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🏛 黒塚古墳の出土品を常設展示 橿考研付属博物館、きょう新装オープン 2021/11/2〜

2021-11-02 22:03:00 | 〽️ 行事・新案内等 控え

黒塚古墳の出土品を常設展示 橿考研付属博物館、きょう新装オープン
  産経新聞社ニュースより 211102


 (「飛鳥美人」の複製陶板に触れることもできる)
 奈良県橿原市の県立橿原考古学研究所付属博物館で約3年にわたる大規模改修が終わり、2日、館内が報道関係者に公開された。
 約3700点の展示品のうち約2割を入れ替え、重要文化財に指定されている黒塚古墳(同県天理市)の出土品を初めて常設展示するなど装いを一新。3日にリニューアルオープンする。

 同館は昭和55年に開館した国内屈指の考古系博物館で、奈良県内の306遺跡の出土資料を展示する。

 改修は老朽化した空調施設の取り換えと耐震性強化などが目的。平成30年12月から休館し、約13億円をかけて改修工事を進め、展示替えも行った。

 黒塚古墳の関係品では、国内最多の出土数を誇る三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう、33面)のほか、画文帯(がもんたい)神獣鏡(1面)や鉄製品を初めて常設展示。「飛鳥美人」と呼ばれる高松塚古墳壁画・西壁女子群像(同県明日香村)の陶板なども見ることができる。

 また、国宝の藤ノ木古墳(同県斑鳩町)の馬具や、国内最大の埴輪として知られるメスリ山古墳(同県桜井市)の円筒埴輪は、新たに展示台に免震装置を設置した。

岡林孝作館長は「今後は展示替えを定期的に行い、『常に新しいものが見られる』という博物館を目指したい」としている。

ーーーーーー 朝日新聞デジタル より 抜粋
土偶、埴輪(はにわ)、瓦、将棋駒……。旧石器時代から室町時代まで、国宝・重要文化財を含む計約3700点が並ぶ。考古資料への理解が深まる数々の復元模型も見どころの一つだ。
 有名な黒塚古墳(天理市)の出土鏡(三角縁神獣鏡33面と画文帯神獣鏡1面)はすべて展示し、リニューアルに花を添えた。高松塚古墳の石室に描かれた国宝極彩色壁画(西壁女子群像)の複製陶板も人気を集めていた。
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🌾 大津のWEF技術開発がもみ殻からシリカ抽出 農業分野での活用に期待 202111

2021-11-02 21:59:00 | なるほど  ふぅ〜ん

大津のWEF技術開発がもみ殻からシリカ抽出 農業分野での活用に期待
  びわ湖大津経済新聞 より 211102


 WEF技術開発(大津市堂)が10月21日、短時間でのもみ殻からのシリカ(二酸化ケイ素)抽出に成功したと発表した。

 同社は、工場設備のメンテナンス事業をしていたアオヤマエコシステム(大津市堂)が2016(平成28)年、水処理・廃棄物リサイクル事業部を分離独立させ設立。
 空気中の酸素から活性酸素を作り廃棄物の処理に利用する技術を開発し、琵琶湖の水草の堆肥化などに使ってきた。

 シリカの抽出には、同社が5月、販売を始めた装置で、リサイクル処理ができない汚れたペットボトルやプラスチック容器、医療廃棄物などを活性酸素を利用して有機物を消滅させ無機物のみを残す「ZEROSONIC(ゼロソニック)」を活用。
 もみ殻からシリカを取り出せないかという問い合わせを受け、試験装置の製作に取り掛かった。

 シリカには結晶シリカと非結晶シリカがあり、石英から作る結晶シリカが広く使われていたが、発がん性物質と認められ、2017(平成29)年に労働安全衛生規則の危険物質の4章で規制された。
 植物にしか含まれていない非結晶シリカの需要が高まったが、抽出には酸や燃焼などの処理にに手間や時間がかかる問題があったという。
 「ゼロソニック」にもみ殻を入れ、有機物のセルロースを消滅させシリカを残すことで、短時間でのシリカ抽出が可能になった。コストも低いという。

