前回は「七」の持つ意味と、七を使った成語について書いた。今回は、「五」について、調べてみた。
五,会意。従二,従乂。“二”代表天地, “乂”表示互相交錯。本義:交午,縦横交錯
[訳]五の会意。二に従い、乂に従う。“二”は天地を代表し、“乂”は相互に交わることを表す。本義:縦と横が交わること。
五,陰陽在天地之間交午也《説文》
[訳]五は、陰と陽が天と地の間で交わること《説文》
五,五行也《説文》 段玉裁注:“水火木金土,相克相生,陰陽交午也”
[訳]五は、五行である《説文》。段玉裁の注:「水火木金土。互いに勝ち、互いに生じる。陰と陽の交わりである。」
通伍。古代軍隊編成単位,五人為伍
[訳]伍に通じる。古代の軍隊の編成単位で、五人を伍とする。
以上から、五は自然界でのひとまとまりの締めくくりの数字で、かつ五行、隊伍、というように、完結したひとまとまりを表しているといえそうである。
五は一つのジャンルの総称を表す。例えば;
・五路総口
東、西、南、北、中の五方向に通じる道路の交差点
・五車腹笥
腹の中に車五両分の書物がある。知識が豊富で、学識が深くて広いことの喩え。(ここでいう書物は木簡、竹簡の時代の書物で、したがって車で運ぶ必要があった)
・五方旗幟
東、西、南、北、中の五つの方位に、青、黄、赤、白、黒の五色の旗を立てること
・五伯
春秋時代に相前後して覇を称えた斉桓公、晋文公、楚庄王、吴王闔閭、越王勾践。また一説には斉桓公、宋襄公、晋文公、秦穆公、楚庄王を指す。
・五虫
鱗虫、羽虫、裸虫、毛虫、甲虫の総称
・五木
古代の刑具の総称。枷、鐐、(金考)等
・五細
出身が下賤で、年齢が若く、関係が疎遠で、経験が浅く、地位が低い五種類の人
・五雲
青、白、赤、黒、黄の五種類の雲の色
・五義
父義、母慈、兄友、弟恭、子孝
●五彩 wu3cai3
各種の色を指す。五彩とは、青、黄、赤、白、黒の五色のこと。
[成語] 五彩繽紛 wu3cai3bin1fen
色とりどり。いろいろなものが入り乱れる様。
〔用例〕柔軟光滑的斗篷和一排五彩繽紛的勲章
やわらかくなめらかなマントと一列の色とりどりの勲章
●五常 wu3chang2
(儒教) 人の常に守るべき五つの道徳。仁、義、礼、智、信を指す。
[類義語]五倫: 君臣、父子、夫婦、兄弟、朋友のこと
[成語]三綱五常
儒教社会で守るべき道徳。“三綱”は君臣、父子、夫婦の道
●五冬六夏 wu3dong1liu4xia4
冬夏を分かたず。季節を問わず。
〔用例〕五冬六夏,他都去焼炭
●五毒,五毒儿 wu3du2(r)
サソリ、ヘビ、ムカデ、ヤモリ、ヒキガエルの五つの毒
[成語]五毒俱全
たばこ、酒など、いろいろな(好ましくない)嗜好を持っていること
〔用例〕這些小伙子,年紀軽軽,怎么学得五毒俱全
これらの若者は、年齢は若いが、どうして悪い嗜好を身につけてしまったのだろうか
●五短三粗wu3duan3san1cu1
背は低いが、たくましい
〔用例〕五短三粗的身材
●五谷豊熟 wu3gu3feng1shu2
いろいろな農作物が熟し、豊作が望めること。“五谷豊登”ともいう
●五官 wu3guan1
耳、眼、鼻、口、身のこと、通常、顔面の器官を指す
〔用例〕五官端正
顔立ちが整っている
●五光十色 wu3guang1shi2se4
色があでやかで、多様性に富んでいる
〔用例〕阳光照耀之下五光十色的草原
太陽の光の下、色とりどりに輝く草原
