「FLESH&BLOOD」の二次小説です。
作者様・出版社様は一切関係ありません。
一部残酷・暴力描写有りです、苦手な方はご注意ください。
海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
「はい、父上。」
「顔を見せろ。」
海斗が震える手で目深に被っていたフードを脱ぐと、この屋敷の主が蒼い瞳で海斗を見つめた。
「鮮やかな赤毛だな。我らが女王陛下もこのような見事な赤毛ではない。それは、生まれつきなのか?」
「はい。」
「その黄味かがった肌・・何処かで見た事がある。」
周囲から好奇の視線を浴び、海斗はこの場からすぐに逃げ出したくなる衝動に駆られたが、その時ジェフリーがそっと海斗の手を優しく握ってくれた。
「父上、もうそれ位にしておいて下さい。この子が怖がっているではありませんか?」
「ジェフリー、この者には特殊な“能力”があるというのは本当なのか?」
「はい。と言いますのも、カイトはロマの占術師に育てられまして・・」
「そうか。では、この場で占ってみせよ。」
「何を占いましょうか?」
「勿論、スペインと我が国ついてもだ。もし戦が起きれば・・」
「イングランドに、勝利の王冠が神によって授けられる事でしょう。」
エドワード=ロックフォードの前で臆する事なく、海斗はスペインの戦には必ずイングランドに勝利すると予言した。
―なんと・・
―この者は・・
「そうか。そなた、名を何という?」
「カイトです。」
「ジョン、客人に温かい食事とベッドの準備をせよ。」
「はい・・」
ロックフォード家執事・ジョンは、そのまま客間から出て行った。
「あの・・俺、これからどうなってしまうんでしょう?」
「このまま、君を帰す訳にはいかない。申し訳ないが、今日はここで泊まってくれ。」
「わかりました・・」
「大丈夫だ。俺がお前を守ってやる。」
「はい・・」
その日の夜、海斗はロックフォード邸の客用寝室で夜を過ごしたが、一睡も出来なかった。
「おはよう、カイト。酷い顔をしているな?」
「はい、一睡も出来なかったので・・」
「そうか。不安で堪らなかったよな。」
ジェフリーはそう言うと、海斗に微笑んだ。
「カイト、大丈夫なのかねぇ?」
「心配するな、あいつなら無事だ。」
「あれを見てみな。」
親方はそう言うと、馬車から降りて来た海斗を見た。
「カイト、無事だったんだね!」
「うん。みんな、心配かけてごめんね。」
海斗は一座の皆と再会し、安堵の表情を浮かべた。
「ジェフリー様、うちのカイトが、何かご迷惑をお掛けしませんでしたか?」
「いいえ、とんでもない。親方、カイトの事をこれからもよろしくお願い致しますね。」
ジェフリーは、そう言うと金貨が詰まった袋を親方に手渡した。
「今後とも、うちをご贔屓にしてくだせぇ。」
ジェフリーは馬車に乗り込み、陰鬱な屋敷へと戻った。
「お帰りなさいませ、若様。」
「あの人は?」
「旦那様は、外出しております。」
「そうか。」
ジェフリーがジョンとそんな話をしていると、外から誰が言い争うかのような声が聞こえた。
「一体、何の騒ぎだ?」
「若様、この者が、あの赤毛の娘に会わせろと・・」
若い使用人が困惑したような表情を浮かべてそう言った後、ジェフリーを見た。
「あの子に、あの子に会わせてぇ~!」
ジェフリーに詰め寄って来たのは、全身が垢に塗れた女だった。
「あの子、とは?」
「あの美しい赤毛の娘だよ、奥様が、あの子を・・」
「奥様?」
ジェフリーはもっと女の話を聞きたかったが、彼女は耐え難い悪臭を漂わせていた。
「ジョン、彼女に風呂と食事を。」
「は、はい・・」
泥と垢を洗い流した女は、月の女神の化身のような美女へと生まれ変わっていた。
「わたしの名前は、レイチェルと申します。今日こちらへ伺ったのは、カイト様・・お嬢様の事です。」
「お嬢様?」
