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バイクの「ヤマハ発動機」が、アフリカで"飲み水"の浄水を行っているワケ  202111

2021-11-15 23:22:00 | なるほど  ふぅ〜ん

バイクの「ヤマハ発動機」が、アフリカで"飲み水"の浄水を行っているワケ
 myナビニュース より 211115   小井こぞう


「ヤマハ発動機」と聞けば、バイクや電動自転車、それにマリン製品……などをイメージする人が多いはず。同社が10年以上にもわたって、新興国での水質改善の事業に取り組んでいることをご存じの方は少ないのではないだろうか? 
 今回は今でいう"SDGs"の取り組みともいえる同社の「クリーンウォーターシステム」の事業について紹介したい。


「水が変われば暮らしが変わる」という理念を具現化した「ヤマハクリーンウォーターシステム」(セネガル)(写真提供/久野真一/JICA、ヤマハ発動機)

⚫︎ヤマハ発動機と海外のつながり
 1955年に二輪車メーカーとして設立したヤマハ発動機は,今や売り上げの90%を海外が占めている。そんなグローバルな発展の一端を担っているのが,同社の海外市場開拓事業部だ。
「世界の人々に豊かさと喜びを」をスローガンに、約100名の精鋭たちが140を超える国と地域(欧州・アフリカ・中東・中米・南太平洋・カリブなど)で事業展開に注力している。

 例えば日本で「二輪車」と言えば、もちろん移動手段として重要なツールである一方、趣味としてバイクライフを楽しんでいる人も多い。でも海外、特に新興国においては事情が大きく異なる。バイクも船外機も新興国においては"ただの道具"ではなく、自分たちの命や生活に直結する大切な"ライフライン"なのだ。

 1960-70年代にかけて、同社はアフリカ諸国での市場開拓をスタート。当初は営業マンが木造ボートへの取り付け方法などの指南はもちろん、効率の良い日本の漁法を教えることまで行っていたそう。そのように現地の住民の生活に寄り添った熱心なサポートが実を結び、アフリカだけでなく諸外国でビジネスを拡大し続けている。

⚫︎あえて"ローテク"を活用した画期的な浄水システム
「クリーンウォーターシステム」事業の発端も、そんな海外との強いつながりから生まれたものだった。
 1980年台、インドネシアのバイク製造工場で働く現地駐在員の家族から「水道の水が茶色い。鉄臭い」という苦情があり、これを機に水道水を浄化する家庭用浄水装置を開発し、2010年から現地で試験的に販売・運用を始めたのが、現在のクリーンウォーターシステムの原型となっているとのことだ。

 このインドネシアの例に限らず、世界では人口の約30%にあたる22億人もの人々が安全に管理された飲み水を使用できていないというデータがある(2017年時点)。
 ヤマハでは、この駐在員の声をきっかけに、1991年から同国で家庭用浄水器を販売開始し、さらに2000年には浄水器が買えない低所得層に向けて河川水などを利用した浄水装置の開発を開始。同社の知見や技術力を結集させて開発したシステムが、「クリーンウォーターシステム」である。

 仕組みや特徴を簡単に紹介しよう。自然界における砂、砂利、水中のバクテリアなどによる水浄化の仕組みを応用した「緩速ろ過式」を採用し、河川や湖沼の表流水を原水にして一日で8,000リットル(約800~1,200人分)の浄水を供給可能とするシステム。

 自然界の浄化機能を応用したシンプルな緩速ろ過方式を採用した「クリーンウォーターシステム」(写真提供:ヤマハ発動機)

 そのメリットはまず、低所得層に向けて開発したものなので"ランニングコストが低い"こと。凝固剤やフィルターを使用しておらず、砂や砂利の交換も不要となっている。またあえてシンプルなシステムを採用していることで"メンテナンスが容易"。同社のスタッフや専門的な業者でなくても、現地の住民だけでメンテナンスが可能なのだ。最後に、これらを複合したメリットとして"住民の自主運営が可能"なことも大きな特徴となっている。