 米作りでは、ぬかともみ殻が残り、ぬかの利用は進んでいるが、もみ殻は廃棄物として処理され、処理コストがかかっていた。
 同社社長の青山章さんは「来年初めには装置の販売を開始する予定。もみ殻をシリカに変えて利用できれば、もみ殻を原料資源にできるかもしれない。地産地消でシリカを循環させるシステムを作れないかと考えている」と話す。
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🧬アルツハイマー治療法につながる可能性 細胞老化の仕組み発見、京都産業大  202111

2021-11-02 21:11:00 | 健康関連

アルツハイマー治療法につながる可能性 細胞老化の仕組み発見、京都産業大
    京都新聞 より 211102


 細胞内の小器官、小胞体の中にある特定の酵素を欠くことで、細胞老化が引き起こされる仕組みを見つけたと、京都産業大のグループが発表した。
 細胞老化が引き金となるアルツハイマー病などの治療法の開発につながる可能性がある。英科学誌サイエンティフィック・リポーツに2日、掲載された。

 小胞体はカルシウムイオンの貯蔵庫とされ、筋肉の収縮や免疫反応といったさまざまな生命現象を支えている。
 京産大の永田和宏名誉教授らは2008年、小胞体でタンパク質の品質管理にかかわる酵素「ERdj5」を発見。その後、小胞体にカルシウムイオンを取り込む「ポンプ」の調節役を担っていることも判明したが、ERdj5が失われるとどんな影響が出るのかは不明だった。

 永田名誉教授や潮田亮准教授らは、ERdj5を欠損させた線虫で細胞小器官のミトコンドリアに着目。ポンプ機能が破綻することで小胞体の外にカルシウムイオンが蓄積し、ミトコンドリアの構造を切断する因子が活性化されることが分かった。
 さらに切断されたミトコンドリアは機能低下を招き、細胞老化の原因となる物質が正常時より約1・5倍増え、線虫の寿命も約10%短くなったという。ヒトやマウスの細胞でも同じ仕組みを確認した。

 潮田准教授は「この酵素の機能をいかに維持させるかが、生活習慣病や老化などの予防の足掛かりになるのではないか」と話している。
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⚠️🧬狙った細胞に「自分を殺す毒」を作らせるRNA技術が登場  202111

2021-11-02 21:08:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

狙った細胞に「自分を殺す毒」を作らせるRNA技術が登場
  ナゾロジー より 211102  川勝康弘
                    Credit:Canva . ナゾロジー編集部


⚫︎がん細胞だけを殺すRNAができるかもしれません。
 ハーバード大学とMIT(マサチューセッツ工科大学)で行われた研究によれば、狙った細胞に好きなタンパク質を生産させる特殊なRNA(eToehold)を開発した、とのこと。

 がん細胞やウイルスに感染した細胞など特定の細胞に対して、毒となるタンパク質を生産させることができれば、がん治療や感染治療に革命が起こる可能性があります。
 しかし、1本鎖の核酸に過ぎないRNAに、どうやって狙った細胞を認識させることができたのでしょうか?

研究内容の詳細は10月28日に『Nature Biotechnology』にて公開されました。

■目次

ー「毒入りRNA」で細胞を殺す
ー狙った細胞に狙ったタンパク質を作らせる複合RNA
ー「狙う細胞」と「生産させたいタンパク質」は自由に選べる


⚫︎「毒入りRNA」で細胞を殺す
 現在の医学はRNA技術による変革期を迎えています。
RNAは生命の設計図であるDNAの部分的な写しであり、タンパク質を作るための直接的な鋳型となります。

 そのためウイルスのRNAを人体に入れれば、ウイルスのタンパク質が作られ、免疫の学習材料にできるのです。
 また細胞を殺す毒タンパク質の配列をRNAに組み込めば、RNAを取り込んだ細胞は内部で、自分を殺す毒を作らされる羽目になります。

 内部で作られる毒は外部から注がれる同じ毒よりも効果的であり、がん細胞のような生命力の強い細胞も殺す(自壊させる)ことが可能です。
 ただ既存の「毒入りRNA(毒タンパクの配列が含まれるRNA)」は残念なことに、細胞の違いを認識することができませんでした。

