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マーケティング研究 他社事例 747 「陸上養殖サーモンの一大産地が日本に?」 ~輸送コストと陸上養殖コストの比較~

2021-02-08 15:34:13 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 747 「陸上養殖サーモンの一大産地が日本に?」 ~輸送コストと陸上養殖コストの比較~


サーモンは「山で獲る」時代が来る?

そんな夢物語の実現に世界で投資をしている企業があります。

シンガポールの投資ファンドが設立したピュアサーモングループは、日本法人のソウルオブジャパン(渋谷)が三重県津市で昨年の夏にアトランティックサーモンの陸上養殖システムの建設を開始したと発表しました。

建屋の面積は6万7000㎡と東京ドームの1.5倍の広さで、2023年に完成する予定との事です。

円筒状の水槽を36基設置し、その容積は8万~10万㎥に達し、水道水からつくった人工海水をバクテリアでろ過しながら循環させ、アトランティックサーモンを育てるのです。

「商業スケールでの陸上養殖システムではアジア最大級」

完成すれば年間1万トンのサーモンを供給する一大拠点となります。

ピュアサーモンは2018年、ポーランドのプラントで、陸上養殖に初めて成功し、現在日本とアメリカ、フランスの3カ国で養殖施設のプロジェクトが動いています。

日本が建設で先行しており、2019年には伊藤忠商事と日本国内の販売契約を結びました。

ソウルオブジャパンのエロル・エメド社長は「水槽内に水流をつくるため、サーモンが運動して身が締まる。日本の消費者はこれまで死後に時間がたって硬直したサーモンを食べて来ましたが、国内生産したサーモンを食べて来たが、国内生産した新鮮な商品はこれまでの概念を覆すだろう」と話します。

温暖化による漁獲量の減少を補うだけではなく、『食の質』も高まると主張しているのです。

養殖しやすいサーモンは、人口増に伴う食糧危機に対抗する切り札の一つになると食品業界ではかねてから評されていました。

畜産は飼料として膨大な穀物を使い、家畜が排出するメタンガスは地球温暖化の原因となります。

その点、魚類は環境負荷が小さく、人工肉や培養肉の技術と並んで期待が大きいのです。

しかし、海での養殖は世界的に適地が不足しています。

年間を通して低水温で、波が穏やかな深い入り江というのがサーモン養殖の条件となりますが、それを満たすのはノルウェーとチリのフィヨルドくらいしかありません。

そして、両国の養殖適地はすでに利用し尽くされています。

そこで期待されるのが、陸上での養殖となり、丸紅は昨年の4月にサーモンの陸上養殖を手掛けるデンマークのダニッシュ・サーモンを日本水産と共同で買収しました。

工場を相次いで完成させるピュアサーモンは2025年~2026年頃、世界で年26万トンと、現在の養殖アトランティックサーモンの全生産量の約1割を占める大量の出荷を目指しています。

ノルウェーとチリは大消費地のアジアから遠く、輸送コストが大きいですが、一方、陸上養殖なら消費地に近く、サーモンは単価も高いため、設備負担を回収しやすいと言えるのです。

ピュアサーモンはシンガポールの投資ファンド8F社が資金調達して設立し、事業の先行きに期待して、世界中のマネーが集まっています。

(続く)


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お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/

成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 

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