 このクリーンウォーターシステム導入後、村の変化は著しいものだった。まず"綺麗な水を飲もう"という衛生観念そのものが変わったことで、下痢・疾病・皮膚病が大きく減少。
 さらに、導入前は女性や子どもたちが1日に何度も水源から自宅まで水の運搬を行っていたのだが、この水労働からも解放することができた。そして、近隣の村への宅配ビジネスもスタートし、新たな収入源にもなっているそうだ。

 現在ではインドネシアを皮切りに、アジアやアフリカの諸国においても導入が進んでいる。

【設置数】13ヵ国36基(2019年5月末現在)
・アフリカ:8ヵ国21基(セネガル、モーリタニア、ベナン、コートジボアール、コンゴ民主共和国、アンゴラ、カメルーン、ザンビア)
・アジア:2ヵ国9基(インドネシア、ベトナム)
・アジア(モニター設置):5ヵ国6基(カンボジア、ミャンマー、ラオス、インドネシア、ベトナム)

⚫︎世界の人々に豊かさと喜びを
 今回、記事の作成にあたり同社の海外市場開拓事業部で、このクリーンウォーターシステムの事業に携わった経験を持つ社員の方々にお話を伺ったのだが、その誰もがスローガンである「世界の人々に豊かさと喜びを」の意識を強く持っていることに感銘を受けた。

 セネガル川流域に小型浄水装置「ヤマハクリーンウォーターシステム」10基の設置を完了し、セネガル政府への引き渡し式典の様子(写真提供:ヤマハ発動機)

 社員の方々は、現地でのシステム導入・設置だけでなく、文字が読めない住民や子どもたちにも"安全な水の大切さ"が伝わるように「紙芝居」を用いた啓もう活動も実施している。
 同社はもちろん世界有数の高い技術を有する企業だが、「自分たちがいなくなったあとも継続してもらえるように」「誰もが水の大切さを理解してもらえるように」と、あえて"ローテク"を活用することで、本当の意味で住人たちに寄り添ったサポートを心がけている。

 この取り組みは、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2013 年度グッドデザイン賞」でグッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)も受賞している。

 社会課題の根本的な解決は、実に厳しい道のりである。しかし、新興国の住民たちに真摯に向き合う同社の取り組みは、一歩一歩ではあるが確実に"豊かさと喜び"を世界各地で実現している。
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🎭 100の能面が集結、「能面100 The Art of the Noh Mask」が京都で開催 2022/1/2〜2/6

2021-11-15 23:03:00 | 〽️ 行事・新案内等 控え

100の能面が集結、「能面100 The Art of the Noh Mask」が京都で開催
  ステージナタリー  より 211115


「能面100 The Art of the Noh Mask」が京都・美術館「えき」KYOTOで、
  来年1・2月に開催される。


「能面100 The Art of the Noh Mask」チラシ表


「能面100 The Art of the Noh Mask」では、能面愛好家で研究家のスティーヴェン・マーヴィンによるコレクションを中心に、金剛家、兵庫県にある篠山能楽資料館の能面が100面、一堂に会する。

 能は奈良時代に大陸から渡来した散楽を源流に、世阿弥によって室町時代に大成された。能で用いられる能面は、一見、無表情のようだが舞台上でさまざまな表情を見せ、人間の心理を描写する。
    会期は1月2日から2月6日まで。

「能面100 The Art of the Noh Mask」
   2022年1月2日(日)~2月6日(日) 10:00~19:30
 京都府 美術館「えき」KYOTO
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フェイスブックの「世界を高速インターネットでつなぐ」計画に高まる懸念 202111

2021-11-15 22:10:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

フェイスブックの「世界を高速インターネットでつなぐ」計画に高まる懸念
 WIRED より 211115

 フェイスブック(現社名はメタ)には、これまで以上に厳しい視線が注がれている。同社のソーシャルメディアポリシーのみならず、その飽くなき成長の追求が批判されているからだ。一方で同社は、インターネットに接続しづらい地域において、より多くの人々が高速なインターネット接続を利用できる環境づくりにも主眼を置きつつある。

