2021年8月10日、NHKが「 フェイク・バスターズ 新型コロナウイルスと誤情報 」という特番を放送しました。
この番組が放送されたという意義は実に大きいと思う。
これは、これまで語るにも当たらないとされていたネット世界での「 陰謀論の潮流 」を、天下のNHKが明確な社会悪であると公式に認めたということなのですから。
ご他聞にもれず、これまでの僕もNHKのいわゆる「 公器 」といった権威的なイメージへの反発の念はありました。
けれども、実際にこのNHK取材班の仕事ぶりを見て、僕は呻ってしまった。
見事な取り組みであり、見事な解析です。
世間的には、陰謀論一般というのは、いまだ「 ネットのなかだけで吠えている下らない連中 」といったところでしょう。
陰謀論がネット下での大きな潮流であることはまあ認めてもいい、しかし、彼等、陰謀論者はかつての赤軍派などとちがって、明瞭な違法行為や現実的な反社会的行為を行っているわけではない、好きにやらせておいてもどうせそのうちに収まるさ……。
ところがこれまで通用していたそういった世間知が今回に限っては効果を発揮せず、陰謀論の勢いはいっかな収まりそうにありません。
反ワクチン派の発言はネット空間の半分以上を覆うほど満ちあふれており、こうした世界的傾向を憂慮した youtube、 Facebook、Twitter、TikTok などの大手がいままでにない規模の規制に乗り出してはいるものの、膨れあがったこの陰謀論の濁流をコントロールすることはいまだできずじまいでいます。
いま、陰謀論のささやきに心を奪われてしまうひとの割合は、それほどまでに多いのです。
なぜ? 誰もが現在進行形でそう考えています。
これは、菅自民党幕府のコロナ開港( = 五輪の強引強行のこと )に対しての、地下レジスタンスなのか?
あるいは、covid-19 の5回目のパンデミックで追いつめられた、食いつめ浪人にとっての戊辰戦争のようなものなのか?
はてまた、未来の展望がまったく見えなくなってしまった庶民サイドのパニックが引き寄せた、逃避のための巨大な退行戦争なのか?
では、NHKが特番に使った画像をここで何点かご紹介していきながら、彼等の見解を聴きましょう ――――
上図はその番組内で使用されたものです ―――。
NHK取材班の調査班の調査は的確で、陰謀論界の位置関係を実に的確に把握しています。
まったく外様であった陰謀論内の人脈関係を、短いあいだにここまで調べた手腕はさすがだといっておきましょうか。
ちなみに青字に白の矢印と白文字は、僕がNHK原版につけ加えたものです。
ほかの分野と同様に陰謀論界にも世代交代というものがあり、2010年をピークに興隆したリチャードコシミズのようなかつての第一世代は、いまや見る影もない少数派と成り果てました。
先日たまたまマスコミの方と話す機会があったのですが、陰謀論界の通であるはずの彼もリチャードコシミズの名はもう知らなかった。
この世代交代が進んだ時期を、僕は、あの平塚正幸氏が都知事選に出馬した2020年前後のことだと考えています。
アメリカの陰謀論団体であるあの Q がかつてない興隆を見せはじめていたのも、ちょうどこのころでした。
だから、僕がこの図に記入した白文字は、陰謀論第二世代の構図なのです。
旧世代のリチャードコシミズは落とそうかとも迷ったのですが、彼は、平塚氏も名古屋の寺尾介伸氏も在籍していたRK独立党をつくったひとでもあるので、系図の起点としての役割を果たしてもらうべく、あえて残しました。
( 注:白の二重文字は僕がつけ加えたもの )
第二世代の主なメンバーは、国民主権党の平塚正幸氏、名古屋の活動家である寺尾介伸氏、あとドイツから現在来日中であるスピ & 陰謀論のニューウェイブ Meiko 女史、さらには各界からのパッシングをいまも激しく受けており、先日電車内から自著の広告すべてを外されてしまった内海ドクターなどです。
なお、平塚正幸氏は「 ノーマスクライブ 」の元祖であり、いまもその活動を継続中ですが、PCR差止訴訟には関与しておりません。
それの主催は主に徳島大学の名誉教授であられる、大橋眞氏ほか ――― 氏にはそれに関する著作も多数あります。
さらに、「 ノーマスクデモ 」と「 PCR差止集団訴訟 」「 コロナワクチン差止集団訴訟 」の両軸で行動しているのが、名古屋の寺尾介伸氏ですね。
前の記事にも書きましたが、彼はRK独立党の出身者であり、第二世代陰謀論者の筆頭塾生に当たります。
https://blog.goo.ne.jp/iidatyann2016/e/e4223f37806d506c0ab9c240227a3250
前時代の陰謀論者というのは、かつてのリチャードコシミズがそうであったように、「 ネット内の異空間をシェルターとして使っていた 」世代です。
