新古今和歌集の部屋

八雲御抄 折句、折句沓冠、沓冠 蔵書

八雲抄巻第一 正義部

 

 

 

 

 折句

毎句上、物名を一文字づゝをきたるなり。

から衣きつゝなれにしつましあれば

はる/"\きぬる旅をしぞおもふ

をぐら山みねたちならしなくしかの

へにけん秌をしる人ぞなき

是は、かきつばた、をみなへし也。か樣の哥数を不知。

 折句沓冠

是は、毎句上下に文字を入たるなり。

あふさかもはては往來の関もゐず

たづねてとひこきなばかへさじ

是は、あはせたき物すこしといへる也。凡、此文字の置

やう、是は、普通の樣也。この外も又よめるやう。

をのゝはぎ見し秋にゝずなりぞます

へしだにあれなしるしけしきは

これは、をみなへしをかぶりにして、はなすゝきを

沓にして、さかさまによませたり。

はかなしな小野のをやまだつくりかね

てをだにもきみはてはふれずや

これは、花をたづねてみばやと云事をいふ。是は、

さき/"\の字のすへやうにはあらず。如此樣々なり。

 沓冠

始、をはりに、其字とさだめて置也。文字は、一も二

も三も、こゝろにまかせて詠之。

はなのなかめにやあくとてわけゆけば

こゝろぞともにちりぬべらなる

是は、はをはじめ、るを果にて、ながめをかけたる春也。

かやうの事共は、ちからもいらず、むげにやすきこと

なれば、注にをよばず。

 

 

※読めない部分は、国文研鵜飼文庫を参照した。

※から衣 古今和歌集巻第九 羈旅歌 在原業平 410。伊勢物語九段 八橋

※をぐら山 古今和歌集巻第十 物名 紀貫之 439

※あふさかも 栄花物語 月の宴 村上天皇。村上御集。

※をのゝはぎ 出典不明

※はかなしな 新勅撰和歌集 巻第廿 雑哥五 源俊頼 1368 は…なを…たつ…ねて…みは…や

※はなのなか 古今和歌集巻第十 物名 僧正聖宝 花のなかめにあくやとてわけゆけは

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「歌論」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事