 だが、この動きは皮肉めいている。取り組みの詳細が発表されたタイミングが10月4日(米国時間)に大規模なシステム障害がフェイスブックで発生し、この巨大組織が傘下に収めるすべてのアプリが一時的にダウンした直後だったからだ。

 フェイスブックは10月7日に報道関係者向けに説明会を開き、世界中に高速インターネットアクセスを提供するプロジェクト「Facebook Connectivity」について最高技術責任者(CTO)のマイク・シュローファーが説明した。地球上の10億人以上の人々を高速インターネットでつなぐ計画について明らかにしたのである。

⚫︎世界中にインターネット接続を
 シュローファーによると、フェイスブックは欧州と米国をつなぐ新たな24ファイバーペアの大西洋横断海底ケーブルシステムを開発している。また、地上で光ファイバーを敷設するロボットを改良しているほか、「ラストワンマイル」をギガビットの速度でつなぐ無線インターネットシステムのテストを実施しているという。

 こうした取り組みは長年にわたって続けられてきた。フェイスブックは1年半前、大規模海底インターネットケーブルを敷設するためにアフリカの通信事業者と提携したと発表している。「Terragraph」という無線システムの開発は2015年に始まり、光ファイバー敷設用ロボット「Bombyx」は18年に初めて開発された(このロボットはまだ運用されていないが、20年の夏に初めて発表されている)。

 シュローファーやダン・ラビノヴィッツ、イェール・マグワイアといったフェイスブックの幹部は、こうした新たな技術によって、一般の多くの人々に対して光ファイバーと同じかそれに近い通信速度を、通常の光ファイバー設備よりはるかに迅速かつ安価に提供できると主張している。

INFORMATION

連載:INSIDE Facebook:打ち砕かれた夢と理想、そして混迷の2年間
個人情報の不正利用問題で、その存在意義を揺さぶるほどの衝撃を受けたフェイスブック。しかし、巨大なソーシャルメディアを惨劇の渦中に追い立てたものは、ほかならぬ自身の内側にあった──。社員と元社員51人への取材を基にマーク・ザッカーバーグの夢と理想が崩壊するまでの2年間を追い、病巣をえぐり出した迫真の長編ルポ。

 シュローファーいわく、ロボットのBombyxは「光ファイバーの敷設コストをかつてなく低減する」という。フェイスブックは、いまやインターネットインフラの3つの側面において画期的な技術、すなわち海底ケーブル、ロボットであるBombyx、ギガビットの高速インターネットを無線で提供するシステムを開発したと説明する。

「世界のほぼ半数の地域は、いまだにインターネットに接続できません。このデジタル格差の最大の原因は、インターネット接続が手ごろな料金で利用できるかどうかなのです」と、ラビノヴィッツは言う。「インターネット接続のコストが1日当たり1ドル(約113円)未満でなければ手ごろな料金とはいえないような国々では、特にそうなります」

 光ファイバー敷設用ロボット「Bombyx」。インターネット接続用のファイバーを既存の電線に巻きつける仕組みだ。PHOTOGRAPH BY META

⚫︎数々の取り組み
 フェイスブックは、世界中にインターネット接続を拡大する野心をもつテック企業のひとつだ。しかしそうした企業の多くは、技術面や政治面で困難に陥っている。

 例えばグーグルは、ヘリウム気球を介したインターネット接続の提供を目指す「Loon(ルーン)」プロジェクトを終了した。同社は10年から15年まで一部の市場では既存の電柱を利用し、ほかの市場ではケーブル用の溝を掘るなどして、「Google Fiber」のプロジェクトも展開していた。しかし、このプロジェクトはコストがかかりすぎてグーグルには継続できないことが判明している。