彼等の主戦場はあくまでネットでした。
党首が敵方の人間だと認定 ――― 彼等はこの場合「 工作員認定 」という言葉を使用していました ――― した人間を大勢で叩き、場合によってはその人間の個人情報( 実名、住所、電話番号や職業、顔写真等 )を本人の意向を無視して暴露してしまう。
リチャードコシミズ独立党において、この行為は「 晒し 」と呼ばれていました。
ネットリンチなんて呼称もよく使われていましたっけねえ…。
さらにはこのリチャード氏は、「 朝〇悪 」などという差別用語も平然と使用していました。
いまだったらとんでもない話ですが、法整備の行きわたっていなかったあの時代には、このような無法もやり放題だったのです。
ヘイトが禁止になりはじめていた時代にヘイトOKを謳った彼のサイトは、2011年からの3年間、爆発的な興隆を迎え、ネット陰謀論といえばリチャードコシミズだ ――― といったような世評が普通に語られるほどでした
けれども、当時は過激に見えたこの手法も、時が経てばやはり色褪せます。
彼等の「 正義ごっこ 」はいまでは「 幼児性発言の最たるもの 」とされ、失笑を買うのがせいぜいとなり、陰謀論の本家たるリチャードコシミズもいまではこうした手法をすっかり前面から引っこめてしまいました。
僕等、リチャードコシミズ査問委員会の活動がようやく実を結んだというわけですね。
僕等の活動に協力してくれた、百軒さん、Tさん、チューリップさん、みかん姉さん、〇〇社長、大阪の水野さんなどに、この場を借りて、改めて謝意を述べさせていただきます。
ありがとう、皆さん ――― いまはもう僕等の戦列から離れているひともいますが、僕はあなたのこと忘れません……。
よしにつけ悪しきにつけ、この陰謀論第一世代の衰退は象徴的なエポックでした。
その継承者である第二世代は、第一世代にない新しい特徴をもっていたからです。
第二世代のその大きな特徴をいうまえに、まずは第一世代の特徴から順を追ってまとめていきましょう。
第一世代に属するリチャードコシミズの場合、彼の縄張りは、ネット内のブログエリアに限られていたのです。
彼は決してその安全地帯から出なかった。
自分が訴えられた名古屋裁判にも、彼は1度として出廷してこなかった。
ネットで吠えるのは得意でしたが、現実世界で喋ることは苦手だったのです。
一時期だけ彼も「 不正選挙裁判 」といったパフォーマンスをして、東京高裁に多くのひとを集め、「 司法を舞台に戦った真相追及者 」といった評判を得ましたが、所詮そんなものは法廷という舞台を借りて演じられた「 陰謀論者の、陰謀論者による、陰謀論者のための自己満ショー 」にすぎません。
最初のうちは「 とうとうリチャードさんの理論も法廷で争われるほどになったか 」と頬を染めていた独立党関係者の興奮も、時を経るごとに徐々に醒めていきました。
新聞で拾ってきた些細な規則違反を挙げつらうだけのイチャモン裁判が、法廷で勝てるはずがありません。
また、リチャードコシミズの目的が勝訴などではなく、「 裁判所でひとを率いて大暴れした陰謀論者 」という評判を得るためのものだったことは誰の目にも明らかでした。
2017年のRK独立党原告の不正選挙裁判のときには、彼と対立中の僕もこの裁判を傍聴に訪れ、彼の真後の席を取り、膝でごつごつと彼の背もたれ部分を小突いたりしながらその一部始終を傍聴しましたが、2011年には200人以上いた傍聴人が、このころには十数人にまで減っていて法廷は閑散としたものでした……。
しかしながら、第二世代の陰謀論者が試みようとしているのは、どうやらこちらの道であるようです。
リチャードコシミズがかつてやった「 不正選挙裁判 」というフォルムだけ借りて、一般陰謀論者が最も不得手にしている「 現実 」と接触し、自分たちがよくいわれているような現実から遊離した架空の陰謀理論を信じているような存在ではなく、現実的にちゃんと動いて、いくらかの成果もあげている、れっきとした「 活動家 」なんだ、といった点だけをアピールしているように見えるのは、あながち僕だけの深読みでもないように思います。
特に名古屋の寺尾介伸氏などは、この傾向が顕著です。
彼が名乗っている「 市民活動家 」といった肩書きには、僕は最初から違和感がありました。
活動家というのは、そもそも活動しているそのひとを認めた周囲のひとたちが、彼の功績を称えるために使う言葉ではないのかな。
それをおこがましくも自称するといった傲慢な行為に、僕は氏の底に潜んでいるナルシズムの匂いを嗅ぎました。
それに本当の活動家であるなら、いちばん重要なのは、やっぱり自分が何をやって何を成し遂げたいか ――― であるはずです。
具体的なそちらの目的のほうを優先しない「 活動家 」なんているのでしょうか?