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一部残酷・暴力描写有りです、苦手な方はご注意ください。
海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
「はい、父上。」
「顔を見せろ。」
海斗が震える手で目深に被っていたフードを脱ぐと、この屋敷の主が蒼い瞳で海斗を見つめた。
「鮮やかな赤毛だな。我らが女王陛下もこのような見事な赤毛ではない。それは、生まれつきなのか?」
「はい。」
「その黄味かがった肌・・何処かで見た事がある。」
周囲から好奇の視線を浴び、海斗はこの場からすぐに逃げ出したくなる衝動に駆られたが、その時ジェフリーがそっと海斗の手を優しく握ってくれた。
「父上、もうそれ位にしておいて下さい。この子が怖がっているではありませんか?」
「ジェフリー、この者には特殊な“能力”があるというのは本当なのか?」
「はい。と言いますのも、カイトはロマの占術師に育てられまして・・」
「そうか。では、この場で占ってみせよ。」
「何を占いましょうか?」
「勿論、スペインと我が国ついてもだ。もし戦が起きれば・・」
「イングランドに、勝利の王冠が神によって授けられる事でしょう。」
エドワード=ロックフォードの前で臆する事なく、海斗はスペインの戦には必ずイングランドに勝利すると予言した。
―なんと・・
―この者は・・
「そうか。そなた、名を何という?」
「カイトです。」
「ジョン、客人に温かい食事とベッドの準備をせよ。」
「はい・・」
ロックフォード家執事・ジョンは、そのまま客間から出て行った。
「あの・・俺、これからどうなってしまうんでしょう?」
「このまま、君を帰す訳にはいかない。申し訳ないが、今日はここで泊まってくれ。」
「わかりました・・」
「大丈夫だ。俺がお前を守ってやる。」
「はい・・」
その日の夜、海斗はロックフォード邸の客用寝室で夜を過ごしたが、一睡も出来なかった。
「おはよう、カイト。酷い顔をしているな?」
「はい、一睡も出来なかったので・・」
「そうか。不安で堪らなかったよな。」
ジェフリーはそう言うと、海斗に微笑んだ。
「カイト、大丈夫なのかねぇ?」
「心配するな、あいつなら無事だ。」
「あれを見てみな。」
親方はそう言うと、馬車から降りて来た海斗を見た。
「カイト、無事だったんだね!」
「うん。みんな、心配かけてごめんね。」
海斗は一座の皆と再会し、安堵の表情を浮かべた。
「ジェフリー様、うちのカイトが、何かご迷惑をお掛けしませんでしたか?」
「いいえ、とんでもない。親方、カイトの事をこれからもよろしくお願い致しますね。」
ジェフリーは、そう言うと金貨が詰まった袋を親方に手渡した。
「今後とも、うちをご贔屓にしてくだせぇ。」
ジェフリーは馬車に乗り込み、陰鬱な屋敷へと戻った。
「お帰りなさいませ、若様。」
「あの人は?」
「旦那様は、外出しております。」
「そうか。」
ジェフリーがジョンとそんな話をしていると、外から誰が言い争うかのような声が聞こえた。
「一体、何の騒ぎだ?」
「若様、この者が、あの赤毛の娘に会わせろと・・」
若い使用人が困惑したような表情を浮かべてそう言った後、ジェフリーを見た。
「あの子に、あの子に会わせてぇ~!」
ジェフリーに詰め寄って来たのは、全身が垢に塗れた女だった。
「あの子、とは?」
「あの美しい赤毛の娘だよ、奥様が、あの子を・・」
「奥様?」
ジェフリーはもっと女の話を聞きたかったが、彼女は耐え難い悪臭を漂わせていた。
「ジョン、彼女に風呂と食事を。」
「は、はい・・」
泥と垢を洗い流した女は、月の女神の化身のような美女へと生まれ変わっていた。
「わたしの名前は、レイチェルと申します。今日こちらへ伺ったのは、カイト様・・お嬢様の事です。」
「お嬢様?」
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