 これに対してアマゾンやスペースXは、数千もの人工衛星からなるコンステレーション(衛星網)によってインターネット接続を提供する低軌道衛星に数十億ドルを投資している。フェイスブックには低軌道衛星に取り組むチームがあったが、21年7月にアマゾンに買収された。

 これまでもフェイスブックにはインターネット接続に関して非現実的なアイデアがあったが、必ずしも成功しなかった。例えば、太陽電池式ドローン「Aquila(アキラ)」の実験的プロジェクトは18年に終了している。

⚫︎また、フェイスブックによる「Internet.org」構想の一環だったプロジェクト「FreeBasics」は、インドの電話ユーザーに基本的なインターネットサーヴィスを無料で提供することになっていた。ところが、無料だが制約のあるインターネットサーヴィスの提供はネット中立性の原則を侵害するという指摘を受け、インド政府はこのサーヴィスを禁止している。

⚫︎ロボットが自動で光ファイバーを敷設
 テック業界におけるフェイスブックは、ほかに類を見ないほど強力な立場にある。このソーシャルネットワーク企業は厳密にはインターネットサーヴィスプロヴァイダーではないが、世界の一部の地域では「インターネット」と同義になっているのだ。しかも、そのコンテンツモデレーションやターゲット広告にますます厳しい目が向けられている状況では、インターネットインフラへの関与に懸念が生じる可能性もある。

 フェイスブックは37,000kmの海底ケーブル「2Africa」の建設計画を20年春に発表し、さらにこのケーブルの延長を今年9月に発表した。完成予定は23年か24年となる。大西洋を横断するこの新たな海底ケーブルのプロジェクトは、2000年代初めに敷設された海底ケーブルの200倍のデータ容量をもたらすとみられている。

 今回の発表は、アフリカなどの新興市場だけを対象にするものではない。ロボットのBombyxは敷設された電線を利用することから、既存の電力施設がある場所ならどこでも導入できるからだ。無線インターネットのTerragraphは、すでに30,000ユニットがアラスカ州アンカレッジやオーストラリアのパースなどで導入されているという。

 Bombyxはロボットにしては手際がいいようだ。技術者がBombyxを電線に乗せると、このロボットはそれ自体にケーブルを巻きつけた状態で電線をはって進む。そしてケブラー繊維で補強されたファイバーを電線に巻きつけていく。補強されているのはファイバーの強度を高め、中圧線の熱に耐久性をもたせる狙いがある。

 ロボットは電線から落ちないようにするために、ある程度のバランスをとらなければならない。そこで開発チームは、ロボットをより軽く、素早く動けて安定するように再設計したという。また、1本の光ファイバーで周辺地域の1,000世帯にインターネット接続を提供できることがわかったので、光ファイバーの数を96本から24本に減らしてロボットの負担を軽くした。

 誤解のないように言うと、フェイスブックは光ファイバーケーブルを再発明したわけではない。ケーブルを地下に敷設するための溝を掘る代わりに、既存の電力インフラを使って地上にケーブルを敷設する仕組みを考え出したのだ。そして、将来的には1時間半で1kmを超える光ファイバーケーブルを敷設しながら、数十の障害物を自律的に避けて進めるというロボットの開発によって、これらの作業を半自律的に進めるようにしたのである。

 フェイスブックのラビノヴィッツとマグワイアはTerragraphについて、複数の技術を組み合わせたシステムだと説明する。TerragraphはWi-Fiアライアンスの「IEEE802.11ay」規格に準拠しており、街灯柱や信号機のような街路の既存の構造物のノードを利用するメッシュWi-Fiシステムでもある。結果としてTerragraphは、光ファイバー並みのマルチギガビットの高速インターネット接続を無線で提供できるのだと、ラビノヴィッツとマグワイアは説明する。

「規制当局のライセンスを得なくても、誰でもTerragraphを導入できるということなのです」とマグワイアは言う。「このためTerragraphはコストが非常に手ごろで、その点はFacebook Connectivityのほかの新たな技術と同様です」

