佐藤功の釣ったろ釣られたろ日誌

釣り・釣りの思い出・釣り界のこと・ボヤキ.etc

マリアナ諸島・テニアン島の釣り・その2  1978年3月

2009-06-09 19:38:47 | 釣り
サメを釣り、ロッジに帰りシャワーを浴びて釣り納めとして今夜からの再挑戦に備えて眠ることにした。

夕方に起きて、昼と夜との兼用の食事に、ざるウドンが出たので全員大喜び。遠く離れたテニアン島まできて、オニギリやウドンが出るとは思ってもいなかったが、大ザルに盛られたザルウドンを見事に平らげて大満足。さあーこれで今夜もがんばれるぞーと、釣り道具を車に積み込んだ。

そのとき、榎木氏が、「今朝方のファイトでもう疲れてしまったから今日は一服」と言い出した。それを無理やりトラックの荷台に押し上げて出発。

夕方といってもまだまだ陽は高い。磯端に立つと昼間の熱気が、まだまだ残っていて大変に熱いが、日本と違って湿度が低いのでしのぎやすい。それぞれに昨夜と同じポイントに陣取って釣りを開始した。

沖合い50mぐらいのところで大きな魚がジャンプした。流していたロープ仕掛けに何かが食いついたようである、一直線にロープが沖に出て行く「やったぞー」と叫んで花田氏が飛び付いた。そして、手繰り始めた。ガイドの荻島氏が「バラクーダー」だろうという。

以外にすんなり寄ってきてウキのフロートが見えてきた。白い大きな魚体がその後ろから近づいてくる。1.5m以上はありそうだ。ハリはがっちりと食い込んでいるようだ。

海面までは10mぐらいあるので、この磯場に引き上げるには少し心もとない。そのときガイドの荻島氏がギャフを用意して切り立った崖を5~6mおりて行き、ガッチリと口元にかけた。

OKの合図とともに引き上げた。どうやら記録物のようだと思った。過去にこれだけのバラクーダーはまだ釣ったということは見聞きしていない。幸先の良い本日の第一号である。

水平線の彼方に陽は落ちてゆき、見る見るうちに満点の星空が手を伸ばせば届きそうなぐらいにきらめきはじめた。日本ではなかなか見られない夜空である。

この美しい星空が少し翳ってきたかなと思った途端に、この地方独特のスコールが突然に雨音高く襲って。そして、また一瞬の後に星空が見えてくるのである。

このすごいスコールが来て全身びしょぬれになってもすぐに乾くので、濡れた服のままで釣りをしているが、濡れた服から湯気が立ち上がっていくのが見える。

しばしの休憩をとることにした。そのコーヒータイムの最中に、突然闇の中から花田氏の叫び声。片手で竿尻を押さえながら片方の手には、先ほど渡したコーヒーをもちながら・・。そのカップを何とか岩のうえに置き体勢を立て直した。

またも大物が来たようだ。肩を入れて一人が抜きにかかる。大型の魚が掛かったときに竿が伸されるのを防ぐために一人が前に回ってテコになるのだが、大物ほど気をつけなければ危ない。

暴れ回っていた魚がなお一段と暴れだした。途端にふっと軽くなった。それでも竿は曲がっていてなんだかおかしい重さがある。

ヘッドライトで海面を照らしてみると、これはビックリ、2mクラスのサメがウヨウヨしている。そして引き上げたワイヤー仕掛けの先には「イソマグロ」の頭だけがぶらさがっていた。

そのさきの引き裂かれたマグロの赤身がピクピクと動いているのである。そしてマグロの目が何が起きたのか分からないというように目をぱちくりさせていた。

下に集まっているサメにやられたのであろうが、推定1.2m以上はあったと思われるだけに残念。だが仕方がない、南方の釣りの税金であろうから。

サメ、アカマス、バラフエ、イソマグロ、バラクーダーと色々釣れたが、このイソマグロは、結局、弓削氏が釣り上げた1.2mのみだけだったが、数多くの大物が釣れたのでもう十分だということで、まだ時間は早いが、ヒラアジやマクエは次回の楽しみとして予定を切り上げてロッジに帰ることにした。

弓削氏の「テニアン、フレミング磯万歳!」の歓声を後に、タンガレタンガレの密林をトラックの荷台に揺られて全員が意気揚々と引き上げた。

翌日、ロッジの出氏や釣仲間の気持ちで世話をしてくれた好青年の荻島氏、また空港のマカラナス女史、と一緒に記念撮影した。地元、マリアナの若者たちに「また会う日まで」と別れを告げた。

この時の楽しい仲間も今は弓削氏と私だけになった。
寂しい限りである。
コメント
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