「書くのもつらい…」年賀状やめたい 失礼のない“しまい方”
12/2(金) 11:15配信
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そろそろ来年の年賀状を準備する時季。でも何となくおっくうに感じる方、いませんか。「年を取って字を読むのも書くのもつらい…」。長年続けた年賀状のやりとりをやめる「年賀状じまい」が高齢者を中心に広がっている。相手に失礼なくどう伝えるか。一般社団法人「手紙文化振興協会」認定講師の田中美和さん(58)=福岡県久留米市=に年賀状の上手なしまい方を聞いた。
(本田彩子) 【画像】一言何を添える?「年賀状じまい」の一例 年始に書状を送る習慣は平安時代の貴族の間で始まり、江戸時代には武家や裕福な商家などに広がった。当時は家々を訪ねて年賀のあいさつをするのが一般的だったが、遠方には飛脚を立てて書状を出したという。明治期に郵便制度が始まり新たにはがきが発行されると、年賀状は年始の儀礼として庶民に定着した。
田中さんによると、近年は社会生活の多様化などにより儀礼としての意味合いが薄れる一方、スマートフォンの普及によりメールやLINE(ライン)などの通信アプリで年賀のあいさつをする人も増えた。 」
田中さんは「年賀状は近況を知らせたり感謝を伝えたりして相手との関係性を深めるのが目的。時代とともにその手段が変化しても不思議はない」と話す。
田中美和さん
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「終活年賀状」とも呼ばれる年賀状じまい。田中さんは「できれば年内に相手に伝えるのが親切」と指摘する。直接会う機会がある人には早めに口頭で伝えたり、市販のクリスマスカードを買って「年賀状はやめます」などと書いて送ったりするのもいいだろう。
年内が難しければ、年賀状に翌年からやめる旨を書き添えて出すか、正月明けに寒中見舞いを出して伝える。寒中見舞いは立春(来年は2月4日)までに届くように出そう。退職や引っ越しを知らせる際に伝える方法もある。
年賀状じまいに何をどう書くか。田中さんによると決まった文言はないが、年賀状として出すなら通常の(1)新年のあいさつ(2)感謝の言葉-に続けて、(3)年賀状じまいの言葉(4)末尾に改めてお礼-を盛り込む。
(3)には理由を書こう。高齢なら「寄る年波に勝てなくなり-」、退職した人は「退職して年数が過ぎ、会社のこともよく分からなくなってきましたので-」などが考えられる。文章が印刷された年賀状を使うなら手書きで書き添える。
年賀状をやめるからといって、相手との付き合いが終わるわけではない。
「これからはラインで連絡するね」「近況は電話します」などと一言添えたい。
全員分の年賀状を一斉にやめる必要もない。やりとりを続けたい人とは続けながら、出す相手を徐々に減らすのも手だ。こちらから年賀状を出しても返事のない人や、毎年返事が遅れる人はやめても問題ないだろうし、あえて伝えずに自然消滅させてもいい。もし、その後に年賀状が来たら直接会った時などにお礼とお断りを伝えればいい。
田中さんは「年賀状は心のやりとり。やめるか続けるかばかりにとらわれるのではなく、相手との関係を今後どうしたいかを大事に考えましょう」と話した。