 そのため、ひとたび毒入りRNAが注がれると、正常な細胞も、がん細胞も、ウイルスに感染した細胞も区別なく、平等に抹殺されてしまいます。

 そのため次善の策として、がんの腫瘍内部に毒入りRNAを直接注射するなどの方法が考案されましたが、血流に乗って拡散すれば、正常な細胞を殺してしまう可能性がありました。
 毒入りRNAを狙った細胞のみで働かせるには、核酸の1本鎖に過ぎないRNAに、細胞ごとの特徴を何らかの方法で教え込まなくてはなりません。

 今回、ハーバード大学とMITの研究者たちは、その方法を開発しました。

⚫︎狙った細胞に狙ったタンパク質を作らせる複合RNA


Credit: Evan M. Zhao et al . RNA-responsive elements for eukaryotic translational control . Nature Biotechnology(2021)
RNAを狙った細胞だけに効果を与えるにはどうすればいいか?

 ヒントはRNAが1本鎖である点にありました。
私たちの体の細胞は同じDNAを持っています。
しかし、皮膚や胃の細胞は異なるタンパク質を生産し、異なる機能を持っています。

 その原因は、内部で働いているRNAに違いがあるからです。

 大本の設計図であるDNAが同じでも、書き写されている部分設計図(RNA)が異なれば、異なるタンパク質が生産され、細胞の種類も別物になります。

 そこで今回、ハーバード大学とMITの研究者たちはまず上の図のように、毒の代りに蛍光タンパク質の設計図を乗せたRNAを作成。

 その前方部分に、mRNAを検知する(相補的に結合する)センサー配列と、タンパク質合成酵素(リボソーム)が付着するのを防ぐ防護配列を連結した複合RNA(eToeholds)を作成しました。

 興味深いのはここからです。
redit: Evan M. Zhao et al . RNA-responsive elements for eukaryotic translational control . Nature Biotechnology(2021)
 通常の細胞にこの複合RNAが存在しても、防護配列のせいでタンパク質合成酵素が付着できないので、何も起きず、時間がたてば複合RNAは分解されていきます。

 しかし、特定のmRNAと複合RNAのセンサー部分が結合すると、防護配列が変形してタンパク質合成酵素の結合が可能になり、蛍光タンパク質(生産させたいタンパク質)の生産が可能になるのです。

 なお、変形後の防護配列はウイルスが細胞のタンパク質合成酵素をハイジャックするときの配列(IRES)を反映するように設計されており、蛍光タンパク質は細胞内部で優先的に生産されます。

 結果、研究者たちは適切なmRNAが存在する細胞において、蛍光タンパク質を発現させ、細胞を光らせることができました。

 蛍光タンパク質の代りに毒タンパク質の配列や免疫細胞を刺激する(アポトーシスを開始させる)タンパク質の配列を入れていれば、がん細胞だけを選んで殺すこともできるでしょう。

⚫︎「狙う細胞」と「生産させたいタンパク質」は自由に選べる
 今回の研究により「狙った細胞」に「生産させたいタンパク質」を生産させる複合RNAの基礎システムを開発することに成功しました。

 複合RNAの配列を変更することでトリガーとなるmRNAと「生産させたいタンパク質」は自在に変更可能です。

 今回の研究では、ジカウイルスと新型コロナウイルスのmRNAに反応する複合RNAのテストが行われ、それぞれのウイルスに感染した細胞のみで蛍光タンパク質を作らせることにも成功しています。

 重要なことは、複合RNAをDNAに変換することが可能という点があげられます。
RNAよりも遥かに安定して存在できるDNAの形で細胞に導入することができれば、狙った細胞で複合RNAを持続的に生産可能となります。

 さらに「狙う細胞」に脳を含む各臓器の細胞、「生産させたいタンパク質」に幹細胞化を促す因子にした場合、事故や手術、アルツハイマー病などで失った細胞を増産させることが可能になり、再生医療の実現も可能になります。

 一方で、汎用性の高い技術は悪用の恐れもあります。
「狙う細胞」に特定民族の生殖細胞を、「生産させたいタンパク質」に生殖細胞を殺す毒素を選び、感染力の強いウイルスの遺伝子に組み込むことで、原理的には、特定の民族のみを不妊化させる生物兵器が可能になるからです。

汎用的なRNA技術という大きな力を、人類は上手く使いこなせるのでしょうか?