●五行八作 wu3hang2ba1zuo4
いろいろな職業。さまざまな商売
●五湖四海 wu3hu2si4hai3
全国各地
〔用例〕斗笠為帆扇作舟,五湖四海任遨遊——唐・呂岩《絶句》
●五花八門 wu3hua1ba1men2
多種多様で変化に富むこと
●五葷 wu3hun1
五種類の辛味のある野菜。仏教では、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、ネギ、興渠(根はダイコンのようだが、においはニンニクのよう)
●五里雲霧 wi3li3yun2wu4
五里霧中
●五味 wu3wei4
各種の味覚のこと。甜(甘さ)、酸(酸っぱさ)、苦(苦さ)、辣(辛さ)、咸(塩辛さ)
●五刑 wu3xing2
中国の古代の五種類の刑罰。通常は、墨(入れ墨)、劓(鼻そぎ)、剕(足切り)、宮(去勢)、大辟(首切り)を指す。または、笞(鞭打ち)、杖(棒打ち)、徒(拘束)、流(流罪)、死(死刑)を指す。
●五音 wu3yin1
中国の五声音階での五つの音階。現代音階の1、2、3、5、6(ド、レ、ミ、ラ、シ)に相当。唐代以降は合、四、乙、尺、工と呼ぶ。それ以前は宮、商、角、徴(zhi3)、羽と呼ぶ。
或いは、音韻学上、五種類の声母の五種類の発音部位を言う。すなわち、喉音、牙音、舌音、歯音和唇音
数字を使った成語は非常にたくさんある。数字の使い方に何か法則性はないか、と考えてみたが、長い歴史を経てできたものだけに、一概には言えそうもない。しかし、数字の元々持っている意味が関係しているように思われ、数字から成語の成り立ちを追ってみたいと思う。
七は中国人にとって、大切な数字であるようで、七を使った言葉は数多くある。先ず、七の意味から見てみたい。
【中国の伝統的宇宙観で創世と“七”の関係】
据《庄子•応帝王》:“南海之帝為倏,北海之帝為忽,中央之帝為渾沌。倏与忽時相与遇于渾沌之地,渾沌待之甚善,倏与忽謀報渾沌之。曰:‘人皆有七竅,以視聴食息,此独無有,嘗試鑿之。’日鑿一竅,七日而渾沌死。”由此可見,倏与忽産生之前,宇宙原是渾沌的世界。,“日鑿一竅”, 鑿完七竅而人類有了“視聴食息”時,也就是有了宇宙,于是“渾沌”死了。
[訳]《庄子・帝王に応ず》によれば、“南海の帝は倏、北海の帝は忽、中央の帝は渾沌(混沌)であった。倏と忽はある時いっしょに渾沌の地に招かれ、渾沌の対応がたいへんよかったので、倏と忽は渾沌の徳に報いようと思い、言った。「人は皆、七つの穴があり、見、聞き、食べ、息をしており、ひとりとしてそれが無い者はありません。穴をあけて試してみましょう。」一日に一つ穴をあけたところ、七日目に渾沌が死んだ。”ここから、倏と忽が生まれる前は、宇宙は渾沌の世界であり、「一日に一つ穴をあけ」、七つの穴をあけ人類が「見、聞き、食べ、息をする」ようになった時、宇宙ができ、「渾沌」が死んだ。
【七を含む集合名詞】
七と創世は関係があるので、中国人は七を尊び、七を使って同時代の才気溢れ気骨のある文人、知識層を総括した。
[例]
●建安七子(孔融、陳琳、王粲、徐干、阮瑀、応瑒、刘)
→建安年間(196~220年)の七名の文学家の総称。
●明前七子(李梦阳、何景明、徐禎卿、辺貢、康海、王九思、王廷相)
→明代弘治、正徳年間(1488~1521)の文学流派。後の嘉靖年間に現れた李攀龍、王世貞等七子と区別するため、「前七子」という