⚫︎すべてをコントロールすることへの懸念
 光ファイバーによるネットワークの構築に際し、既存のインフラを利用して人件費を減らそうとするフェイスブックの取り組みは決して無分別というわけではない。だが、これまでの同社によるデータ通信分野への進出については、通信事業者も人権活動家も腹立たしく感じているようだ。一部の人々は、フェイスブックがインターネットに2層構造を構築し、インターネット接続の格差を広げかねないと非難している。

 Facebook Connectivityを率いるラビノヴィッツはインタヴューで、フェイスブックはインターネットサーヴィスプロヴァイダーではなく、そうなりたいと考えてもいないことを強調している。また、同社はFacebook Connectivityのプロジェクトから収益を上げることは期待しておらず、その技術の使用を無償で他社にライセンスしているという。

 一方でラビノヴィッツは、世界中でより多くのデータが共有されることによってフェイスブックが利益を得ていることを認めている。またデジタル財産の所有者は、誰もがそうしたデータによって同様に利益を得ていることもだ。

 デジタル権を擁護する欧州の非営利団体「Access Now」の法務担当責任者のピーター・ミセックによると、有線インターネット接続に用いる光ファイバーの敷設率は、この4年は基本的に低迷しているという。Access Nowは毎年開催している人権に関する会議「RightsCon」のために、フェイスブックから資金提供を受けたことがある。

「この状況は理想的ではありません。次の10億人を近いうちにインターネットにつなぐ敷設率としては十分ではありません」と、ミセックは指摘する。「(発展途上国の人々は)いまだにかなり携帯電話に依存しています。しかし、携帯電話ではできないこともまだたくさんあるのです」

 この分野におけるフェイスブックの過去のプロジェクトの一部が投機的であることや、同社にはプロジェクトを実験してリスクを負う資金があることを、ミセックは認めている。それよりも彼が心配しているのは、フェイスブックの「全段階を掌握しようとする野心」だ。すなわち、海底インフラから拡張現実(AR)、仮想現実(VR)のハードウェアといったデヴァイスに至るまで、インターネットインフラ全体の構築に同社が取り組んでいることである。

「フェイスブックが関与するものは、すべてがデータマイニングの“見本市”になるような気がします」と、ミセックは言う。「データの構造におけるすべての階層をコントロールしたいと考える企業は、どれも心配です。なかでもフェイスブックが心配なのは、同社は20年近く『自分たちのやり方が嫌なら出ていけ』といった態度を示しているからです」
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白内障の「早期」で手術を受ける人も 背景に眼鏡が不要になる「眼内レンズ」の進化 202111

2021-11-15 21:49:00 | 健康関連

白内障の「早期」で手術を受ける人も 背景に眼鏡が不要になる「眼内レンズ」の進化
  アエラdot より 211115 羽根田真智


AERA 2021年11月15日号より
 欧米を中心に白内障の早期で手術を受ける人が増えつつある。眼内レンズの進化で、眼鏡不要の可能性が広がっているからだという。AERA 2021年11月15日号は、眼科医に最新事情を聞いた。

*  *  *


 新しい人生が始まりました。気持ちが明るくなり、何かをやろうという意欲が湧いてきました──。東京歯科大学水道橋病院眼科のビッセン宮島弘子教授のもとには、白内障手術を受けた患者からの手紙が何通も届いている。いずれも「嬉しくてつい書いてしまった」という気持ちがあふれるものばかりだ。

「目からの情報が8割と言いますが、白内障の手術で視力を取り戻すことで、読書やおしゃれなど諦めていた楽しみを取り戻せる人が多いのだと思います」(宮島さん)

 白内障は、目の中でカメラのレンズのような働きをする水晶体が濁り、集めた光が十分に眼底に届かなくなる病気だ。一般的には加齢による白内障が多く、患者の9割が65歳以上。だが、早い人では40代から発症する。症状としては「視界がかすむ」「ものがぼやけて見える」「視力低下」「ものが二重三重に見える」「光を眩(まぶ)しく感じる」などだ。

