


    『 警部ヴィスティング 鍵穴/ヨルン・リーエル・ホルスト/中谷友紀子訳/小学館文庫 』



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