●嘉靖七子(李攀龍、王世貞、謝榛、宗臣、梁有誉、徐中行、呉国倫)
→明代嘉靖、隆慶年間(1522~1566)の文学流派。「前七子」に対し、「后七子」ともいう
また、七で総括する集合名詞がある。
[例]
●七情(喜、怒、憂、思、悲、恐、驚)
●七音(宮、商、角、徴、羽、変宮、変徴)
中国の古代音階は五音と呼ばれ、宮、商、角、徴、羽の五つの音である。これは
中国式の音楽簡譜では1、2、3、5、6に相当する。これに変徴(4)、変宮(7)を加
えた七音、或いは七声が西欧音階に相当する。
●七色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)
●七経(“六経”に《論語》を加える)
【七と八の組合せ】
七と八の組合せはよく見られる。このふたつの数字は先ず「多い」という意味を表す。
[例]七手八脚、七拼八凑、七通八達
ここから派生して、「程度が甚だしい」、「秩序が乱れる」意味を表す。
[例]七零八落、乱七八糟、七顛八倒、七嘴八舌、七葷八素
【七を含む成語】
●一子出家,七祖升天
一人が権力を握ると、一族の者皆がその恩恵を被ることができる。
●七手八脚
だれもかれもが一度に手を出す
●乱七八糟、乌七八糟、污七八糟
めちゃくちゃに混乱している
●五労七傷
いろいろな病気。虚弱多病
●五侯七貴
高位高官
●三毛七孔
考え。知恵
《史記・扁鵲倉公列伝》唐・張守節正義:“心重十二両,中有七孔,三毛,盛精汁三
合,主蔵神。”
心は十二両の重さがあり、中に孔(穴)が七つ、毛が三本、精汁が三合入ってり、
主に精神を蔵する
●三江七澤
中国の主な河川、湖沼
●人生七十古来稀
・ 稀:稀少。
七十まで長生きする人は昔から多くなかった→長生きは難しい
●七擒七縦
策略を用いて相手を心服させること
[出典]三国時代、諸葛亮は南方に出兵し、酋長の孟獲を七度生捕りにし、七度釈
して放ち、遂には孟獲を心服させたという故事から。
●七縦八横
自由奔放である
●七子八婿
唐・郭子儀には八人の子供(男子)、婿七人がおり,皆朝廷で高官に任用された
《旧唐書•郭子儀伝》。このことから後に“七子八婿“は子や婿が多くいる意味に用
いられるようになった。
●七支八搭
①とりとめのないことを言う
②まとまりのないこと
●七貞九烈
婦女の貞節心が強く、死んでも身を委ねないこと
●七言八語
人が多く、様々な意見が出ること
●七相五公
[出典]《文選・班固〈西都賦〉》:“冠盖如云,七相五公。”
呂向注:七相:車千秋、黄霸、王商、王嘉、韋賢、平当、魏相を言う。
五公:張湯、蕭望之、馮奉世、史丹、張安世を言う。
公侯、御史大夫、将軍を通称して公と言う。
挙げたのは皆、漢代の公卿であり、後に多くの文武大臣を指すようなった
●七窩八代
罵り言葉。 全ての眷属家族を指す
●七湾八拐 、七湾八扭
①曲がりくねって、絶えず方向が変わること
②行動が単刀直入でないこと
●七損八益
中国古代の閨房での養生の概念。七損とは、性生活で人体の健康と長寿を損なう
事をいう。八益は、人体の健康と長寿に有益な方法をいう。
男子は八歳で腎の気が盛んになり始め、四八(32歳)に最高になる。これを男子の
四益という。女子は七歳で腎の気が盛んになり始め、四七(28歳)に最高になる。
これを女子の四益という。合わせて八益となる。男子の腎気は五八(40歳)で衰え
始め、八八(64歳)で尽きる。これを男子の四損という。女子は五七(35歳)で衰え