ところが氏の場合、こうした自分論理が倒錯してしまっている。
寺尾氏は「 活動家 」という看板を自分自身の活動より大事にしているように思います。
自分が成し遂げようとしている「 現実的行為 」よりも、他者が自分を見て「 ああ、あの活動家の寺尾さん 」といって拍手してくれる、そのようなシチエーションのほうを求めている風に、どうしても見えてしまう。
なるほど、氏は氏なりにたしかにいろいろと動いてはいます。
公官庁への物言い。さらには集団での自治体への電凸攻撃 ―――
顰蹙が凄すぎて報道さえされていない、あの迷惑千万な「 ノーマスクデモ 」―――
そして、千人以上の集団原告での「 PCR差止集団訴訟 」と「 コロナワクチン差止集団訴訟 」―――
動いてはいるのだけれど、これではもう僕も氏のことを「 リチャード3世 」と呼ぶよりほかありません……。
正直にいわせてもらうなら、僕が今回の第二世代陰謀論のなかで興味をもっているのはこの寺尾氏のみであり、彼よりもビジネス的な動機で動いているように見える内海氏、大橋眞教授、Positive Evolution の Meiko さんなどには本当の意味での関心はありません。
しかし、コロナの第5波がかつてない勢いで国中にパンデミックを見せている現在、彼等が発信している「 コロウソ( コロナはウソで存在しないという論 )」や「 PCR差止集団訴訟 」などというものは、明らかな害悪でしかない。
コロナが存在しないというなら、ねえ、PCR検査を差し止める理由だってないはずじゃないですか、寺尾さん?
いま世界でコロナの死者がどれだけ出ていると思うの? それらの原因がコロナじゃないならいったい何なのよ?
こんな時勢に「 ノーマスクデモ 」をまた企画している君の姿勢と思想とが、僕はまったく分からない。
反ワクチンに加担したくなる気持ちだけなら少しは分かります。だけど、いまのコロナ対抗策としたらそれしかないじゃない? もちろんワクチンにしても所詮は人間業なんだから、完全無欠のはずがない。身体に合わなかったり、アナフィラキシーショックによる悲しい被害もいくらかはあるかもしれない。でも、それ以外に現在の僕等になにができるの?
君は頭から「 コロナはない 」とか決めつけているけどね、君は実際のコロナ医療の現場を1度でも見たことがあるのでしょうか?
官公庁にイチャモンつけにいく君動画は僕も見たけど、君が医療の現場に出かけた動画を見たことはありません。
僕は現場を見たよ。
彼等がどんな思いで絶望的な戦いを戦いつづけていると君は思っているの?
SPO2がぐんぐん70%まで下がっていくのを傍観しているときの医師と看護師の気持ちを、君は1度でもまじめに考えてみたことがあるのかな……?
君のやっていることはコンビニ店長を土下座させた動画をネットにあげて得意になっていた、かつての迷惑 youtuber の行為となんら変わらないと僕は思う。
英雄でも活動家でもない ――― 君はただのアジテーターです。
いまの君はかつてのリチャードコシミズ以上の社会悪になってしまった、と僕には感じられる。
君たちの撒き散らす反ワクチンのデマがどれだけの害悪を実際にもたらしているか、考えてみてください。
君たちの撒き散らした反ワクチンデマはネットを通じて大きく拡散し、コロナ禍に怯えている多くのひとの弱い心を直撃しました。
もう1度、HNKがあげたそれ関連の漫画を紹介しておきましょう( 注:二重白文字と黒枠のない吹き出し追加は僕 ) ―――
これと同様のケースは、無数の Twitter でいま現在も次々と語られつづけています ――― どうぞ、ご覧になられてください。
いっておきますが、あなたがたへの非難を訴えているこれらの意見は、全体のごくごく一部です。
実際には、この数万倍は優にいくでしょう ――― 空恐ろしいくらいの数ですよ。
君の運動(?)はそれほどまでに皆から疎まれ、忌避されているのです。
できることならその全部を取りあげてここに晒してやりたいのですけど、僕のブログ紙面には限りがあってそうもいかない。
ですから、よりすぐりの Twitter ばかり選んで、ここに並べさせてもらった次第です。
寺尾さん、君は以前あかねさんに、もし友達が間違ったことをしているのを見つけたら、自分は殴ってでもそれをやめさせる ――― といいましたよね?
君は僕の友達じゃない、 なにしろ会ったことすらないんだから。
だけど、百軒さんやあかねさん、Cyoryo さんや美作さんを通じて、君の人柄に関するいい話はいっぱい聴いています。
君のやっていることはこの Twitter 群を見れば誰でも分かるくらいにどうしようもないことなんだけど、君の人間の生地がどうしようもないひとだとは僕は思っていない。
だから、僕は君を叩きます。
今日の僕の記事は以上です ――― お休みなさい。