■白内障でなくても手術
 白内障の治療は、角膜を切開して濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する手術しかない。いわば、カメラのレンズを濁りがない新たなものに取り換えるのだ。点眼薬もあるものの、進行を遅らせる程度で、水晶体の濁りは取れない。かつては、軽症のうちは点眼薬で対処し、日常生活に支障をきたすようになれば手術、という流れだった。しかし近年、欧米を中心に白内障手術に対する考え方が変わってきている。

「白内障の早期で手術を受ける人が出てきているのです。中には、白内障でなくても手術を受ける人もいます」(同)

 理由は二つ。まず、白内障手術の安全性が非常に高まっていること。次に、眼鏡やコンタクトレンズがほぼ不要になる眼内レンズが登場したこと。特に、後者によるものが大きい。

 現在使われている眼内レンズは、大きく分けて「単焦点型」「連続焦点型(3焦点型を含む)」「焦点深度拡張型」の3タイプ。このうち、最初に発売されたのが、単焦点型だ。唯一、健康保険が適用される。遠距離か近距離のどちらかに焦点が合い、焦点が合わない距離を見るときは眼鏡が必要になる。

 2008年には遠距離と近距離に焦点が合う2焦点型が登場。しかし、中間の距離が見えないため、そこを見るには眼鏡が必要だった。
 それが19年、「遠距離も中間も近距離もすべてに焦点が合う眼内レンズ」として、日本で初めての3焦点型が発売。さらに21年、同じく遠距離も中間も近距離もすべてに焦点が合う連続焦点型が発売された。

 単焦点型と連続焦点型(3焦点型を含む)の中間的な位置付けなのが、17年発売の焦点深度拡張型だ。焦点の数を増やすのではなく、焦点が合う位置の範囲を広げたもので、見え方としては単焦点型に近い。単焦点型と同じくらい遠くが見え、見える範囲が中間まで広がるが、近距離の見え方は連続焦点型より劣る。場合によって、眼鏡が必要になる。

 たとえば、観光地で遠くの景色から手元のガイドブックまですべて眼鏡なしで見えるのが連続焦点型。焦点深度拡張型は、遠くの景色は眼鏡なしでOKだが、ガイドブックを見るときは眼鏡が必要かもしれない。

 眼鏡の要不要の面だけ見ると、連続焦点型は、単焦点型、焦点深度拡張型に勝るように思える。しかしマイナス面も。
 濃淡がはっきりしない「コントラスト感度の低下」や、強い光がまぶしく感じたり光の周辺に輪がかかって見えたりする「グレアハロー」が起こる可能性があるのだ。この二つは、焦点深度拡張型でも起こり得る。生活の中で何に重きを置いているかを考え、眼内レンズを選ぶべきだ。

「とはいえ、眼鏡やコンタクトレンズがないとほとんど見えない、眼鏡やコンタクトレンズの生活が不便だという人にとっては、早くに手術を受け、連続焦点型の眼内レンズを入れることで、眼鏡を使わずに済むようになる。
 今後は日本でも,早期の白内障でも手術を望む人が出てくるのではないでしょうか」(同)

■選定療養の対象になる
 連続焦点型、焦点深度拡張型は保険が適用されないが、20年4月から基本的な手術は保険、多焦点の差額が保険適用外で自己負担という「選定療養」の対象となった。
 施設で異なるものの、自己負担額は片目で20万円前後から30万円前後だ。一方、単焦点レンズは保険で、自己負担額が片目3万~5万円。

 なお、白内障は両目に発症することがほとんどだが、手術は片目ずつが一般的。片方の目を連続焦点型の眼内レンズにし、コントラスト感度やハロー・グレアの様子を見て、「大丈夫そうだからもう片方も連続焦点型」「コントラスト感度やハロー・グレアに慣れないからもう片方は単焦点型」ということもできる。
 医療機関によるが,日帰り手術,入院手術の二つの選択肢がある。(ライター・羽根田真智)

