JR各社が導入 「みどりの窓口」に代わる近い将来の話せる窓口「アシストマルス」とは
ネットラボ より 211126 大泉勝彦
「操作感は特段悪くない」「魔法みたい」 新大阪駅と博多駅の券売機に「タッチレスパネル」導入、9月まで実証実験
2021年11月24日~26日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で「鉄道技術展2021」が開催されました。
鉄道技術展は鉄道・交通システムやインフラ技術、施設、電力、輸送、運行管理、車両、インテリア、旅客サービスなど、あらゆる鉄道技術に関する総合展示会です。2010年から開催され、今回で7回目。展示は鉄道の現場に関わるプロ向けですが、それらの新しい技術やサービスは、今後私たち鉄道利用者のサービスや利便性、安全性の向上などに結び付いてくるといえるでしょう。
鉄道技術展2021から,一般ユーザーにもピンと来そうな展示をピックアップして紹介します。
⚫︎「みどりの窓口」は今後続々廃止へ代わりにJR各社で導入される「アシストマルス」とは
JR各社は、駅の対人きっぷ販売窓口「みどりの窓口」を今後廃止していく方針を示しています。
このみどりの窓口に代わる対面接客の仕組みとして、「アシストマルス」と呼ぶシステムの導入を進めています。
アシストマルスはJRグループの鉄道情報システムが開発する、遠隔でみどりの窓口のような対面接客を実現するシステム。「指定席券売機」(JR西日本以外)や「みどりの券売機」(JR西日本)と呼ばれる駅設置の顧客操作型端末(MV-50)に、音声・映像のやりとりも可能とするマイクやカメラを追加した券売機です。
JR北海道では「話せる券売機」、
JR東日本では「話せる指定席券売機」、
JR東海では「サポートつき指定席券売機」、
JR西日本・JR四国では「みどりの券売機プラス」、
JR九州では「なんでも私に聞いてください!『ど~ぞ』」
という名称で、JR各社で導入が進んでいます。
画面上の「呼び出しボタン」を押すとコールセンターにつながり、オペレーターとテレビ電話的に対話できます。これまでのみどりの窓口と同様に、例えば「今から新大阪まで」のように伝えることでもきっぷを買えます。もちろん券売機なので、これまでと同様に分かる人は自身の操作で完結することも可能です。
アシストマルスにはカメラ付きの原稿台も搭載します。ここに学割証などを提示すれば、これまでは窓口でしか購入できなかった学割きっぷなども買えます。原稿台を活用して「筆談」などにも対応します。
ネット予約サービスの普及、近年は感染症の流行により接触や実対面、密を避ける意識も高まりました。鉄道会社も、各駅への人員配置見直し/効率化などを図れます。チケットレスのネット購入や券売機で問題ない人も、やっぱり対面で確認しながら・聞きながら買いたい人も、それぞれが困らず安心して購入できるようになりそうです。
⚫︎トマム駅に導入「QR乗車票」、今後のローカル線旅の利便性向上に期待
「QR乗車票」のシステムも“乗り”の人や遠地旅行ファンの人は少し注目です。こちらは「トマムQR」のシステムです。
QR乗車票は、券売機の設置されていない無人駅から乗車するときもスムーズに精算できるようにするシステムです。鉄道事業者としても、高額な新たな機器を導入することなく、乗客の利便性向上+駅係員・車掌の負担を軽減する自動精算サービスとしての導入が期待されます。
利用は客(自分)のスマートフォンで。乗車時に自身のスマホで専用サイトへアクセスし、行き先や人数を入力すると画面にQRコード付きの「QR乗車駅証明書」が表示されます。車内改札では車掌に画面の掲示で、降車時はQRコードの画面を改札内の券売機にかざすことで清算が完了。発券された出場きっぷを改札口に入れれば出場できます。
QR乗車票は、2021年1月に石勝線のトマム駅(北海道占冠村)に先行して導入し、札幌駅、新千歳空港駅、南千歳駅で使えるようにしました。トマム駅は外国人観光客の利用が多いスキーリゾートの最寄り駅。車内や窓口での顧客・外国語対応に大きな課題、負担があったことから導入されました。
普段は利用客少なめの無人駅/券売機なし・IC非対応の駅、でも一時的に、ある期間だけ需要が爆増することがある。こんな路線や駅は石狩線やトマム駅以外にも多くあることでしょう。ローカル線でのこのQR乗車票の仕組み、今後増えていくと客も分かりやすく楽になりそうです。
(大泉勝彦)