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マーケティング研究 他社事例 421 「起業に強いエコシステム確立が急務」 ~データが示す、日本の順位~

2019-10-04 07:51:08 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 421 「起業に強いエコシステム確立が急務」 ~データが示す、日本の順位~


起業力とイノベーション力の研究成果をクスマノ教授がまとめました。

組織の変革力を測る際に、イノベーションを起こす力と起業する力を見れば判断できるとしたようです。

「イノベーションを起こす力では日本は高順位だった。どう測ったかといえば、国として研究開発にどの程度の金額を投じているか、特許の数、インフラは整っているか、ネット環境はどうか、ネットのスピードはどうかといった、研究開発に関係する計測可能なデータや、研究を支えるインフラの整備状況などについてまず調べる。」

「さらには大学卒業者の数、修士号取得者の数、博士号取得者の数、社会科学系に対する理系の学生数などもイノベーション力の構成要素となるので、こうしたデータも勘案して計測した。」

「一方で、起業力を測る時のカギは、まず人口調整後の創業の数だ。実は日本は、世界でも極めて低い順位だ。極めて、極めて低い。VC(ベンチャーキャピタル)の投資額も見る。どれだけ取引があるか。出来高はどうか、などを見る。こちらも、5~10年前よりはかなり改善しておりトレンドは良好であるものの、日本の順位は極端に低くなっている。」

「後は、IPO(新規株式公開)の数、ソフト面では、起業講座がある大学の数、事業計画コンペのような活動の数、などが計測項目だ。学生に対する調査からもデータを取っている。内容は、起業家になりたい人の数と、自分は起業できると思う人の数。そしてなぜ起業家になりたいのかといった質問に対する答えも集めた。これらの指標で総合的に見ると、総じて日本はランクが高くなかった」

特許数やインフラなど、アイデアを生み出すための力は決して弱くない日本ですが、一方で、それを事業につなげる力はかなり弱いというわけです。

課題は、最高学府の東京大学にも当てはまると言います。

「文部科学省と経済産業省が、大学に講座やコンペを推奨したことがある。しかしコンペ自体は盛況でも、その後の大学における指導や訓練につながっていない。この点は前回も触れたが、単発のイベントでなく、大学として包括的なプログラムにする必要がある。」

「比較的大学発ベンチャーで成功している東大では、既に学生やOBによって強いエコシステムを確立しており、起業力がある。東大の強みは、優秀な人材がたくさん在籍していることだ。学生、教員、ファンドのお金、全体を仕切る教授、いずれにも恵まれている。東大の問題は、そうした活動が特定の学部だけに集中していることだ。学部横断的でなく、カリキュラムとのつながりがない点が課題だ。東大には経営学部がなく、他学部との協働も得意でない。主導しているのは工学部だが経済学部を巻き込めていないことなどが気にかかる」

国の起業力を高める出発点は、大学の起業力を高めることというのがクスマノ教授の基本的な考え方です。

そのためには、大学ならではの専門知識を活かしつつ、卒業生とのネットワークを強固にし、資金調達の手段やノウハウなどを整えていく必要がありそうです。

クスマノ教授は、大学は、イノベーションによる事業を起こす取り組みの育成を担ったり、推進役になったりすることが出来ると言います。

「大学は、起業家の卵に、創業精神の理念や事業計画の立て方、試作品の作り方などを直接指導できる立場にある。メンターになれるし、インキュベータ―やアクセラレーターのように振る舞って、ベンチャーキャピタルとアイデアをつなぐことができる。MITは30年以上前から、多くの授業で事業コンペをしてきた。MIT起業フォーラムに引き継がれ、同窓生同士が競う。私自身はMITでの講座立ち上げは関与しなかったものの、20年以上前にソフトウエアと起業というコースを作った事がある。数十億ドル企業を創業した教え子がいる。」

「基本原理や事例の講義とプロジェクト立案やメンタリングを組み合わせた授業や、投資家を巻き込むコースもある。研究成果を商用化する助成金を教授に与える研究所もある。MITは、こうしたことを少なくとも40年ほど続けてきた。」

クスマノ教授は日本でも東京理科大学特任副学長として勤務していた時に、そうした取り組みを展開して来たのです。

「当初、東京理科大学に顧問として雇われた時は、起業講座がなかっただけではなく、起業や商用研究を後押しする動きも全くなかった。理科大学の理事長は、MITのような組織に変えたかったようだ。今は代替わりしたが、活動は加速している。独自プログラム作成に30年かけるよりもまず、分散している活動をつなぐ起業センターをつくった。小規模ではあるが、1月に開いた起業センターの会議では、都内150人が参加した。MIT・REAPの続きとして、起業に強いエコシステムを東京で創ろうとしている」

クスマノ教授が、日本で活動されている事はとても有益な事です。

大学で起業に関する学びが深まれば、将来のイノベーションを加速する事になるという、クスマノ教授のお話は大変参考になりますね。

まとめとして、国や企業が変革する力を測る指標は2つある事をお示しいたします。

それは、イノベーション力と起業力です。

イノベーション力は、国の研究開発費、特許、インフラ整備、インターネットスピード、大卒者・博士号取得者の数、文系・理系比率でみる事が出来ます。

起業力は、起業の数、ベンチャーキャピタルの投資額、IPOの数、起業講座がある大学の数、事業計画のコンペの数でみる事が出来ます。



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