始め、七七(49歳)で尽きる。これを女子の三損という。合わせて七損となる。
●七嘴八舌
多くの人が方々から口を出す。口々に言う
●七零八落
散り散りばらばらである。・特に元々たくさんあって整っていたものが、現在では散
り散りばらばらになってしまったことをいう
●七竅生煙
・七竅:口と両眼、両耳、両方の鼻の穴。
怒ると、耳眼口鼻から火が出るかのようになる。怒りが頂点に達することをいう。
●七十二変
孫悟空の七十二相の変身術。変幻自在
●七十二行工
工・農・商など、あらゆる業種の総称
●七零八砕、零七八砕
こまごまとしている。ばらばらで系統だっていないこと、或いはたいして役に立たな
いもの
●不管三七二十一
委細かまわず。一切を顧みず
1970年代の毛沢東のアメリカとの間でのピンポン外交に先立ち、1958年に外交部部長に就任した陳毅(1901~1972。中国共産党の十大元帥の一人。後、副首相)が日本との間で、当時民間交流で往来のあった日本の囲碁界の代表団に働きかけ、囲碁選手の定期的な相互交流を実現した。
陳毅は自身、囲碁をよくやられたようで、日本囲碁界から、1963年の代表団の訪中の際、名誉七段の段位が、また死後名誉八段の段位が贈られている。
さて、囲碁や将棋に関する成語で、「棋逢対手」というのがある。 共産党と国民党の黄橋戦役を扱った小説で、徐の《借鍋》という短編がある。
地方の長老の袁福義は、鎮の商業界の仲間に頼まれ、陳毅に国民党との戦争の状況を聞きに行った。新四軍が拠点にしている家に入ると、国民党からの攻撃の銃声が聞こえる中、袁は陳毅から将棋を一局指そうとさそわれた。
“看見袁老先生,我的手作痒起来,我們就一邊対弈,一邊談心吧。”
(訳)袁さんの顔を見ると、手がむずむずしてきます。私たちは将棋を一局指しながら、腹を割って話しましょう。
“棋逢対手嘛!”
(訳)好敵手が来られましたからね。
● 棋逢対手 qi2feng2dui4shou3
【意味】囲碁や将棋で好敵手に出会う。戦いで双方の実力が甲乙つけ難いこと。
・対弈 dui4yi4:対局する「弈」名詞:囲碁 動詞:碁を打つ
・談心:腹を割って話をする
【出典】
《晋書•謝安伝》:“安常棋劣于玄,是日玄惧,便為敵手而又不勝。”
(訳)謝安はいつも囲碁では謝玄に劣っていたが、この日は玄が恐れたので、対戦したが、やはり勝てなかった。
唐•杜荀鶴《観棋》詩:“有時逢敵手,対局到深更。”
(訳)好敵手に出会った時は、対局は深夜にわたる。
「棋逢対手,将遇良才」という言い方をよくします。
● 将遇良才 jiang1yu4liang2cai2
双方の技能が相応であり、腕のある人が腕のある人に出会うこと
・将:将校
・良才:優れた才能を持つ人
囲碁、将棋関係の用語は、戦争や勝負事でよく使われます。先の《借鍋》から、もうひとつ、ことばを紹介します。
● 定局 ding4ju2
【意味】定まった状態。不動の局面
【用例】勝利已成定局
勝利は動かぬところとなった
袁福義は陳毅に次のように質問します。
“這次黄橋戦役,貴軍能有把握短日内定局?”
(訳)今回の黄橋の戦争では、あなたの軍隊は短期間で形勢を固める自信はおありですか?
これに対する陳毅の答えは、
“定局?定局?不,您的馬挿上翅膀,不就飛了。”
(訳)局面がきまったって?いやあなたの馬に羽を挿したら、飛べるのではないですか?