◆参考文献
Engineers devise a way to selectively turn on RNA therapies in human cells https://news.mit.edu/2021/rna-therapies-control-human-cells-1028 Creating a new toehold for RNA therapeutics, cell therapies, and diagnostics https://wyss.harvard.edu/news/creating-a-new-toehold-for-rna-therapeutics-cell-therapies-and-diagnostics/
元論文
RNA-responsive elements for eukaryotic translational control https://www.nature.com/articles/s41587-021-01068-2
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⚠️ 「トヨタですら危ない」中国:激安EVが日本自動車産業を潰しかねない"これだけの理由" 202111

2021-11-02 20:22:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

「トヨタですら危ない」中国の激安EVが日本の自動車産業を潰しかねない"これだけの理由"
  プレジデントonlainより 211102  前田 雄大

 10月、物流大手のSBSホールディングス(東京都墨田区)が中国のEVトラック1万台を導入すると発表した。攻勢を強める中国勢に日本メーカーは耐えられるのか。
「 EnergyShift」発行人の前田雄大さんは「シェアを奪われるという程度の問題ではない。中国EVは、日本の自動車産業を根底から揺るがす恐れがある」という――。

⚫︎中国EVが「蟻の一穴」になる
 日本の自動車産業は脱炭素時代を生き抜くことができるのか。悲観せざるを得ないニュースが飛び込んできた。中国勢が本格的に日本の国内市場に攻勢をかけ始めたからだ。

 中国の自動車大手、東風汽車集団のグループ会社が、物流大手のSBSホールディングスに商用の小型電気自動車1万台の供給を始めたと、日本経済新聞が「中国が商用EV対日輸出 東風など1万台、競合なく」という見出しで、10月12日付の朝刊1面トップで報じた。

 報道によれば、佐川急便も2022年以降、中国の広西汽車集団から7200台のEV軽自動車の供給を受ける。比亜迪(BYD)というメーカーは、現価格帯の4000万円から4割値下げした大型EVバスの販売を進め、30年までに2000台を日本で販売する計画だという。

 脱炭素の流れを受け、日本の物流大手もEVシフトをせざるを得ない。そんな中、出遅れた日本勢の隙をついて中国勢が国内市場に入り込んでいる。SBSが導入する車両は1トン積載のEVトラックで、380万円ほど。同じようなディーゼル車とほぼ同価格だという。国の補助金が見込まれるうえ、コスト安が見込まれることから導入を決めたという。

 ネット上では、日本の自動車産業の今後を憂いた声が大勢を占めた。中国勢にシェアを奪われるという程度の問題ではない。日本の自動車産業そのものを破壊しかねない存在と言えよう。中国EVの対日輸出は、日本の自動車産業を揺るがす「蟻の一穴」になりうる――。本稿では、その理由を紹介したい。

⚫︎国産車のシェアを奪われるだけでは済まない
 脱炭素時代に物流大手会社が車両のEV化を進めること自体に驚きはない。注目すべき論点は、このEVが中国国内で、中国企業が組み立てを行うという点にある。

 これではもちろん、現行法上、中国で流通している仕様では日本の保安基準はクリアできない。例えば、中国で大ヒットしている50万円のEV、宏光「MINI EV」であっても日本の保安基準を満たさない限り、日本には上陸できない。基準をクリアしようとすれば安全性能を高めるなどの改良が必要で、50万円ほどの低コスト車両ではそもそも無理であろう。

 それでは、なぜ今回、中国EVが日本に上陸できたのか。ポイントは、EVの最終納品者が日本企業となっている点だ。

 SBSから依頼を受けてEVトラックの導入を手掛けるのは、フォロフライという京都大学発のEV開発スタートアップだ。この会社は国内で初めて「ファブレス生産」、つまり工場を持たず海外への委託・生産で宅配用EVのナンバーを取得。その実績から、今回フォロフライとSBSが組むことになった。

 フォロフライが進める「ファブレス生産」とは、自社で設計は行うものの、生産主体は別企業に委託する形態を指す。

 半導体の生産などでは、ファウンドリー、ファブレスという言葉は頻出であるが、ファウンドリーが受託生産を請け負うのに対して、ファブレスは自社工場を持たずに、生産をファウンドリーなどに委託する、俗にOEM(他社ブランドの製品を製造すること)と言われる形態をとる。中国EVが日本上陸を可能にしたのは、こうした生産側の事情がある。

