神佛をもかこたむかたなきはこれみな
さるべきにこそはあらめだれも千年の
松ならぬ世はつひにとまるべきにも
あらぬをかく人にもすこしうちしの
ばれぬべきほどにてなげのあはれをも
かけたまふ人あらむをこそは一つ
おもひにもえぬるしるしにはせめ
※手で見えない部分は、想像で。
源氏物語 柏木
なほ、世に立ちまふべくも覚えぬ物思ひの、一方ならず身に添ひにたるは、我より他に誰かは辛き、心づからもて損なひつるにこそあンめれと思ふに、恨むべき人も無し。
神、仏をもかこたむ方なきは、これ皆さるべきにこそはあらめ。誰も千年の松ならぬ世は、終に止まるべきにもあらぬを、かく、人にも、少し打偲ばれぬべき程にて、なげの哀れをもかけ給ふ人あらむをこそは、一つ思ひに燃えぬるしるしにはせめ。
2:39
藤式部ナレーション
誰も、千年の松にはなれぬ世では、やがて命が尽きるものなのだから、こうして、あの人に、少しは偲んでもらえそうな内に死んで、かりそめの情けを掛けてくれた人があったという事を、一途な想いに燃え尽きた証としよう。
藤式部 罪を犯した者は、、、。