※AERA 2021年11月15日号
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💊ED治療薬のジェネリックが続々登場 安いだけでなく「飲み方」も進化 202111

2021-11-15 21:29:00 | 健康関連

ED治療薬のジェネリックが続々登場 安いだけでなく「飲み方」も進化
 newポストセブンより 211115

ジェネリックのED治療薬は何が違う?
 力強く起こり立ちたい──そう願う男性の多くが最初に頼ることになるのが、「薬」だ。国内に流通するED治療薬は大きく分けて3種類。「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」である。それぞれ効果に特徴があり、自分に適した薬を選ぶことが求められる。最も長く使用され、ED治療薬の代名詞と言えるのがバイアグラだ。ED治療薬の処方を行なう新宿ウエストクリニックの室田英明院長が解説する。

【比較】ジェネリック9種・1錠650円~(バイアグラ)、ジェネリック8社・食事の影響ほぼなし(シアリス)…3大ED治療薬の特徴。他、行為の5分前でも可(エロクソン)など上陸間近の海外新薬も

「1999年3月の国内発売以来、ED薬の『定番』として国内ナンバーワンのシェアを誇る。ただし服用から効き始めるまで60分ほどかかり、食事の影響も受けやすい。食後に服用する場合、食べ終わってから1時間は間を空ける必要があります」

 対して、即効性に優れているのがレビトラだ。くぼたクリニック松戸五香の窪田徹矢院長が語る。

「服用から30分ほどで効果が出る。服用量も少なく、レビトラは10mgでバイアグラ50mgとほぼ同じ効果が得られるとされます。食事の影響を多少受けるので、食後30分以降の服用が求められる」

 即効性は高くないものの、最も長く効果が続くのが最後発のシアリス。薬の作用時間はバイアグラ、レビトラが4時間程度だが、シアリスは36時間も効果が持続する。室田医師が語る。

「シアリスは食事の影響を受けにくく、服用後に食事を楽しむことができます。一度飲めば持続時間を気にする必要がなく、使い勝手がいい」

 金曜日の夜に服用すれば、効果が日曜の昼間まで続くことから「ウィークエンド・ピル」と称されるシアリスは、世界1位のシェアを誇る。利用しやすいシチュエーションは3薬3様だ。

 レビトラをめぐっては、今年10月に発売元の製薬会社・バイエルが「生産の目途が立たず、今後も安定した供給が困難である」との理由で販売を中止しているが、常用している人も心配はいらない。ED治療薬の「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」が世界中で続々登場しているからだ。

「バイアグラ、シアリスに続き、昨年7月にレビトラのジェネリックが国内で解禁されて、沢井製薬の『サワイ』と東和薬品の『トーワ』が販売されています。先発品の効果と違いはなく、医療現場での移行もスムーズに行なわれています」

 そう語る窪田医師は、新登場のジェネリックに期待を込める。

「バイアグラの先発薬は50mgあたり1800円ほどですが、ジェネリックなら900~1200円程度で購入できます。レビトラ、シアリスのジェネリックも先発薬より100~300円ほど安い」

 安価なだけでなく、「飲み方」が進化したことも注目される。室田医師が解説する。

「バイアグラのジェネリックには、口内でサッと溶ける『OD薬』(口腔内崩壊錠)と呼ばれるタイプがあります。水なしで服用でき、レモン味とコーヒー味から選べます。また錠剤ではなく極薄のフィルム状のバイアグラも登場し、こちらは舌の上で溶けるので、格段に飲みやすくなった」

 都内在住の会社員A氏(58)はいう。
「これまではレストランで女性が席を外したスキに急いでED薬を飲んでいました。でもOD薬は口の中にサッと入れるだけで水もいらないので、相手にバレる心配がありません。外出する際は常に財布の中にOD薬を忍ばせています」


※週刊ポスト2021年11月19・26日号
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