⚫︎中国生まれの“なんちゃって日本車”
 SBSが発注した小型EVの生産を請け負うのが、冒頭で紹介した東風汽車集団だ。設計はフォロフライが行い、日本の保安基準を満たすように指示を出す。生産は東風汽船が手掛ける。名目上は“日本ブランド”になるが、報道のとおり実体は中国EVということになる。

 報道によれば、このEVは日本の道路運行上の保安基準をクリアし、国土交通省からナンバーを取得した。年内には性能試験が行われるという。その結果を踏まえ、22年から毎月数百台のペースで納入され、続々と実質中国製のEVが日本に上陸する。ネットショッピングで注文した商品を届けに、このEVが読者の自宅にやってくる日も来るだろう。

 中国EVを採用する日本の物流大手はSBSだけではない。SBSの発表からさかのぼること半年前の2021年の4月、佐川急便は中国EVを導入していく方針をクロステックのベンチャーASFと合同で発表した。

 SBSのフォロフライと同様に、このASFが、佐川が導入する中国EVの設計を担当する。プロトタイプはASFが企画・開発・製品管理などを行う一方で、製造を手掛けるのは広西汽車集団という中国の企業が担う。このケースにおいても、ASFが最終納品者になるという意味で「日本車」になるが、実態は中国製のEVとなる。

 なお、導入台数は、佐川は宅配事業で使っている全軽自動車7200台をEVに切り替える方針だ。佐川グループの全車両台数が2万7000台なので、3割近くが実質中国製EVに置き換わる。予定では2022年9月から首都圏などの都市部を中心に佐川急便の営業所へ納車される。1年以内にこのEVが日本の物流シーンに登場することになる。

⚫︎物流企業が中国EVに手を出さざるを得ない事情
 日本の物流大手がEV化を急ぐのは、背に腹は代えられない事情がある。

 現在、世界的に脱炭素化が進んでいるが、「ESG投資の拡大」が進んでいる。環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資を指す。企業は環境などに配慮する取り組みを行い、ESGスコアを上げなければ投資を呼び込めなくなるからだ。

 加えて、TCFDと呼ばれる気候関連財務情報開示の動きも拡大しており、日本では6月にコーポレートガバナンス(企業統治)コードが改定。プライム市場に移行する企業はその開示を行う方向性が初めて盛り込まれるなど、企業は脱炭素化のプレッシャーにさらされている。CO2削減の観点では、サプライチェーンの上流も下流も不可欠で、「物流」という項目も入っている。つまり、物流企業は自社の企業価値の観点からも、クライアント側の要請という意味でも脱炭素転換は必要不可欠な取り組みとなっている。

 前掲の報道によるとSBSグループは、ラストワンマイル輸送車両を全てEV化する狙いについて、政府が宣言した2050年カーボンニュートラルの実現を達成するには、現状のままで排出抑制策を講じても限界があり、車両を全てEV化すればよいとの結論に至ったと答えている。当然の回答だが、しかも、燃費よりも電費の方がよいという特徴があるため、実はランニングコストの面では価格優位性が出てくる。

 そこで重要になるのが、いかにして初期投資のコストを削減できるかという点だ。日本の商用車EVはまだ高く、物流企業のコスト意識に照らすと選択肢になりづらい。一方で、物流企業は何かしらの方法で脱炭素転換を図らなければならない。そこで選択肢として浮上したのが、日本企業を「ファブレス企業」にし、OEMは中国企業にして新車両を導入する方法だった。

 今回のSBSが導入するEVの販売額は1台380万円とガソリン車と同水準だ。コスト面は遜色ない。仕様についても、ラストワンマイル仕様として航続距離300キロメートルを確保できる機能を持つバッテリーを搭載し、普通免許で運転可能な車種としては最大積載量となる。高スペックだ。

 こうなると物流企業とすれば,最終納品者が日本企業であれば問題ないのでは,と考えるようになっても致し方ない。コスト削減しつつEV化を進める現実的な最適解というわけだ。

⚫︎水平分業が進めば、日本の自動車産業は歯が立たない
 安くて、高スペックなEVが手に入ってよかった、という話だけでは終わらない。日本の主要産業である自動車産業にとって極めて大きな問題を秘めているからだ。それは単に「中国製のEVが日本で走る」という問題ではない。より構造的な深い問題である。

