我与人
又をなじ所にてこくなばといひし女坊夏を契と云題に
をしむべきはるをば人にいとはせて
そらだのめにやならんとすらむ
とよめりしをよろしなど人ゝさだめ侍しほどに
ある人のいはくはるをば人にといへるすこしおぼ
つかならむ。たゞ春をばわれにといひたらばたしかに
つかならむ。たゞ春をばわれにといひたらばたしかに
てまさりなんかしといふ。これ同ずる人おほく侍し
を俊惠きゝてむげに心をとりせらるゝ事をも
のたまふかな。人にといひたりとても他人とやは
おもひたどるべき。われにといひてはうたてこと
のほかにしなゝくきこゆるものを哥は花麗を
さきとす。人をばしらずおのれはたとい難あり
とも人にとよまんとぞ申侍し。