と定局の意味を、戦争ではなく今の自分たちの将棋の勝敗の意味に取り換え、とぼけます。
中国の囲碁界で初めて日本の九段に勝ち、その後の中国囲碁界をリードした陳祖徳が書いた《超越自我》の中で、囲碁用語がいろいろ出てきます。
● 妙着 miao4zhao1
【意味】妙手。巧妙な策略。
【用例】“点湖成棋”的妙着 湖を指して棋盤とするという妙手「着」はいろいろな発音がありますが、zhao1と発音する時は、囲碁、将棋の「一手」の意味となり、また比喩として、策略、手段の意味に使われます。
● 子 zi3 目 mu4
【意味】(囲碁の)目。「三目勝ち」という場合、“勝三子”という使い方をします。棋盤上の枡の交差で見る場合は「目」と言い、囲碁で勝敗を決める為、取った目の数を数えることを“点目”と言います
● 局 ju2
囲碁の盤。囲碁の試合の回数。ゲーム。そこから、形勢、状況の意味にも使われます。
・布局:囲碁の布石。そこから、物事の組み立ての意味に使われます。
「布」は駒を並べる意味で、“棋盤布好了”といえば、将棋盤を並べ終えた、将棋の盤の準備ができた、という意味です。
・開局:対局の最初の段階
・局勢:形勢
● 盤 pan2
(名詞)囲碁、将棋の盤 (量詞)試合を数える
・中盤 試合の中ほどの、勝敗の形勢を決める局面
・終盤 試合の最終局面
1980年代に、「一盤没有下完的棋(未完の対局)」という映画がありました。ここでの「盤」は量詞としての使用例です。
● 収官 shou1guan1
囲碁の試合の最後の段階で、空いた目を埋めていくこと。「官子」とも言う。
・単官:「収官」段階で、目数とは無関係な石を「単官」と言う。
このブログで、成語、諺語(ことわざ)の出典や使われ方を紹介してきたが、そもそも成語や諺語はどういうもので、何が違うのか、述べてみたい。
【成語の定義】
長年使用され、磨きをかけられ形成された固定フレーズ(句)。単語よりは大きいが、文法機能的には単語に相当する言語単位。
慣用句や諺語(ことわざ)に近いが、多少異なる点がある。主な点は、成語は書物から採られているので、文語的であるのに対し、慣用句や諺語は口語的であることである。成語は字面を変えることができず、大部分が4文字で固定されているが、慣用句や諺語は多少の変化が許され、文字数も制約がない。
ただ、これはあくまで目安であり、成語、諺語、慣用句が、完全に別なものであるわけでなく、区分の明確でないものもある。
【形式】
一般に四文字だが、三文字、五文字以上、二つの部分に分かれ、間がコンマで区切られるものもある。一般に四文字が多いのは、四字が人の口から言いやすいからだろう。
四文字以外の成語の例:
・ 敲門磚
・ 桃李満天下
・ 欲速則不達
・ 五十歩笑百歩
・ 江山易改,本性難移
【構造】
四文字の成語の文法構造
● 主謂式(主語+述語)
・ 名副其実 ming2fu4qi2shi2 名(主)+副其実(述)
・ 盛気凌人 sheng4qi4ling2ren2 盛気(主)+凌人(述)
・ 杞人憂天 qi3ren2you1tian1 杞人(主)+憂天(述)
・ 胸有成竹 xiong1you3chen2zhu2 胸(主)+有成竹(述)
● 動賓式(動詞+賓語(目的語))
・ 好為人師 hao4wei2rn2shi2 好為(動)+人師(目)
・ 莫名其妙 mo4ming2qi2miano4 莫名(明)(動)+其妙(目)
・ 視為畏途 shi4wei2wei4tu2 視為(動)+畏途(目)
● 聯合主謂式(主述構造の連結)
・ 天翻地覆 tian1fan1di4fu4 天(主)翻(述)+地(主)覆(述)
・ 水落石出 shui3luo4shi2chu1 水(主)落(述)+石(主)出(述)
・ 手舞足蹈 shou3wu3zu2dao3 手(主)舞(述)+足(主)蹈(述)
● 聯合動賓式(動詞目的語構造の結合)
・ 知己知彼 zhi1ji3zhi1bi3 知(動)己(目)+知(動)彼(目)
・ 養精蓄鋭 yang3jing1xu4rui4 養(動)精(目)+蓄(動)鋭(目)
・ 防微杜漸 fang2wei1du4jian4 防(動)微(副)+杜(動)漸(副)