 それは、今回の事案が車製造の水平分業化を加速させる恐れがあるということだ。

 日本の自動車産業は、他国のメーカーと同様に「垂直統合」というビジネスモデルだ。技術開発、生産、販売、サービス提供などの異なった業務を単一の企業(グループ)がすべて担う仕組みだ。

 EV車両は、内燃機関を持つディーゼル車に比べて部品数が少ない。構造も単純化されるために、水平分業モデル(スマホのように開発と生産を分担するモデル)は出てくるだろうと言われてきた。実際、世界でもソニーがEVの受託生産を依頼したオーストリアのマグナ・シュタイヤー社をはじめ、そうした動きはある。台湾の鴻海もEVの水平分業化の中でチャンスをうかがっている企業の一つである。

 自動車産業の水平分業が進めばどうなるのか。伝統的な自動車企業が行っている垂直統合モデルが崩壊し、水平分業で力をつけたOEM企業が出てくる。車のEV化はハード面だけの話ではないので、グーグルやアップル、中国の百度といったIT企業が自動車産業に参画することを許すことになる。

 商用車ではあるが、中国EVの日本上陸が、日本の自動車産業の構造そのものを破壊しうる「蟻の一穴」になりかねないのはこのような理由がある。

⚫︎中国EVは“地獄の案内人”
 テスラのEV車両がソフトウェアの面でも評価をされているように、これからは「コネクテッドカー」としての性能も問われるようになる。グーグルなど、優れたOS構築ノウハウをもつIT企業が、従来の自動車メーカーにはないバリューを発揮し、差別化した競争力のある車を出しても何ら不思議ではない。

 機会をうかがっているのはアップル社も同じだろう。すでに報道されているように、アップル社が自動車分野に本格参入するのは既定路線とも考えられている。中国企業とOEM提携するかどうかは現時点では不明だが、元来、水平分業モデルを得意とするアップルにとっては、車の水平分業化は渡りに船である。

 スマートフォンを作るように自動車をつくられては、日本の自動車産業としてはたまったものではない。ソフト面はすでにグーグルのOSを導入する方向で、日産もホンダも舵を切っているように差が明確であり、日本メーカーでは歯が立たないからだ。

 水平分業モデルを許すことは、日本勢が長年維持してきた聖域の扉を開けることになる。国内市場に登場した中国EVは、日本勢のシェアを奪うだけでなく、ビジネスモデルの根本部分への脅威であると断言できるのだ。

 IT企業が自動車産業に本格参入した場合、日本の自動車メーカーは苦戦を強いられることになるだろう。下請け企業として、受託生産をする側に回ってしまうことも想定される。この構図は、日本がデジタル産業において苦杯をなめたのと同じであると言ってもいい。

⚫︎「脱炭素を進め、国滅ぶ」では本末転倒だ
 このように考えると、中国EVが上陸したと騒いでいるうちに、主体が巨大IT企業に置き換わり、OEM企業と提携して国内市場を席巻する恐れがあるという現実を十分に警戒する必要がある。

 もちろん脱炭素を意識しなければ企業としてやっていけない。物流企業の事情は理解できる。自動車産業におけるファブレス、OEMの構図は放っておいても起きるだろうし、そもそもサプライチェーンを効率化した結果だという指摘もあるだろう。また、日本の商用EVが価格競争力を持っていれば済むという指摘はもっともだ。

 ただ、こうした楽観的観測が、結果として自分たちのクビを絞めることになるのではないかと筆者は危惧する。生き残りをかけて脱炭素を全力で進めた結果、国の主力産業が滅ぶという事態になれば、それこそ本末転倒ではないだろうか。

◆前田 雄大 元外務省職員、EnergyShift発行人兼統括編集長(afterFIT 執行役員 CCO)
1984年生まれ。2007年、東京大学経済学部経営学科を卒業後、外務省入省。開発協力、原子力、大臣官房業務などを経て、2017年から気候変動を担当。G20大阪サミットの成功に貢献。パリ協定に基づく成長戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。2020年より現職。日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関「富士山会合ヤング・フォーラム」のフェローとしても現在活動中。自身が編集長を務める脱炭素メディア 「EnergyShift」、YouTubeチャンネル 「エナシフTV」で情報を発信している。
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