はるはなをわれにてしりぬはなざかり
こゝろのできひとはあらじな 忠岑
春夜
春夜
背燭共憐深夜月踏花同惜少年春 白
はるのよのやみはあやなしむめのはな
いろこそみえねかやはかくるゝ 躬恒
子日 付若菜
倚松樹以摩腰習風霜之難犯也和
菜羹而啜口期気味之克調也 菅丞相
倚松根摩腰千年之翠満手
折梅花插頭二月之雪落衣 尊敬
子日するのべにこまつのなかりせば
ちよのためしになにをひかまし 忠岑
ちとせまでかぎれるまつもけふよりは
きみにひかれてよろづよやへむ 能宣
子日しにしめつるのべのひめこまつ
ひかでやちよのかげをまたまし 清正
若菜
野中芼菜世事推之蕙心鑢下和
羹俗人属之荑指 雲杯院行● 菅丞相
九条良通筆 和漢朗詠集 13世紀
拾遺集 春歌
平さだふんが家の歌合に
春はなほわれにて知りぬ花ざかり心のどけき人はあらじな
春中与盧四周諒華陽観同居 白居易
背燭共憐深夜月踏花同惜少年春
灯を背ては共に憐む深夜の月。花を踏では同く惜む少年の春
雲林院行幸詩序 菅原道真
松樹に倚て腰を摩れば風霜の犯難ことを習ふ也。
菜羹を和めて口に啜めば気味の克く調ふを期す也。
春日野遊序 尊敬上人
松根に倚て腰を摩千年の翠り手に満、
梅花を折て頭に插せば二月の雪衣に落つ。
拾遺集
題知らず 壬生忠岑
子の日する野辺に小松のなかりせば千代のためしになにをひかまし
拾遺和歌集
入道式部卿のみこの子日し侍りける所に
凡河内躬恒
千とせまでかぎれる松もけふよりは君にひかれて万代よろづよやへむ
新古今和歌集巻第七 賀歌
子の日をよめる
藤原清正
子の日してしめつる野辺の姫小松ひかでや千代のかげを待たまし
よみ:ねのひしてしめつるのべのひめこまつひかでやちよのかげをまたまし 隠
意味:子の日の行事のために占有の印を付けた野辺の小さい松を引き抜かないで千年の長期間にわたり木陰をつくるまで待ってみようか。
備考:和漢朗詠集
早春観賜宴宮人同賦催粧応製并序
菅原道真
野中芼菜世事推之蕙心
野中に菜を芼(えら)むは世事これを蕙心(けいしん)に推す。
鑢下和羹俗人属之荑指
鑢下(ろか)に羹(あつもの)を和(くわ)るは俗人これを荑指(ていし)に属(しょく)す。
静嘉堂文庫美術館
平安文学、いとをかし
―国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ
2024年11月16日(土)~2025年1月13日(月・祝)
静嘉堂@丸の内 (明治生命館1階)