・ 発号施令 fa1hao4shi1ling4 発(動)号(目)+施(動)令(目)
● 聯合名詞式(名詞句の結合)
・ 粗心大意 cu1xin1da4yi1 粗心(名)+大意(名)
・ 南轅北轍 nan2yuan2bei3zhe2 南轅(名)+北轍(名)
・ 鏡花水月 jing4hua1shui3yue4 鏡花(名)+水月(名)
● 聯合動詞式(動詞句の結合)
・ 突飛猛進 tu1fei1meng3jin4 突飛(動)+猛進(動)
・ 勇往直前 yong3wang3zhi2qian2 勇往(動)+直前(動)
● 動補式(動詞+補語)
・ 逍遥法外 xiao1yao2fa3wai4 逍遥(動)(在)法外(補)
・ 問道于盲 wen4dao4yu2mang2 問道(動)+于盲(補)
● 兼語式(動詞+兼語+述語)
・ 以隣為壑 yi3lin2wei2he4 以(動(介詞))+隣(兼語)+為壑(述)
・ 令人生畏 ling4ren2shen1wi4 令(動)+人(兼語)+生畏(述)
● 並列式(並列構造):名詞句、動詞句などが並列する構造。形としては、
聯合名詞式、聯合動詞式などと同じ。
・ 千山万水 qian1shan1wan4shui3 千山(名)+万水(名)
・ 画蛇添足 hua4she2tian1zu2 画(動)蛇(目)+添(動)足(目)
● 偏正式(修飾語構造)意味的に間に「的」が入る
・ 傾盆大雨 qing1pen2da4yu3 傾盆(定語) (的)大雨(中心詞)
・ 窈窕淑女 yao3tiao3shu1nv3 窈窕(定語) (的)淑女(中心詞)
【歴史】 成語は古代から語り継がれてきたものが多く、ことばの使い方も、現代文とは異なる場合も多い。昔の人の文章から採られたもの、人々が言い慣わしたものがある。字面で意味のわかるものもあるが、故事出典に基づき、字面だけでは意味のわかりにくいものもある。
● 昔の寓話から採られたもの:
・ 狐假虎威 出典:戦国策・楚策
・ 鷸蚌相争 燕策画蛇添足
・ 斉策刻舟求剣 呂氏春秋・察今
・ 自相矛盾 韓非子
● 歴史上の故事から採られたもの
・ 完璧帰趙 史記・廉頗藺相如列伝
・ 破釜沈舟 史記・項羽本紀
・ 草木皆兵 晋書・苻堅載記
・ 一箭双雕 北史・長孫晟伝
・ 口蜜腹剣 唐書•李林甫伝
● 古書の文句を用い、四字の成語としたもの
・ 有条不紊 《尚書・盤庚》“若網在網,有条而不紊”
・ 挙一反三 《論語・述而》“挙一隅,不以三隅反,則不復也”
・ 痛心疾首 《左伝》成公十三年“斯是用痛心疾首,暱就寡人”
・ 分庭抗礼 《庄子・漁父》“万乗之主,千乗之君,未嘗不分庭抗礼”
● 古人の文章の成句から採ったもの
・ 憂心忡忡 《詩経・召南・草虫》
・ 外強中干 《左伝》僖公十五年
・ 以逸待労 《孫子・軍争》
・ 水落石出 蘇軾《后赤壁賦》
・ 萍水相逢 唐代・王勃《滕王閣序》
・ 牢不可破 唐代・韓愈《平淮西碑》
● 人々が口頭で言い慣わした慣用句が転じて成語となったもの
・ 咬文嚼字
・ 拖泥帯水
・ 陽奉陰違
・ 不三不四
・ 心直口快
● 外来文化(仏教など)の影響を受けたもの
・ 天花乱墜
・ 当頭棒喝
・ 不可思議
・ 不二法門
【諺語(ことわざ)】
諺語は大部分が文(センテンス)であり、句(フレーズ)ではない。諺語は通常、人々の口語の中で用いられ、文章の中で用いられることは少ない。諺語の形式は、成語のように整っていない
例:
・ 真金不怕火練
・ 坐山観虎斗
・ 天下烏鴉一般黒
・ 百聞不如一見
・ 有志者事竟成
・ 路遥知馬力,日久見人心
【慣用句】
慣用句も、諺語と同様、人々の口語の中で用いられるものだが、諺語のような文(センテンス)ではなく、成語と同様、句(フレーズ)である。
例:
・ 快刀斬乱麻
・ 九牛二虎之力
・ 驢唇不対馬嘴
・ 前怕狼,后怕虎
【歇后語】
歇后語は固定的な句(フレーズ)で、必ず2つの部分から構成される。前半は比喩や譬え。後半で譬えの解の説明をする。
例:
・ 狗拿耗子 多管閑事
・ 泥菩薩洗臉 越洗越難看
・ 蜜餞黄連 先甜后苦