くらのうえ市丸歯科ブログ

お口の健康を守りたい

佐賀県歯科医学大会に参加いたしました

2010年02月02日 | 外部セミナー
こんにちは。去年の2月から歯科医師としてくらのうえ市丸歯科で勤務している山口です。
私は、長崎出身なんですが、気のせいか鳥栖は長崎よりも気温が低い気がします。
まだまだ、寒い日がしばらく続くと思いますが、体調管理に気をつけて日々の診療に励みたいと思います。

さて、本日は、2010年1月24日に佐賀県歯科医師会館で行われた
佐賀県歯科医学大会に、西(副院長)、江頭(歯科医師)と3人で参加いたしましたので、ご報告いたします。
講師は、北海道の札幌西円山病院で歯科診療部長をされている
藤本篤士先生で、「要介護高齢者の歯科臨床の現場」という題目での講演でした。
要介護高齢者や終末期の患者さんのほとんどは、自分の歯がほとんど残っておらず、
その結果、食物を口に入れ噛んで飲み込むことが満足にできない、
いわゆる摂食嚥下(せっしょくえんげ)障害をもたれています。
摂食嚥下障害は、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の原因となり、
免疫力が減弱した高齢者などでは死にいたるケースが非常に多いと言われています。
誤嚥性肺炎は、食物や逆流した胃内容物が誤って気管に入り込み、
口腔内の細菌が感染し引き起こされます。
そのリスクファクターとして、①脳血管障害 ②痴呆、認知症 ③寝たきり ④口腔内不衛生 ⑤胃食道逆流症 ⑥向精心薬の使用があげられます。

このような障害、症状をもった患者さんは、摂食嚥下障害はもちろんのこと、
虫歯、歯周病やその他多くの問題をお口の中にかかえていますが、
その異常に気づかなかったり、異常を他人に伝えることができません。
そのため、われわれ医療従事者は、いち早く状況を察知して、診断を下し処置を行う必要があります。
また、診断がついたとしても、全身的な問題や精心的な問題から処置が不可能、困難であることも少なくありません。
現在の歯科大学では、要介護高齢者、障害者に対する歯科治療学を多くは学びませんので、
今回の講演や実際の現場における映像をみて、その必要性を痛感しました。
しかし、要介護高齢者のほとんどは、介護が必要となってから歯を失うケースは少なく、その多くが健康な時代に失っているケースがほとんどであるといいます。
そのため、われわれ一般の歯科医師がすべきことは、若いうちからしっかり虫歯、歯周病の予防の必要性を多くの患者様に理解していただき、
ご高齢になっても自分の歯で噛める環境をつくることで、万が一要介護が必要になった場合でも、できるだけ摂食嚥下障害や誤嚥性肺炎のリスクを低くすることではないかと考えます。
わたしたち若者もいずれは、介護を必要とする時代がくると思いますので、
今のうちからしっかりとお口の中の健康に気を配らなくてはいけませんね。