遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

メタンと微生物

2009-01-16 21:01:55 | BIONEWS
火星で大量のメタンガス確認 米研究チーム、生物起源か(共同通信) - goo ニュース
地球のメタンのほとんどは古細菌(Archaebacteria)が嫌気条件で作ったもの。これが海底でたまればメタンハイドレート・・・なのかな? 動物の腸内にもいますよ。牛のおならにはかなりメタンガスが含まれています。ちなみに古細菌というのは、地球の極限環境で生育している原核生物でして、細菌(真正細菌:Eubacteria)とは別の生物界を構成しています。古細菌が進化して細菌になったって分けではない。むしろ古細菌のヒストンを持つ染色体構造やDNA複製や転写の道具立ては、我々真核生物に近いものがあります。地球に猛毒の酸素があふれ出してきた時に、あるものは極限環境に逃げ込み、あるものはDNAを核膜で守り細胞質にミトコンドリアやペルオキソームのような酸素を処理してしまう諸器官を構成して生き残ったのかもしれません。
さて、火星のメタンですが、生物的に生産された物でしょうか。地球にいるメタン生産菌も地球に酸素がない頃に栄えた連中ですから火星生物説も一概に否定できませんが、無機的にもメタンは出来ますからねぇ・・・・。土星や木星のような『ガス惑星』の主成分はメタンですから、太陽系の惑星にとってメタンはそう珍しいもんでもないのかもしれません。ま、私には専門外なのですが、いろいろ想像するのって楽しいですよね。これが科学を推進させる原動力なんですから、想像して面白がることはとっても大切なのです。
メタンを代謝してしまえる生物もいます。原核生物の細菌にいますし、真核生物にもいます。酵母にいるんですよメタンやメタノールを食うヤツ。Pichia(ピヒア)属の酵母が有名。メタンやメタノールがあると急速にペルオキソームを発達させ大急ぎで代謝してしまいます。だって、代謝してしまわないと毒だから。この性質を利用した組み換えタンパク質を大量生産させるシステムがInvitrogen社で商品化されています。
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